≪七章;ある指令≫
ア:そう・・・だったのですか、そんなことが―――・・・
婀:うむ・・・ナオミ殿には、お気の毒な事じゃ・・・
これから頼りにさせてもらおう―――と、言う時に。
ア:はい・・・。
〔そう・・・この時婀陀那は、律儀にも―――
と、いうよりも、婀陀那自身、ナオミの素性が分かっていなかったので、ナオミの言う通りに、
『ナオミが、自分の親元が危篤状態であるために、ギルドを離脱した』
旨を話したのです。
(つまりは、この時点で、婀陀那はアヱカに、ナオミの出身から身元などを話していない・・・と、言う事)
そして――― 場面が変わり、ギルドを去って、翌日の昼前・・・・件の竹林の庵にて―――〕
ナ:お呼びにより、召致に応じました・・・。
何か御用ですか、わが主―――タケル―――
タ:フッ・・・・すまんな、折角羽を休めていたところに―――・・・
ナ:いえ・・・・滅相もない。
タ:まぁ・・・それは良い。
実を言うとな、一度皆を招集したい・・・と、思って、お前を呼び戻したのだ。
ユミエ一人では、荷がかち過ぎる・・・と、ワシが判断したのでな。
ナ:全員―――・・・と、申されますと、列強各国に散らばっている、同志達を・・・ですか。
タ:そうだ、それをユミエ―――鵺の二人でなするのだ・・・・やってくれるな。
ナ:ご下命(かめい)――― 承りました。
タ:それから、此度のルートは、お前達が好きに選択しろ。
あと―――・・・一部には、国の要職についている者もいるようだから、そういう者には、余り強制はさせず―――・・・
だが、なるべくなら、帰ってこさせるように促しておいてくれ・・・・
ナ:・・・・と、いうのが、今回の指令だ。
そこで、アタシは、二手に分かれて集めたほうが、手っ取り早いと思うんだ。
ユ:そうですね――― 確かに、『二人一組』(ツーマン・セル)で廻っていくよりか―――・・・は、そちらの方が・・・
ナ:よし―――― それとな、今回の召集、説得できた者達には、そいつも加わらせろ、そちらの方が、後々効率も良くなってくる。
ユ:そうですか――― では、どちら廻りで行きましょう?
ナ:アタシは―――・・・“北”を択ぶ。
ユ:(北・・・)カ・ルマにいる、“あの者”からですか?!
ナ:ああ―――・・・今回の大本命、そこから先に廻ってみるつもりだよ・・・
ユ:だッ・・・ダメです! あそこは・・・たとえお頭とはいえ―――危険に過ぎます!!
ナ:分かっているさ――― 危険なのは、百をも承知の上だよ・・・。
だがねぇ、アタシとて『禽』の頭としての意地がある、皆まで―――とは行かないかもしれないけれど、
あいつの・・・タケルの希望に添えられるだけの、勤めは果たしておきたいのさ。
〔ここでいう――― “羽を休める・・・”とは、タケルなりに皮肉を言ったものなのですが・・・
そう言われることの一部には、先の自分の失言にも原因があるものだ・・・と、思い、ナオミは反論しないでおいたのです。
しかし――― タケルの私的諜報集団『禽』の、彼女達(ナオミ・ユミエ)以外のメンバーは、七つある“列強”総てに散らばっているようで・・・
それを今回に限り、一度自分の手元に戻す・・・とは、それはつまり、今まで彼らが取り入れることのできた情報を
『巣』
(ここではこの“竹林の庵”の事)
に、持ち帰らせることの示唆でもあったわけなのです。
それにしても――― ナオミは、今の世の中の、混乱の元凶の温床ともなりえている、カ・ルマに単身乗り込もうとしているようです。
いや―――それよりも、いかに任務のためとはいえ、この国に既に潜入しているメンバーのほうも、ある意味凄いのですが・・・・
そして――― この二人の、闇の・・・裏の世界で生きてきた者達は、
互いに秘められた任を胸に―――― 各地へと、散らばっていったのです。〕
To be continued・・・・