≪五節;的確なる助言≫
〔こうして―――来賓を出迎えた者は、作業を一旦中断すると、婀陀那を居住区へと案内したのです。
そして―――・・・〕
ア:何か、今日は相談事でも―――?
婀:お察しでございましたか―――いや、実は・・・
〔先ほどまでは、純粋素朴の表情だったのに、
婀陀那が不意にここを訪れることを知っていたかのように、凛然とした表情になり、
彼女が持ちかけた懸案を聞くに至ったのです。〕
ア:なるほど―――つまりあなた様は、この私に尚書令になってもらいたい・・・と。
婀:はい―――妾も、あの方の固い決意の眼差しに、是非もない・・・と、したのですが、
ここのところ少し急いている様に思えまして・・・
ア:そうだったのですか―――いや、だとしても、録尚書事であるあなた様でさえも手を焼くことに、
私如きが何を出来る筈もないでしょう。
婀:そうは申されますが―――・・・
ア:それに―――この国には、人がいないわけでもありませんでしょう。
それに、所詮私は道端にある石ころ同然・・・見事なまでの玉石を、遠方に飛ばしたままでは、人選の眼を疑われますよ。
婀:(遠方―――)なるほど、エルランドに出向させてある者を呼び戻せ・・・と、
確かに、今はその時期でもありましたか。
ア:フフ・・・。
ああ―――そうそう、せっかくあなた様もここまで来られて、手ブラで帰っては申し訳が立たないでしょう。
そこで・・・私がその役職に就けない代わりに、ある役目を担いましょう、
それでしたら私と釣り合いが取れるかもしれません・・・。
〔婀陀那がアヱカに持ちかけた懸案―――とは、自分の政策を推し進める上での援助・後ろ盾ともなる役職・・・“尚書令”に、
是非とも就いてもらいたい―――との要請だったのです。
しかし、アヱカは身に余る栄誉だとし、柔らかい物腰で拒んだのですが、
その代わりとして、一人の人物を尚書令に推挙したのです。
その人物とは・・・やはり婀陀那と同じくして、ここ最近でフ国の官となり、
その辣腕な政治能力を買われて、その人物の元いた国―――
ハイネスブルグの一地方に“出向”という形で、鳴りを潜ませていたのです。
そう・・・元・ハイネスブルグ尚書令、 イセリア=ワィトスノゥ=ドクラノフ ・・・その彼女のことなのでした。
しかし、もう一つ―――このシャクラディアまで来て、本来の成果なしに戻るのでは、
さすがに格好がつかないだろう・・・と、し。
また、尚書令に就けないお詫びとして、ある役目を担う官職に就くことを約束したのです。
その官職とは―――・・・王の傍に仕え、よろしく言動をお諌めする・・・
=諫議大夫=
なのでした。〕
To be continued・・・・