≪五節;深き絆≫
〔そして―――ようやくラゼッタを取り戻せた頃、今度こそ女禍本人が現れ・・・〕
女:ラゼッタ・・・すまない―――君をこんな目に遭わせてしまって・・・
あの時―――君の故郷の惑星で、君の父上や母上の前で誓いを立てたというのに・・・
それなのに―――・・・
ラ:うう・・・うぅぅ・・・―――
――ナカナイデ――
女:こんな・・・約束事の一つも守れないような者のコトを、君は赦してくれるというのだね。
ありがとう・・・優しいよ―――君は・・・
〔すると―――先ほどまでの彼女は鳴りを潜め、一転して女禍に牙を向く姿がそこにはあったのですが、
よほどに両者の関係は深いところで繋がっているものと見え、女禍があることの悔恨の情を見せたところ、たちどころにラゼッタのほうでも悄然とし、
またもや先ほどのような反応を示して見せたのです。
そのことに女禍は、未だ本来の彼女自身は失っていないものと感じ、ほほを摺り寄せ合わせたのです。
それからというものは、幾分か大人しくなったものと見え―――拘束されているラゼッタを遠目にして、マグラが云うのには・・・〕
マ:それにしても―――危ういところでした。
こいつが本能的に自分自身をリザーブしておかなかったら、今頃は最も手強い相手として現れていたことでしょう。
ブ:うん・・・? なんだと―――それはまるで・・・
カ:そうだ・・・まるで、アンダーカヴァーのような―――・・・
マ:フ・・・こいつが敵の手に簡単に落ちるような間抜けなら、何もボク如きが出る幕でもない。
ただの駒なら、女禍さん自らがその手で壊してしまえば済むことだからだ。
だが・・・女禍さんはそうはしなかった―――
ブ:それは・・・ラゼッタがただの駒ではないから―――?
マ:ま・・・単純に云うとそういうことになるね―――
それに女禍さん自身も云っていたように、こいつのご両親の前で直接誓約を交わしている。
『あなた方の娘さんを預かる以上、この命を賭しても必ずや護ってみせる』・・・とね。
カ:そんなモノが―――・・・道理で絆が深いはずか。
女:けれど・・・この子の父や母の前でして見せた誓約は、ものの見事に破られてしまった・・・。
この子をこんな危険な目に遭わせたりして―――私は・・・私は・・・!
マ:・・・でも、ラゼッタのヤツはまた元の通りに戻ったじゃないですか・・・これからですよ―――
〔そう云うとヴァンパイアロードは、漆黒の闇へと溶け込み、その場から気配を絶ったのでした。
こうして―――敵の手へと捕らわれた者の奪還は無事に終わり、
ブラックウィドウたちの目論みはものの見事に外された―――かのように見えたのですが・・・〕
オ:(オーギュスト=カリギュラ=シュタインバッハ;この当時のウィドウの実質上NO2。
ウィドウの上層部=ディアブロ=(のちの七魔将)を管理する。)
盟主―――どうやらあの駒は当てが外れたようで・・・
ヱ:フフ―――まあよい・・・構うことはありません。
あのくらいの駒なら、こちらでいくらでも用意は出来ます。
それに・・・フフフ―――良いメッセンジャーにもなってくれたことですし・・・そのお礼を、のちほどに―――
オ:良き様にお謀りください―――盟主・ヱニグマ・・・
〔ブラックウィドウたちは、今回のことはさして気にするほどのものではないとし、
それどころか見事なまでに伝言役を果たしてくれたそのお礼を―――・・・予(かね)てよりの贈答品があることを仄めかせたのです。
そして―――そのための準備をするためか、片腕がその場からいなくなると、
その女は、虚空に向かっていやらしげなる笑みを湛(たた)えるのでした・・・。〕
To be continued・・・・