≪五節;恥らう理由≫

 

 

〔それはそうと―――本艦から地上へと戻ってきたとき、ブリジットは唖然とするしかありませんでした。

なぜならば、トロイメア城には、女禍と同じ服装をしていた男女が、少なくとも二十人はいたのですから。

 

すると―――その中でも恰幅のよさそうで、傍目から見ても人の良さそうな中年くらいの男性が、

こちらに近づいてきて―――・・・〕

 

 

誰:―――これは艦長、今までどこに行かれていたのです。

女:ああ―――ハミルトン。

  いや、何・・・またこの惑星を―――ね・・・

 

ハ:(ハミルトン;女禍の艦『シャンバラ』の副官を務める、<Saga編>の一話に出演済み)

  ああ〜〜―――そういえば艦長・・・この惑星を見るなり・・・

 

――〜  ああ・・・綺麗だ・・・なんて綺麗な―――惑星・・・    〜――

 

  ―――と、嘆息していらっしゃいましたからねぇ。

 

ブ:え―――っ・・・・?!

 

女:あっ―――コラ、ハミルトン!(赤面)

ハ:はあ? ―――なにか・・・

 

ラ:うっふふふ―――それは仕方がありませんよ。

  何しろあのときにはブリジットが―――そして先ほどはハミルトンさんがいなかったんだもの。

 

  それにしても奇遇ですよね、女禍さんとブリジットが、この惑星を宇宙から見たリアクションが全くの同じなんですもの。

 

ブ:そ―――それじゃあ・・・あの時あなたたちが笑っていたというのは・・・・

 

女:いやあ〜〜・・・まさか私と同じセリフを、この惑星出身者であるブリジットがするものとは思わなくて・・・

  それでつい笑っちゃったりして―――・・・(照赤) ゴメン、気を悪くした?

 

ブ:(そういう・・・ことだったのか―――)

  いえ・・・そうは思いません―――むしろ光栄といってもいいくらいだ・・・・。

 

女:そうかい―――ありがとう・・・(ニコ)

 

 

〔そして―――このときようやく、あの時自分でも恥ずかしくなってしまいそうなセリフを聞いて、

女禍とブリジットがひそかに笑っていた理由が解けました・・・。

 

そう―――彼女たちは、ブリジットのあのくさいセリフそのものを笑っていたのではなく、

それよりちょっと以前に、全く同じことをシャンバラ艦長である女禍自身が、

地球を初見して感動の余り口を吐いて出た言葉そのまま―――だったからなのです。

 

 

それからそうこうしていくうちに、地上での作業は進行していき―――・・・〕

 

 

ハ:これは初めまして―――私がシャンバラの副官であるハミルトンです、ヨロシク―――・・・

ブ:こちらこそ―――私は、この城の元持ち主で、ブリジット=サー・アルフォンヌ=ランカスターと、申す者です。

  ところで・・・今、彼らはナニを?

 

ハ:はい―――こちらでの事業を本格化させるために、艦長のクルーザー<巡宙艦>である『シャクラディア』を、

  この城と融合させる手続きをとっております。

 

ブ:・・・は?ナニ?? この・・・城と―――クルーザーを??

 

ラ:小型で小回りが利く、宙域を飛び回るのにとっても便利な宇宙艦のことですよ。

ブ:そんなことを聞いていない―――!

  し・・・城と宇宙艦が融合・・・―――? 一体どんな奇天烈な外観になるのやら・・・

 

女:そんなに心配しなくても―――この城の美しい景観はそのままに、内装(なかみ)だけが変わると捉えてくれればいいんだよ。

 

ブ:内装(なかみ)・・・・が??

ラ:まあ―――簡単に言ってしまえば『次元融合』・・・ってことでいいのかしら。

 

ブ:・・・はあ?(次元・・・融合??)

 

女:つまり―――だね・・・ここに現在の、私たちのいる空間があるとする。

  そこを軸にしておいて、私のクルーザーであるシャクラディアを、一つ区画の隔てた・・・・

  いわゆるところの異次元に係留させておくんだ。

 

  そして、それをそのまま融合させる―――と、合わせ鏡にある向こうの世界へと行けるようになる・・・

 

  では、ナゼそういったややこしい事をしなくてはならないか―――・・・

  ブリジット、それは君のほうでも薄々勘付いていること・・・中では口で云っても理解してくれない連中を、

  私のシャクラディアに入れさせる道理なんて―――これっぽっちもないんだよ・・・

 

 

〔“次元融合”とは巧い喩えで云ったもので、

現在我々が息づいている次元―――とは、また一つ区画を隔てた別次元・・・そこを<異次元>と定義するならば、

そこに女禍自身の巡宙艦を係留させておき、その間に“融合”を済ませておき、

通常空間であるトロイメア城内部から、異次元の宇宙艦内部とを行き来可能とする・・・

 

では、ナゼそこでこんなにも手の込んだことを仕掛けなければならないか―――・・・

 

それこそは女禍自身が身につまされて感じた事、

この度滅んだ米のバイスのように、人間の皮を被って近づいてこようとする獣の類を、

易々とはシャクラディアの内部には入れさせないという、固い決意の表れでもあったのです。

 

 

―――ともあれ、そんな心配をよそに、無事トロイメア城と、巡宙艦シャクラディアは、次元融合を果たしたのでした。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

 

 

 

あと