≪八節;ぬぐいきれないもの≫
〔それに、ヱニグマと対面をしている現在、色々面倒だと思ったのか、説明もなく子供達を自分の指に戻すエルムドア・・・
それからしばらくの間、沈黙は続くのですが―――ヱニグマは、現在の自分の境地を語ることになり・・・〕
ヱ:マグラ・・・喩えあなたが、現在のわたくしをどう思おうとも、この地にてあなた達を支援する―――その事が、ガラティアより与えられたわたくしの使命なのです。
そして、同時にわたくしに課せられた「罪への償い」・・・
過去に―――わたくしが、あなた達二人に与えた仕打ちの事を考えれば、判って貰おう・・・等と云う甘え事は通用しないのかもしれません。
いえ、だからこそわたくしがやらねばならない―――そう感じるのです。
〔ですが・・・エルムドアは、ヱニグマの云った言葉に反論をしませんでした。
相変わらず厳しい表情をし―――頭や心の内に秘めていることを、中々表に出そうとはしない・・・
昔の彼がどうであったか―――は、分身であるあの三人を見れば判ると云うもの・・・
それに、彼自身の「娘」―――後継者であるエルムを見れば、この種族は元々「根明」だと云う事が判るのですが・・・
では何が彼をここまで変えさせたのか―――その原因が、恐らく「彼女」・・・ヱニグマ―――
今となっては、彼のみが知っている―――・・・
幾度となく自分達の組織を窮地に追い込み、果ては自分達の「主」でもあった「女禍」を苦しめてきた憎き敵―――
それが・・・何の間違いなのか、存在としての復活を果たし、自分の目の前に現れている。
本当は・・・「彼」は・・・ヱニグマを八つ裂きにしても飽き足らなかった―――かもしれない・・・
けれど、確かに―――自分達の「上司」の「上司」から、「過去の出来事はお互い忘れて、協力し合って欲しい」と云う命令を受けた・・・
目の前に・・・こんなにも憎らしい、嘗ての敵がいると云うのに―――
しかし、「命令」は「命令」・・・従わないわけにもいかず、複雑な想いだけが、エルムドアの胸中に残ったのです。〕
To be continued・・・・