≪五節;怒れる“龍”≫

 

龍:>なるほど―――・・・私たちのところに現れなかったというのはこういうことか・・・

  相も変わらずの、見下げた判断よな・・・お前たち―――<

 

副:やっ、やはり・・・左将軍―――!!

准:ぐ・・・お、おのれは―――あの地を守っていたのではないのか??!

 

龍:>――――・・・。<

 

准:そ、それに・・・わが主、ワグナス様を―――

 

龍:>・・・云いたいことは、それだけか―――<

 

副:な―――なにぃ?!

 

龍:>一つ勘違いしないように、云っておいてやろう・・・

  私が、あの地に来たお前たちを殲滅させた理由は、私が あのお方 より、あの地を守るよう・・・仰せつかった故。<

 

准:あ・・・あのお方―――だと・・・?

 

龍:>それに・・・私が今、こうしてここに現れているというのは、これ以上この大陸の住民を、

  お前たち如きの手にかけさせてはならない・・・これは私自らが、あのお方に誓いを立てた矜持そのもの―――!!<

 

副:あ・・・あぁ・・・まさか―――

准:復活なされたというのか―――?!

 

龍:>だから・・・私はどこへでも現れるぞ―――

  この私が知覚しうる限り・・・お前たちの暴虐を阻まんがために―――!!<

 

副:うぅ・・・退――――

 

龍:>させん―――!!<

 

ブリーザー・アーツ

<氷結の闘技>

 

アイシクル・ディザスター

 

副:ぐがはあぁぁ〜〜――――!!

 

准:ひ・・・退けぇぇ〜〜―――!!退けえぇぇ〜〜――――!!!

 

龍:>逃さぬと云ったであろう―――!!

  お前たちのような者を残していれば、いづれ禍根となってくる・・・

  そうはさせないためにも、今、ここでお前を滅する―――!!

 

  そして・・・次こそは、ザルエラも出てこざるを得まい・・・<

 

准:ひいぃぃ〜〜〜・・・ゆ、許―――・・・

 

龍:>・・・・もう、そんな・・・怯えた哀れな顔をしたところで無駄な事だ。

  “皇”に逆らいし罪―――前(さき)に冥府へと旅立ったあの者と、悔い改めるがいい・・・<

 

 

〔蒼き龍は、決してその者達を許しませんでした・・・。

自分たちの=闇=の部分に敗け、人をすという快楽に目覚め、堕ちた裏切り者達を・・・

 

元はといえば―――彼らも、キリエたちと同様に同じ主を頂に仰ぎ、共に住みよい時代に向かい邁進していた・・・

 

なのに―――第三者からの勧誘・誘惑に靡(なび)き、前の主を見限って=闇=の勢力に屈した“赦されざる者”。

 

そんな彼らは、事ある毎に自分たち側の戦略を見抜き、一つの戦で敗けるにしても、

こちらに関しての内情が筒抜けなのだから、いつも辛酸を嘗めさせられた上での勝ちだった―――

そしてそれは負け戦と同義・・・

いわゆるところの“戦に勝って勝負で負けた”―――

 

そして、釈然としないままに次の戦へと赴き、そこでは以前の戦内容のことを逆手に取られ、

情報霍乱をされた挙句の大敗―――

 

そこには、小さな勝利を収めた後での大きな敗け・・・と、云う悪循環が起こり、

“皇”の統一は、果てしなく遠いものであるとも思えたのです。

 

けれども、=槍=と=盾=の活躍により戦局も大きく変わり、

“皇”の治世・晩期になって、ようやく望んでいたことが叶えられるものだと思っていた・・・

その矢先での“皇”の崩御―――

 

折角・・・あの方の理想を勝ち得られたはずなのに―――・・・

この・・・心の片隅に蟠(わだかま)るモノはなんだったのか・・・

 

 

だからこそ―――もう、あんな想いをするのは二度としたくはない・・・

そう云わんばかりに、“蒼龍”は咆哮(ほ)えていたのでした。〕

 

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

 

 

あと