≪五節;“炎妖”の執念≫
カ:これは―――・・・ブリジットの父親である者が、ここ最近IRAに?
部:はい―――・・・しかもその葬儀の最中にも、どうやら・・・
カ:ふむう・・・しかし、“鉄の女”は助かった―――どうしてだろう?
部:それより、いまひとつ面白い事実が―――
カ:―――なんだ?
部:その葬儀・・・実にゴク近親の者だけが集ったものではありましたが―――
他外から弔問に訪れた存在が二つ―――しかもそのうちの一人か・・・
カ:“Joka”か―――! なるほどな・・・
だが、彼女たちは『主客』の関係でしかない―――当然といえば、当然だが・・・
部:―――これは憶測なのですが・・・
その葬儀の襲撃の際に、件の“Joka”なる存在が手を貸したというのならば―――?
カ:まさか―――? ただの一個人が、あの過激なことで知られているテロ組織を追い払えるとは・・・
部:実は―――・・・北大西洋艦隊所属の<セオドア・ルーズベルト>に搭載されている<ホーク・アイ>からの報告によりますと、
英本土のある地点から、計測不能のエネルギー出力が認められた・・・と―――
カ:計測不能―――? なんだ、それは・・・
部:さあ―――・・・ですが話しによると、その瞬時にはじき出された出力は、
計器の針を振り切らんばかりのようでして・・・全く役に立たなかったようです。
カ:ふぅぅむ――――・・・・(ドサ・・)
・・・・・だとすると、そこには無惨な屍骸がいくつも?
部:いえ―――それどころか、かの教会では、まるで何事もなかったかのように穏やか・・・だったとか。
カ:(・・・・未知なる力を行使する存在か―――待てよ?確か・・・)
―――ロズウェルの記録は残っているか。
部:一部は閲覧できるでしょうが―――本部が壊滅した今となっては、総てというわけには・・・
それにしても、あの事件と何か関わりがあるとでも―――?
カ:いや・・・分からない―――
〔次々と明らかにされていく事実―――けれどそこは憶測だけの世界・・・何一つ確証へと結びつくものなどありはしないのですが、
それでもカレンには、“Joka”なる存在が頭の隅からはなれずにいたのです。
『シャンバラ商会』という、その者が経営している屋号に、名前までおあつらえ向きに=J=の文字が付いている・・・
しかも、ブリジットの父親の葬儀―――という、あたら関係のない者の弔事にまで駆けつけている・・・
おまけに、“広域探索機”の計器の針を振りきるほどのエネルギー出力・・・
こんなにも 偶然 を持ちあわせる者を見過ごすほど、カレンは甘くはなかったのです。
そして彼女は、ある場違いともいえる大胆な仮説―――・・・
“Joka”=宇宙人
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そんな、今のままでは噴飯にしかなりえないような仮設こそが、一番 真実 に近しかったのです。〕
To be continued・・・・