≪六節;新たなる不安≫
ヱ:・・・ジョカリーヌ様―――
ジ:・・・うん、大丈夫だよ、もう心配ない―――
エ:かあ〜〜っ・・・なんだか、はっちゃけ過ぎちゃうと、お腹が空(す)いてくるってなもんだよねぇ〜〜―――
マ:あ、だったらさぁ〜あたしだけが知っている―――この王宮の厨房への秘密の抜け道・・・使いませぇん?
エ:フッフッフ・・・いちご屋よ―――うぬしも相当の悪よの〜w
マ:いへいへ―――おだいこん様ほどでも〜〜w
――あ、それ・・・れっつら・ゴー〜♪――
ヱ:良かったん・・・ですか? あれで―――・・・
ジ:・・・まあ、私たち全員を敵に回すよりかはましだろう―――
サ:・・・そんなんじゃないとは思うんですよね―――私は。
ヱ:サヤ君・・・
サ:なにも、主上達が「心配」するほどのもんじゃなかったってことですよ。
ただ「公爵様」は、ここ最近で知り合えた「縁(えにし)」を失いたくはなかった―――・・・
それに、主上がここへと来ている事も知っていたから・・・その内、また封じられて自分の暴走を防いでくれると信じていたから―――
だから敢えて、マキって子の血を吸ったんじゃないかと思うんです。
〔その場にいたのは、もう一人のヴァンパイア―――「子爵」のサヤ・・・
彼女は、やもすれば半強制的に性格を歪めてしまった事を後悔するかのようなジョカリーヌ達に、一筋の光明を見せたのです。
それが、「今の状態が、あの二人の先天的な部分ではないか」・・・と、云う事―――
確かに彼女達が知りうるヴァンパイアは、「闘争嗜好者」であり―――その永遠に近い寿命の為に、飽くことなく嗜好に興じていられるのですが・・・
やはりその永き寿命のお陰で、知り合う者が少なく、そんな事が何千・何万年と続くとなると・・・性格的にも暗い思考に漬かってしまい、
結果、誰しもが「戦闘狂」のようになってしまう事にも繋がっていたのです。
とは云っても、無闇矢鱈に他人の血を吸ってしまっては、「レブナント」と云う『心を失った者』を増勢させてしまう危険性もある為、
過去に女禍が総責任者として、エルムの性格を歪める事を当時の列強諸侯に確約した形で、その騒動は未然に防がれた・・・と、云う事実が既にあったと云うのです。
そして今回も、ジョカリーヌの顕現(ちから)によって、危機は未然に防がれた・・・と、思っていたのですが―――
ここで思わぬ大事件が・・・
本来の「闘争嗜好」の性格を封じられてしまった二人のヴァンパイアは、自由と云う名の翼を得たとばかりに、マグレヴ王宮の厨房に直行し・・・
保管していた食材を、残らず食べ尽くしてしまった―――・・・
そう、只でさえ食料事情の乏しくなっているこの国で、そんな事をしてしまったら・・・また別の象(かたち)で全員を敵に回しかねない―――
なので・・・〕
ヱ:・・・一応、ヘライトスとソシアルに、シャクラディアに備蓄している食材を持ってくるよう伝えましたが―――
本当に良かったんですか? あれで―――・・・
ジ:あはは・・・多分―――
To be continued・・・・