≪七節;伝説の将の召喚≫
〔つまり―――このほど緊急に開かれた朝議も、善後策を話し合うために開かれたわけであり・・・〕
婀:ふぅむ・・・ラージャの王都も陥(お)ち、すでに仮の王都がある場所までにも、
カルマどもの魔手が伸びてきたと申すか―――・・・
イ:けれども―――・・・なぜか第一先遣隊は、その仮設の王都陥落を目前にしながらも、
なぞの撤兵をした模様です・・・。
つまりは・・・ラージャはまだ滅んではいない―――と・・・
婀:・・・そうじゃなあ―――(チラ)
タ:―――・・・。
婀:(あなた・・・)―――やはりここは、大都督である妾の権限をして、
早急なる援軍の派兵を申し出ようと思うのじゃが・・・
イ:―――そうですね・・・今のこの時期であれば、否を唱える方もいらっしゃらないでしょう・・・
私もそれに賛同いたします。
〔またしても―――国の一つが、黒き国の手を介して無くなろうとしていた・・・
しかも、その国は―――自分の旦那の故国でもあるという・・・
そのことを知っていただけに、婀陀那はタケルを見るのも辛いものがありました。
それに、タケルもこのことに関しては、触れたくはないのか・・・黙秘を貫き通したまま―――
それでは―――と云う事で、溜まりかねた婀陀那は援軍の派兵を提案するのですが・・・〕
ア:・・・いや―――それではまだダメだ・・・
婀:陛下―――それではどうせよと・・・
ア:それでは―――やはりカルマと同じことをしているに過ぎない。
いくらこちらが“義”を振りかざして派兵をしても、当該の者達からすれば、
他人の家に勝手に上がりこまれた上に、空き巣を働かれたようなものだ―――と、主張してくる者が必ず出る。
だからと云って・・・このままむざむざと、民たちが蹂躙されていくのを見るのは忍びない―――
タ:・・・・・・・・・・・。
ア:・・・やはり―――どんなにかいい案を巡らせようと思っても、
この私には、一つのことしか頭には思い浮かばなかった・・・。
〔そして女皇は静かに席を立ち―――以下のことを勅令として発布したのです・・・
すなはち―――・・・
=驃騎・車騎 両将軍を招聘する=
当代に於いて―――“驃騎”と“車騎”の両将軍職は、軍部の中でも一・二を争うほどの高官位であり、
また現在においては適任者がおらず、婀陀那やイセリア、リリアにタケルをしても就任することが能(あたわ)なかったのですが、
実はそれは大いなる間違いであり―――適任者がいないからではなく、元からいたとすれば・・・?
しかもそれも、ここ二・三年―――と、いうごく最近ではなく、ずっと以前・・・
そう―――遡ること7万年以上も前に、その職を直接“皇”より拝命した者達がいたとしたなら・・・?
そんな者達を、女皇・アヱカは、この現代に甦らさんとしていたのです。〕
To be continued・・・・