≪六節;かぎつけていた禽―――≫
〔しかし―――そうは云っても、自分の命を危ういところで救われた者は・・・〕
ヤ:ちょ―――っと待ってくれよ、あんたオレをどうして・・・
ア:救った―――という明確な理由がなければダメかい・・・。
だとしても、あの怪我を放っておいては、確実に衰弱死していた事だろう。
ヤ:―――だったら・・・
ア:それに―――お互いの名前も明かさない・・・
それは、もし知ってしまえば、今度は傷付け合わなければならなくなるかもしれないからね。
ヤ:(あ・・)・・・・・・。
ア:だから―――もし、飛べるようだったら、早くここを去りなさい。
大丈夫・・・私は君には会わなかった事にするから―――
さぁ・・・私たちが、背後ろを向いている間に―――・・・
――バサッ・・ ・・バサッ――
〔もしかすると―――彼女たちは、お互いが相反目する存在であるという事など、
名前を明かさずとも知っていたのかもしれない・・・
だったのならば、なぜ―――どうして・・・アヱカは自分の仇となる存在を助けてあげたのでしょうか。
それも、自身のチカラの解放を見せる―――と、云うリスクを背負ってまで・・・
でも、傷ついた者を見知ってしまったとき、もし知らん顔を決め込んでしまったら、
今、幼い者に教えていることは全くのウソ―――と、言うことになってしまう・・・。
いえ・・・それよりも―――“今の存在”が、こういった哀れな者を、
そ知らぬ顔ができない存在・・・だったからなのかもしれません。
それよりもアヱカは―――〕
ア:すみません・・・王子様―――
ホ:う、うん・・・
ア:あの、私はこれから少し用がありますので、王子様はこのままお母様の下へとお戻り下さいませんか。
ホ:・・・うん、判った―――
〔何よりも、自分が不可解なモノを見せてしまった事で、幼い者に不快な思いをさせてしまったことを詫び、
その上で、母である王后の下へと行かせようとしたのです。
それはどうして―――・・・
それは、今のこの場に、とある者が・・・その存在をすでに嗅ぎ付けてきていたのですから―――
しかも、その嗅ぎ付けていた『禽』は―――〕
鵺:・・・・・よろしいのですか、双方とも放してしまって。
ア:ユミエさん―――大丈夫・・・私は彼らを信ずるだけだよ。
それにしても、少し奇妙なモノを見せてしまって・・・すまない事をしたね。
鵺:―――はて・・・何の事でしょう。
私は、ここでは何も見なかった・・・。
=鳳=と=白雉=の迎撃を受けて傷を負った者も・・・
そして、その傷を治癒されたあなた様の未知なるチカラの事も・・・
ア:(フフッ・・)ありがとう―――・・・
〔そこに嗅ぎ付けて来ていた『禽』こそ―――副長の=鵺=であるユミエなのでした。
けれども彼女は、アヱカのことを知ってしまった二つの存在・・・ヤノーピルとホウ王子の後を追いかけなかったのです。
しかし、その裏には、『主命がない』―――つまり、タケルやアヱカからの下知のないまま動く事を禁じた・・・
と、云う鋼の掟の下にでもあったことなのです。
その事に、アヱカは深く感謝の意を述べたものなのでした。〕
To be continued・・・・