≪六節;もう一つの闘争の結末≫
〔その一方―――カレンとラゼッタは・・・〕
カ:ううっ―――うぅぅ・・・(カタカタ・・)
ラ:―――どうしたのだ、もう終わりか・・・ニルヴァーナ。
カ:くっ・・・そぉおっ―――!
――ズババババ・・・――
ラ:ふぅ・・・もうそろそろ終わりにしないか―――
まるでバカのなんとやらのように、そんな礫(つぶて)よりも脆いものが、この私に通用しない事が判っただろう。
カ:くうぅっ―――・・・(カチッ☆カチッ☆)
ラ:おや―――? どうやらその前に、攻撃手段がなくなってしまったようだな・・・。
どうかな・・・これを機会に、諦めて帰る―――というのは・・・
カ:黙れ―――! 私には、無念にも死んでいった者達の、怨みというものが課せられているのだ・・・
そうやすやすと―――
ラ:―――いかない・・・と、云うのであれば、それでも結構。
どの道、こちらはお前達を無傷で帰す道理などないのだから・・・な。
――〜パリッ・・・☆〜――
カ:(なんだ―――? 今・・・ヤツの身体から、電・・・いや、火花のようなものが・・・)
ラ:だから、一つ良い余興として、お前には恐怖というやつを植えつけておこう・・・
もう二度と―――こんなバカな真似をしないように・・・な。
――わが 雷 よ、地を這う龍となれ――
ブレイカー・アウト
光 力 発 現
=アーク・サンダー=
〔アーク・サンダー;雷光を纏いし龍の身体に流れる微弱な電流を、一瞬地表に流れさせる事により相手を痺れさせる技。
ラゼッタは・・・ただ、自分の利き腕を、そっと地面に添えただけでした。
けれど、その腕より流れ出た雷光は、すばやく地を駆け巡り、
その場にいた、カレンを含むC班の全員を感電させてしまったのです。
そして―――・・・〕
ラ:あら、そっちも終わったようね。
マ:ああ・・・まあね―――
ラ:・・・どうしたのよ、浮かない顔をして。
マ:・・・ああ、意外にも脆い連中なんでね。
それで少々頭にきてんのサ。
ラ:あらあら―――(クス・・)
マ:そういう君のほうは、満足できた―――って云うのかい。
ラ:え? ・・・まあ〜〜ほんの少しくらいは―――
マ:・・・嘘を吐けよ、ボクより不満たらたらなのが、体中から滲(し)み出てるぞ。
ラ:あっ・・・判っちゃった? だってねぇ〜〜―――・・・
マ:そう・・・実際ワンパターンなんだもんなぁ・・・この連中ときたら―――
こいつ(銃)しか攻撃手段がないなら、早く諦めて切り上げてくれればいいのに・・・
ラ:そんなに腐らないの―――この連中近くの公園にでも捨ててきたら、私がお相手してあげるから・・・それで我慢なさいよ。
マ:ふわぁ〜・・・ぁあ―――いや、遠慮しとくよ・・・もうそろそろ夜も明けてきそうだし、
それにボクのお睡(ねむ)の時間だから・・・。
ラ:あぁ〜あ・・・これだからヴァンパイアは―――
マ:・・・ハイランダーのクセに―――
ラ:ああ〜〜っ! 云ったわねぇっ―――?!
マ:云ったよ―――・・・
〔そこには、今回侵入に失敗し、気を失ったカレン以下を抱えるようにして、
トロイメア城の近くにある公園に放棄してこようとする、ヴァンパイアとハイランダーの姿がありました。
しかし、そこでも彼らは云い合いになり・・・
けれども、お互いの気心が知れているので、それ以上は発展しないのです。
それは・・・暁の出来事―――今日も燦々と照りつける太陽が、顔を出すまでの、
ほんのささやかな・・・それでいて微笑ましい一コマなのでした。〕
To be continued・・・・