≪六節;高らかなる歌声―――再び・・・≫
〔それはともかく―――故人を悼む儀の再開となり、
そこでブリジットは、改めて自分のお得意様が、ただならぬ存在である事を知ることとなるのです。〕
女:・・・ご不幸に遭われたにしては、安らかな顔をしているね。
それというのも―――姉さん・・・あなたが・・・そのことは感謝しますよ。
ブ:―――そうだ、あのふざけた舞はもとより、あなたのお姉さんの神聖なるあの唄は・・・
女:―――それはね、ブリジット・・・もう君も知ってのように、私たちのやっていることは、
必ずしも安全ではない―――いや、むしろいつも危険と隣りあわせでやっていること・・・
私も多くの乗組員<クルー>たちを抱える身だけれど、
そんな彼らが、突然な不幸に見舞われて命を落としてしまったとき・・・
その穢れを払うのが、私たちの役目でもあるんだ―――
ブ:・・・そうか―――『入植』といえば、確かに未知の危険が付きまとうものでしたな・・・。
私たちが文明に飼いならされていても、前人未到の地はそれすらも拒み、数多くの生命が失われる・・・
しかし―――それにしても、あなたのお姉さんと同じように、あなた自身も・・・?
女:フ―――・・・どれ、では私も・・・
――労働のさなかの憩い――
――灼熱のうちの安らぎ――
――涕泣への慰めよ――
――おお いとも聖き光よ――
――御身が信徒らの心の最奥をば 満たし給え――
――御身の助けなくして 人類は何も在らじ――
――罪なき者 誰も在らじ――
――穢れたるものを濯ぎ給え――
――乾けるものを潤し給え――
――病めるものを癒し給え――
――硬直せるものを柔らかく曲げ――
――凍えたるものを温め――
――迷えるものを導き給え――
――御身を信じ奉る 御身の信徒らに 与え給え――
――御身が七つの貴きものをば 与え給え――
――彼らに徳の誉れをば――
――彼らに救いの扉をば――
――彼らに――
――永遠の――
――悦びをば――
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ブ:―――やはり・・・あなた方は“神の御使い”なのでは。
女:それは違うよ、ブリジット。
この私の施しは、二人の姉さんたちから比べてみればほんのささやかなもの・・・
ここにいるジィルガ姉さんはね、皆から『マエストロ』と呼ばれて慕われているように、
こうった摂理の運行を導き出してくれるんだ。
まあ、時たまに戯れたりするのは、姉さんの元からの性格のようなものでね・・・
お陰で、とっつきやすくはなっただろう―――
ブ:そうだったのですか―――・・・
でも・・・これでようやく・・・父も―――うっ・・・うぅぅ・・・(ポロポロ)
女:ブリジット―――今は想いのまま涕を流しなさい・・・
そして、忘れてはならない―――このような不幸な目に遭う者たちの事を・・・遭わせる者たちのことを・・・
でも、私たちはそれに立ち向かっていかなくてはならない、それも“暴力”ではなく“それ以外”のことで・・・ね。
〔そのときブリジットは―――以前、施された聖らかな歌声を再び耳にすることで、
あることの間違いに気付かされたのです―――
それは・・・現在自分が所属しているある“会”<ヤルタ第二会談>―――
その会合では、このたび滅んでしまった大国の、そもの原因や後始末などを話し合っていたのですが・・・
当初の原因では、また9.11のような突発的なテロリズムで、
米国の中枢そのものが麻痺した―――とも考えられなくもなかったのですが・・・
そうではなく―――米国にいる不敬者が、この“神の御使い”に近しい方たちの不興を買ったのでは・・・
しかし、それが真実でもあったのです。〕
To be continued・・・・