≪九節;虚空より・・・≫
〔それはそれとして――― 一方のこちらでは・・・〕
ア:(いつの間にか・・・戻っている―――)
女:≫・・・アヱカ―――?≪
ア:≫―――はい、どうしたのでございましょう・・・≪
女:≫今の・・・君は―――君だよね?≪
ア:≫・・・どうしたのでございます?
女禍様・・・わたくしを、わたくし自身―――などと・・・≪
女:≫・・・・。
いや―――気の所為だろう・・・それよりも、カルマ・・・≪
ア:≫はい―――・・・軍備の強化を図るなどと・・・
また・・・多くの尊い命が亡くなろうというのですね・・・。≪
女:≫うん・・・それには、最小限の犠牲をして、最大の犠牲を抑えなければ・・・≪
ア:≫・・・あなた様も、そんなことを仰るのですね―――
けれども、今は目を瞑りましょう・・・そうしないことには、多くの民の命が危険に晒されることになりますから・・・≪
〔ふと気付くと、女禍様は自分が拠り所としている身体に戻っていました。
それも・・・自分でも気付かないうち・・・ごく自然に―――
そのことに不審を感じた女禍様は、もう一人の―――共有させてもらっている身体の持ち主である、
アヱカ本人に訊いてみたのですが―――・・・
なんとも不思議なことに、そこにはいつものアヱカが―――
柔らかく・・・優しく・・・今にも手折れてしまいそうな、そんなあえかなる存在・・・
先ほど感じたような、芯のしっかりとした―――それでいて、総てを委ねても差し支えなさそうな存在・・・
そんな感じではなかったのです。
そして、こちらのほうでも、イセリア同様に、カルマの軍の再編成に強い危機感を覚えるのですが・・・
一つイセリアと違っていたことは、アヱカはこれから起きようとする戦乱の世を望むではなく、
深い遺憾の意を顕わにしたのです―――
・・・が、しかし―――最低限の行為、守備防衛をしなければ、
そこで罪も莫き人たちの命が、多く奪われてしまうことになる・・・と、し。
ある程度の“見ないフリ”を覚悟しなくてはならないとしていたのです。
それはそうと―――・・・
では、あの時現れた―――・・・
アヱカのようであって、アヱカではない存在―――・・・
女禍様でさえ疑念を抱かせてしまう、“誰でもありながら、誰でもない者”・・・とは―――?
今・・・虚空にて―――状況の総てを把握せし者は・・・〕
――フフフ・・・・差し出がましいとは思いましたが――
――わたくしも、まだまだ 若い ・・・と、云うことでございましょうか――
――それにしても・・・ほんの少しばかり開放を試みただけですのに――
――想定以上に消耗が激しいとは・・・――
――ここはやはり、必要以上の時意外、出ないようにしなければ――
――わたくしや・・・わたくしの愛する方々・・・――
――その多くの・・・ある希望(のぞ)みのためにも――
To be continued・・・・