≪八節;初めての反抗―――そして受諾へ・・・≫
〔ところが―――・・・〕
サ:・・・だけど―――やはり私は、それを受けるわけには参りません。
ア:―――どうしてなんだい?!
・・・もしかすると、何か気に障ったことが―――・・・
サ:―――・・・。
ア:それは悪いことをした―――けれども、君の力がどうしても必要となってきたんだ。
悪いところは直すから・・・頼む―――この通りだから!
サ:・・・!!
そんなっ―――止めてくださいよ・・・こんな私に頭を下げるなんて!
あぁ・・・どうしよう―――そんなつもりじゃないのに・・・面(おもて)を、面を上げてください!!
〔突如として、女皇である方が、一人の家臣の前で身を屈められた・・・
その家臣の、上背よりもないお方が、そうすることによって、いつもより小さく見えたものでした。
嗚呼―――なんて私は罪なことを・・・
サヤは―――女皇が自分に対して、してくれた態度を目の当たりにして、申し訳のない気持ちで一杯になりました。
それもそのはず―――本来ならば、“土下座”というものは、身分の低い自分たちが、
高貴な身分のお方たちにしなければならないというのに―――・・・
第一、サヤ自身が、今回のお願いを拒んだ理由は、
この度実施された適正試験や、初勅などの政策自体が気に入らなかったのではなく―――・・・〕
サ:・・・私が―――あなた様からのお願いを受けられないのは・・・
私は、知ってしまったんです―――・・・
“古(いにし)え”である7万年前、私たちの若さからしてきてしまった数々の“ヘマ”を、
“皇”であったあなた様が、総て被られてきたことを・・・・
こんな私なんかより、適正だと思われる連中がいるじゃないですか―――
だから私は、受けるわけには行かない―――って云ったんです。
〔“古(いにし)え”である7万年前―――やはりサヤは同じ役職に就いていました。
けれどもそれは―――サヤを養っていた方が、“車騎将軍”という位の高い人物だったから、
それ相応の身分を与えられた―――つまり、分不相応の位・・・世襲制による就任。
あの当時は、サヤもキリエも若くして幼かったがゆえに、数多くの失敗をしてきていました。
そしてそのことは、当然ながら・・・養っている方であり上官である“驃騎”“車騎”両将軍や、
“皇”である方まで非難糾合が届き―――
けれども、サヤ・キリエ両名は、その当時そんなことなど知る由もなかったのです。
図らずも知ってしまったのは、自分たちが自立できるようになった、後の時代でのこと・・・
成長していくに従い、分別もつくようになって、徐(おもむ)ろに知れてきた自分たちの所業・・・
結局―――“皇”存命中に、世の中が定まらなかったのは、自分たちの所為だと思い込み、
だからこそ今回の適正試験でも、女皇自らの下命でも、安易に引き受けるようなことをしなかったのです。
でも―――・・・思いもよらない女皇からの態度に、ついぞまごついてしまうサヤ・・・
そんな彼女を見た、ある方は―――・・・
――だから云ったじゃないか・・・それで十分なんだよ―――って・・・――
この方は、何もかも存じていらした―――
この私が、つまらない意地で、今回のことを拒もうとした・・・
その理由でさえも―――
だから私は、“判りました”と、応答(こた)えるしかなかったのです。
こうして―――四将軍のうちで、空いていた“右将軍”の位も埋まり、
これから更なる局面へと、向かう準備は整えられたのです。〕
To be continued・・・・