≪五節;発憤≫
〔それは―――まるで・・・地獄の冥府の王のようにも・・・神の裁きの声のようにも聞こえたものでした。
しかし、そうであっても彼らは―――・・・〕
職:だ―――第三区画まで侵食!! 抑えることが出来ませんっ―――!!
職:相手は・・・我々の武器では、殺す事どころか、傷つけることさえままなりません―――
どうしたらいいんですか!!
女:―――・・・。(ス・・・)
カレイドよ・・・わが ユピテール=アルダーナリシュヴァアラ の名において認証する・・・
『風』の理力―――“大いなる叫び”を発動させよ・・・
キイィィ――――― ・・ ・ ・ン
〔『ハウリング』・・・風の―――“大気”の鳴動により生じさせた、高周波・低周波による攻撃、いわゆるところの≪超音波≫
これにより―――・・・彼らの使用していた、電子装置施設は、完全に沈黙・・・
しかも、直接耳にあてがい、交信などを担当していたオペレーターたちは、皆、耳より血を噴き流して絶息する始末だったのです。
ですが―――彼らの抵抗は、まだまだ続きました・・・〕
職:侵入者、まださらに侵食―――このままですと、“あの区画”に入ってしまいます!!
バ:ナニ?“あの区画”!!?
それはいかんぞ―――・・・なんとしてでも食い止めろ・・・いや、進路を逸らせるのだ!!
フ:“あの区画”―――・・・もしかすると
バ:う・うぅ―――・・・。
(しかし・・・ナゼ? 我々のうちでも、限られた人間でしか知らないというモノを・・・
それを外部の者であるあの存在が―――??)
いいか―――・・・なんとしてでも阻止しろ! 最悪の場合、バイオ兵器で対処するんだ!!
職:・・・かしこまりました―――
フ:(んな・・・)―――んだと?? バイオ兵器を・・・ここで使用するというのか!?
お前・・・それがどういう事になるのか、知っているのか?!
バ:(フフ・・・)おそらく―――私の首の一つや二つでは済まされんだろうな―――・・・
大統領も免責は免れまい・・・。
フ:こ・・・この―――恥知らずめ! 何も閣下まで巻き込むことは無いだろうが!!
バ:なら―――今から私たち二人が、あの存在の前に出てみるかね?
フ:ナニ―――?
バ:だがしかし・・・その時は間違いなく、“彼女”は、私たちを苦しませる事なく、殺してくれる事だろうさ・・・。
フ:うっ・・・ぐぐ―――
バ:(フ・・・)あんたも―――まだ現世に未練があるのだろう?? ならば、私の指示に従いたまえ。
〔往生際の悪いことに、その特別補佐官は、自分を中心に、 自分の上司 は言うに及ばず、
今回のこの事件に関わった者達が、もし生き残れたなら、責任を取らされる―――そのことをほのめかしていたのです。
ですが―――その“もし”は、『万が一』にもありえませんでした。
それに、このとき・・・丁度、女禍が向かいつつあった先も、偶然の何モノでもなく―――
すると、例の“区画”の一歩手前の区画に入ると、防護服に身を纏った数人の職員が・・・・〕
女:(ぅん―――?)
職:てぇっ―――!
ボシュ――― ボシュ―――
しゅぅぅ〜〜・・・
女:(攻撃手段を変えてきたか―――・・・だが、この霧のようなモノの成分は・・・?)
(―――ピ・ウィィ〜グ・ピピ・・・)・・・成る程、『毒ガス』か―――
この・・・愚か者共が!! それは、大地を穢し、水を腐らせ、大気を汚染するものだろうが!!
それに・・・生物達の遺伝子をも蝕んでしまうというのに・・・どうしてそのことが判らないんだ!!
職:こ―――これより先は・・・絶対にお前を入れるな・・・と、上からそういわれている、だからだ!!
女:(ナニ?)・・・では、それがお前達の“最後の切り札”と、いうことか―――
ならば見せてみろ・・・大概の事では、私は驚きはしない・・・。
職:そ、そうはさせないっ―――!!
パンッ――――― パンッ―――――
女:・・・無駄な事を―――だが、その前に、この煙は邪魔すぎる・・・
カレイドよ・・・わが ユピテール=アルダーナリシュヴァアラ の名において認証する・・・
『火』の理力、“過大なる燃焼”を発動させよ・・・
〔『イグニス』・・・総てを焼き尽くす炎―――これは、総ての物質に備わっている“可燃物質”を消化し、
生物であろうが、非生物であろうが、その原子活動が失われ、停止するまで継続される畏るべきモノ・・・。
その―――職員は、忠実なまでに、上からの命令に従っていました・・・。
けれども、自分たちが知らずのうちに護っていたモノが、何であるかまでは知らなかったのです。
しかし―――盲目的だけれども、“その存在”がそこへ向かってはいけない・・・と、その職員の直感は云っていた―――
結論から云うならば、その職員の直感は正しかったのです。
そう・・・その“区画”より、一歩手前の区画を焼き尽くし、毒ガスを燃焼させた女禍は、
硬く閉ざされた頑丈な鋼鉄製の扉でさえも―――・・・
そして・・・そこで彼女が見たものとは―――〕
バ:あぁ―――あああっ・・・!!
フ:(も・・・もうおしまいだ―――)
女:(ギリィ・・・)そうか―――これがお前・・・・
イや・・・キサマラノ最後の手段―――!!
うぐっ・・・ぬぅぁああ―――!!
〔女禍は―――それがナニであるのか、一目見ただけで・・・そう、<スキャンニング>を行わなくても判ったのでした・・・。
老朽化し―――僅かながらに漏れ出している放射能・・・それゆえに、厳重に施されていた堅牢なる“区画”―――・・・
それが、『核弾頭』が備え付けられた“爆弾”には相違なかった・・・。
そして―――それを見た事により、女禍は≪最終形態≫へと、移行してしまったのです・・・。〕
To be continued・・・・