≪九節;州公よりの訓示≫
〔それとはまた別の日のこと―――
アヱカの余暇も後数日と差し迫ってきた日に、州公の部屋に呼ばれた四人もの男女が・・・〕
ア:これから数日のうち、私はまたウェオブリへと赴くこととなるが、
諸兄らにおいては、この州の防備諸々に関し、柔軟にコトに取り組んでもらいたい。
まづ―――タケルには、これまでどおり私のいない間に州政のほうをよろしく頼みたい。
タ:―――畏まりました。
ア:州司馬キリエ―――お前には州境の防備と治水の事を、私の代理であるタケルと取り計らい、
共によく相談などをしてコトに取り組んでもらいたい。
キ:仰せのままに―――
ア:それから虎髭将軍、君には従来通り州兵たちの練兵と、
婀陀那さんより借りおいた、ヴェルノア軍との連携をよろしく頼む。
ヒ:ほい来たぁ〜〜任しときい―――!!
ア:それと・・・紫苑将軍、あなたの上司の録尚書事への就任―――
遅ればせながらおめでとうと云わせていただきましょう。
紫:いえ―――恐縮に存じます。
ア:あなたには引き続き・・・このガク州の地にて、州兵たちへのバックアップをしていただきたい。
現在世間では、俄かに東の事が騒がれつつあるが、油断をしている隙に横っ面を張られる事は良くある事だ・・・
紫:そこのところをご理解できているのならば、もはや私には何も云う事はございません・・・
ご安心を―――この私がいる限り、彼奴らめにはこのガク州の地へは一歩たりとも踏ませはしません。
ア:うん・・・私もそれを聴くと心強いよ―――
では―――諸兄らの活躍に期待をする!
〔そこには―――後にも前にもない、最高の人事がありました・・・
州公であるアヱカの助役・補佐として、州丞となっているタケルに、
前年度と同様に、州軍の司馬としてのキリエ―――しかも彼女には、新たに治水の面でも担わせるよう促せておき、
一方の州兵の練兵には、准将であるヒに担わせ、また同時にヴェルノア軍との連携もとりやすくするように言っておいたのです。
そして紫苑には、彼女の上司である方の録尚書事就任の言祝ぎと、
ガク州兵とよろしく協力し合う事を言いおいたのです。〕