≪五節;嫌疑≫
〔その―――数分後・・・彼らの幕舎<キャンプ>にて・・・〕
モ:(モハメド;このゲリラ組織『紅きジハド』の司令である男性。)
ほぉう―――その女性は“ただの”旅人だ・・・と、いうのか。
女:はい―――
でも、ここが紛争地帯だとは気付かなくて・・・
モ:・・・だが、旅人なら、なぜパスポートもビザも持っていない。
それに、食料・水・・・どころか、金さえも持ち合わせていない―――とは。
女:(なに?パスポート?ビザ?? 一体何の事を言っているんだ?)
――――・・・。
モ:・・・・・フッ―――フフフ・・・
ここに来てだんまりか・・・おい、そのボロを脱がせろ。
兵:はいっ―――
〜ばさっ〜
モ:(・・・・てっきり難民の類かと思っていたが―――上等の服じゃあないか。
すると―――ナニか? やはりモサド・・・いや、CIAか!!)
――――・・・この女を拘束し、テントの一つに放り込んでおけっ!
〔このゲリラの司令と、質疑応答を交わしていく女禍・・・
でも残念な事に、彼女はパスポートやビザの事を知らなかった・・・
いや―――知る必要などなかったのです。
なぜならば・・・彼女とその姉妹のように、宇宙を航行している者達の、自らの身の証しを立てるモノといったら、
シップに組み込まれている“登録番号”であり―――
それが、そこに居住している乗組員・積載物資(食料等)・搭載動力炉etc・・・
それが“総て”だったのだから・・・。
だから―――パスやビザなどは、存在自体が必要なかったのです。
しかし―――地球の人間にしてみれば、そんなことは理由にすらならないので、
いよいよもって女禍を怪しみだしてしまい、敵対国―――果てはその敵国を裏で操っている大国の諜報機関では・・・?
―――と、まで疑(うたぐ)る始末だったのです。
こうして、今は彼らのテント内に居つくことになってしまった女禍。
ですが―――ここで彼女は、ある運命的な出会いを・・・してしまうこととなるのです。〕
To be continued・・・・