≪八節;未来への道標≫
〔それはそれとして―――侵入者を、譬え「戯れ」未満で撃破したとしても、その余りの強さに完全に声を失ってしまっていたものでした。
そんな彼女たちの表情を見て、遣る方のないモノだと思う大公爵ではありましたが・・・〕
シ:(こっ―――これが・・・)
レ:(ヴァンパイアの・・・真の闘争―――!)
ユ:(それに・・・ヱリヤ様の―――龍の血しか飲めないエルム様とは違い、この方は人の血を飲むことで傷を負った個所を直してしまっている・・・)
ル:(こんな・・・方が―――今は味方をしてくれてはいても、いづれは・・・!!)
ナ:(畏るべきはヴァンパイア―――だが・・・この私が居る限り!)
大:・・・フッ―――そんな目で余を見るものではない。
安心をしたまえ・・・汝らを相手にしてまで、退屈を紛らわせようとは思わんよ。
〔やはり・・・「最強」の実力をまざまざと見せつけると、誰しもがそうしたように―――自分を遠巻きにし、身構え、猜疑の目で見たものでした・・・。
しかもそれは―――以前にも自分に差し向けられたそれ・・・
味方のはずなのに―――まるで敵を睨むような・・・それ・・・
けれど、二度と同じ間違いは犯さない―――と、自分に言い聞かせ、また彼女達にも言い聞かせるようにしたものだったのですが、
それで総ての警戒が解かれたわけではありませんでした。
しかし・・・するとそこへ―――〕
マ:・・・おっちゃん―――もう、あんな真似やめてよ・・・。
いくらおっちゃんが強いと云っても、自分を傷つけてまで何の得があるってのさ。
退屈を紛らわせたいんだったら―――このあたしが・・・わうっ?!
大:フ・フ―――・・・汝は、そうだ・・・マキとか申していたな。
それにしても、懐かしい言葉の響きだ・・・あのエルムも、余の娘となったばかりの時―――よくそんなことを云って、余を愉しませてくれたものだ・・・。
〔異国の地においても、ますます孤立化を深めてしまう大公爵―――
そんな彼の下に、寂しさを紛らわせるためなのか、近付いた唯一の存在がありました。
それは・・・ガルバディア大陸統一戦の折、「東部戦線」においてエルムと一緒に戦っていたマキなのでした。
そんな無邪気なことを云い―――また愉しませてくれる存在に、思わずも大公爵は、その掌をマキの頭の上に乗せ、
まるで父が娘にするように撫でたりしたものだったのです。
それにしても・・・そこにいた一様は皆、奇妙なことを耳にしたのです。
それが・・・「余の娘となったばかりの時」―――
エルム=シュターデン=カーミラは、エルムドア=マグラ=ヴァルドノフスクの娘なのだから・・・
等しく―――この世に生を受けてからと云うものは、ヴァンパイアであるはず・・・なのに?
それが―――「なったばかり」などとは・・・
どうやら私達は、「ヴァンパイア」と云う種族の総てを・・・理解しているわけではなかったようです。〕
To be continued・・・・