≪六節;サイアクのタイミングで・・・≫
〔しかし―――そんなこととは、露ほども知らないこちら側では・・・(キャンプ襲撃の数分前)〕
女:ゆっくりと―――お休み・・・
ア:じゃあね――――ばいばい〜!
女:―――――・・・。(フフフ・・・いい子だ―――)
〔満腹―――とまではいかないけれど、腹ごしらえは出来たので、これから床へと就くために、
少年―――アベルと、その祖母と分かれた後、自分も床に就こう―――と、した・・・
その時―――!!〕
ジ:ホォ〜ント♡ ちょっと前から見てたけど・・・中々可愛らしいわねぇ〜あの子♡
女:(どっきん!♡)い゛っ―――・・・!!
ね・・・・姉さん?!!
ジ:ふぅぅ〜〜〜――――ん・・・・(じろじろ じろ)
女:(ア・・・・アハハハハ―――)な、なんでしょう・・・・(冷汗)
ジ:・・・・ま、この様子見てるとぉ〜? “勾留”・・・まではいっていないみたいだわねぇ―――
女:(ギク・・・)はは・・・ははは・・・・ち、ちょっとイロイロありましてね〜〜―――
ジ:ふぅぅ〜〜ン・・・“イロイロ”ねぇ〜〜―――・・・
ま、余り深くは聞かない事としましょう―――。
女:(ほ・・・)やれやれ―――
ジ:ん??なんかいった―――?!
女:い―――いえ、とんでもない・・・。
と、ところでぇ〜〜―――姉さんのほうの戦果・・・は?(しれっと)
ジ:『戦果』・・・って、いったってねぇ〜〜―――そんなに大仰なモンじゃあないわよ。
こっちは、集(たか)って来たハエを、叩き潰しただけなんだしぃ〜。
女:(お゛を゛っ・・・ね、姉さんにしてみれば、そうなんだろうケド〜〜・・・)
ま・・・まあ―――この惑星も、私たちが入植するには適応しているみたいだし・・・
ジ:・・・・・・・・・・・・・・。
女:(ぇえっ?!)ね――――姉さん??
ジ:・・・ほんっっ―――っと、昔からすると可愛げがなくなった・・・っつうか〜・・・。
女:え゛っ?! なんなんです―――それ・・・
ジ:だってぇぇ〜〜ン♡ 今の女禍ちゃんたら、見るからによそよそしぃんだも〜ん♡(くねくね)
女:・・・・・もう“ちゃん”と呼ばれる歳じゃあないんですから、そう呼ばないで下さいっ―――!
ジ:・・・・・。(うるっ)
うえぇ〜〜―――ん、女禍ちゃん怒っちゃったぁ〜〜(サメザメ)
女:(何も泣かなくても―――・・・)これだもの・・・・(はぁ〜・・・)
ジ:(べ♡)
女:――――今、何かやりました?!#
ジ:〜〜〜―――♪
女:全く・・・もうっ!
〔背後で・・・どこか聞き覚えのある声がすると思い、振り返ってみれば、
それは自分を追ってきた存在―――実の姉であるジィルガだったのです。
ところで―――ナゼ女禍と、彼女を取り巻く者達が、ジィルガを一目置いていたかというと。
自分の妹には甘々なのに、他の者に関しては激辛・・・
しかも、“敵”と判断したらば、真もって容赦、情状酌量の余地などない、性格の持ち主だったからなのです。
すると―――この時、間の悪いことに・・・〕
ドォ――――ン・・・≧
パン パン パパパン・・・ タタタ―――・・・≧
女:(うん?何かの炸裂するような音・・・・)
バサッ―――!
モ:おいっ―――! お前・・・やはりスパイだったな!!
ジ:なに―――こいつ、いきなり・・・(ムカ#)
女:(ぁああっ!やばっ!!)ああ―――いや・・・
この人は―――このキャラバンの責任者で・・・ボブおじさん・・・って言うんだ。
ジ:(はア?)ボブおじさん―――?
モ:な―――ナニを分からない事をごちゃごちゃと・・・
それよりお前―――お前はなんなんだ?!こいつの仲間か!?
ジ:(・・・ふぅ〜ん)――――私?
私は、この子の姉で、ジィルガと申す者。
それよりあなた―――レディの前で、そんな物騒なものを掲げて・・・まるで作法がなってないわねぇ。
モ:当たり前だろうが―――!!
こいつは・・・今しがた、憎むべき帝国主義のスパイだった―――ってことが判明したんだ。
それに・・・あんたがこいつの姉―――ってことなら、やはりあんたもスパイってコトのようだな!!
ジ:――――はぁ?? ナニ言ってんの・・・スパイ〜〜だ、なんて・・・
女:ああ―――いや・・・その〜〜〜“ごっこ”をしているんだ・・・私たち。
ジ:はぁあ?? いい大人が―――スパイ“ごっこ”ぉ?!
ほどほどにしときなさいよねぇ・・・。
〔外で何かが爆発する音と、乾いたような単発の炸裂音・・・
そして、そのすぐ後にテント内に入ってきた、銃を構えたゲリラの長・・・
しかも、独りのはずだったのに、またもう一人・・・自分たちの知らない、蒼い髪をした女性が・・・
ちょうどそれを、スパイ同士が、情報交換をしている最中か、救出しようとしているところか―――と、したのですが、
ジィルガにしてみれば、久方ぶりの妹との再会をぶち壊された挙句、自分もスパイ如きに間違われた事に、
少々苛立ってきているようです。
でも・・・このままの状況で流れていってしまえば、遺される選択肢はただ一つだけなので、
さすがにそれではまづいと思った女禍が、何とかその場を取り繕うとしたのです。〕