≪六節;甦る―――高らかなる歌声≫
〔けれど―――確かに、ショウ王の葬儀の場にはアヱカの姿はありませんでした・・・。
―――だとしたなら、ヒョウの云ったように、
早、この国に愛想を尽かし、野に下りでもしたのか・・・とも思うのですが、
実はアヱカは、あることをするためにシャクラディア城に立ち寄っていたのでした。
そう・・・“古えの皇”自らの口で、魂を鎮めんとする―――
そんな意味を持ち合わせる、ある言の葉を紡がんとするために・・・〕
女:―――・・・。
称え奉れ 王に居ます主を
肉と霊の 病 癒す主を近づけ
君が側へと 歌を歌いつつ
称え奉れ 世界統ぶる主を
翼 伸べて 民を守る主を
祈りに 耳を傾け 答え給う主を
称え奉れ なす業を祝し
いと良きもの 常に満たす主を
新たに 思いみよ主の 深き御恵みを
称え奉れ 我が内のものよ
称え奉れ 生けるものよ 主を
嬉しき歌の声にて 御座の揺るぐまで
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〔それは―――高らかなる歌声のようなものであり・・・
それは―――万物の御魂が安らぎを求めんとするものであり・・・
それは―――強大なチカラのこもった言の葉であり・・・
須らくそれに当たりし者は、怨み穢れを祓われ、昇魂をなさん―――・・・
しかしそれこそは、“古えの皇”が、近親者が亡くなると必ずといっていいほどなされていた行為であり、
永らくの間その方の下に従っていた彼女たちは、この“歌”を聞くと同時に・・・〕
コ:(しくしく)―――ふみゅぅぅ〜〜・・・(しくしく)
乃:(しくしく)―――ふみゅぅぅ〜〜・・・(しくしく)
ゼ:どうしたの・・・コみゅちゃん、乃亜ちゃん―――泣いちゃったりして・・・
乃:・・・また、だれかさんがしんじゃったの―――(すんすん)
コ:でも―――その人はとても幸せ・・・女禍様が、ご自分の意志で、あの歌を紡がれているから。
ヤ:けど―――よう・・・確かに綺麗な歌声だが、
なんか・・・こう―――胸に詰まってくるものがあるぜ。
乃:それは・・・しかたがないこと、あのことのははししたもののたましいをしずめるためのもの・・・
コ:生前の―――善しきにしろ悪しきにしろ、心の隅に蟠(わだかま)りとして残るものですら、
須らく祓い天へと導くもの―――・・・
ゼ:それで―――なんだ・・・それじゃ、ウェオブリに行かなかったというのも・・・
ア:そのことは私から説明をしてあげよう―――ゼシカ・・・
ゼ:アヱカ様―――
ア:この場所は―――遥か昔にも、私が皇都を築いてきた事からもわかるように、
非常に霊的なチカラが集束しやすい特異点でもあるんだ・・・
それに、今ではこの秘蹟を行えるのも、私を於いて他にはいない―――
第一、彼の血族にはあともう一人の世継ぎがある、
そんな方を差し置いて、私なんかが出る幕ではないだろう・・・
〔哀しくもあり―――また、讃えるものでもある・・・
“古えの皇”の紡がれていたあの言の葉には、そんな意味合いが含まれていたのです。
けれど、そのことは同時に“神”の所業にも近しい行為でもあることに、
無用な混乱を招きかねないとして、
その方が気を利かせて成していた事なのでした。〕
To be continued・・・・