≪六節;緊迫させた一言≫
〔そして―――四人揃って式場へと入り・・・〕
ア:さあ―――お母様の下へお戻りなさいませ、王子様・・・
ホ:うんっ―――ありがとう、お姉ちゃん!!
ア:フフ・・・無邪気なものだ―――その双肩には、大きなモノがのしかかってくのだろうに・・・
イ:―――それで・・・今の時分だけ伸びやかに〜と、云う事でございますか。
ア:うん・・・そのことも一つにあるけれどね―――
けれども、彼にはもう少し・・・この 美しき世界の理 というものを知っておいてもらいたいんだ・・・
イ:美しき―――世界・・・で、ございますか。
ア:うん―――・・・
この―――風がそよぎ・・・水が潤い・・・緑豊かなる大地・・・
この世界というのはね―――誰一人のものではない・・・
総ての、生きとし生ける者達のものなんだよ・・・
〔空気の清々しい処でリラックス&リフレッシュしてきた王子様を、母である王后の下へと返した後、
年齢的にも分不相応な若い太傅の口から漏れた言葉とは、この世にあるべき本来の姿を説に説いたものでした。
その――― 一言一句に感銘を受ける事宛(さなが)らに、会場を奥へと進んでいくと―――
丁度あの場面・・・ヴェルノアの公主らしき人物が、仲間の一人であるセシルを問い質しているところへと出くわしたのです。〕
リ:あっ―――あれは・・・婀陀那様に、セシル?!
イ:(それに・・・あの男性は―――)
ア:(ふぅ・・)どうか―――したのかな、公主将軍。
婀:ああ―――これはアヱカ様・・・それに、そちらにおはしますのは―――
タ:(ほう・・・この二人―――もしや・・・)
ア:ああ―――こちらはイセリアさんで、こちらはリリアさん・・・。
それで―――そちらにいるのは・・・?
婀:―――なるほど・・・ハイネス・ブルグの“雪月花”が揃い踏みとは。
いえ―――他国の行事にどうしてか余所の国の者が・・・と、思いましたが、
ここに来てようやく得心にいたりました。
ア:・・・それは、どういう意味かな―――
婀:何―――難しい事ではありますまい。
ようやくにして彼の国も、フ国との交流を深めるべく、まづは中心となっている官吏をして
この国へと派遣されてきた―――と、そう捉えるべきでありましよう。
〔どうみたところでただならぬ雰囲気だと認識をしたアヱカは、あまり刺激をしないように婀陀那に問いかけをしたのです。
すると婀陀那のほうでも、アヱカの背後にいる者達を見て、あることを確信するにいたったのです。
けれど―――そのことはむしろ押し隠し、そのこととは正反対の事を述べたのですが・・・〕
イ:―――いえ・・・お言葉ではございますが。
私は―――いえ、私に限らず、リリアとセシル―――・・・
ギ:むんっ―――? あれは・・・
ミ:あのお三方と―――ヴェルノアの公主?
イ:そしてミルディン・ギルダスの両氏共々、フ国へと亡命してきたのでございます―――!!
〔“雪”の宿将であるイセリア自らがそのことを否定し、本来の自分たちの目的を、
場も憚らずに揚言した事に、一時(いちじ)会場は騒然となったものなのでした。〕
To be continued・・・・