≪七節;接触≫

 

 

〔ともあれ、皇帝に目通りが叶い、名実共に、ロマリア帝國の一員となったユリアは、

早速、自らの本来の目的の為に動き出し始めたのです。

 

とは云え、最初は雲を掴むかのような感覚でした。

 

いくら、この国の皇帝を裏から操っているとは云え、元は自分の組織であった「ウィドウ」の下っ端である、「卑俗なる者達」・・・。

そんな矮小な者達の気配など、この国に着いた当初から感じていたのです。

 

それも、この国の至る処で―――

 

そこでユリアは、ある手段を講じてみることにしたのです。

 

それが、今回の「裏切り劇」―――

味方にどう思われても構わない・・・

そうなる以前に、やはり自分はそうだったのだから・・・

 

そしてこの効果は、思わずも早く現れてきたのです。

 

 

ある―――醜い小男が、「皇居城」の城下町を散策しているユリアに近付き・・・〕

 

 

小:あの・・・もし―――

ユ:はい―――わたくしに何か・・・?

 

小:お・・・お・お・お―――やはり、あなた様は・・・いや、これはこちらのことです。

  ワシの名前はゲブ―――この城で、しがない小間使いをやっておる者です。

 

 

〔顔の割に大きな鼻を持ち、その所々では(いぼ)の様なモノを持っている・・・

しかも、若いのか、年老いているのか、特徴のある太く長い眉は、黒々としているのに、顔の表面には、深い(しわ)が刻みこまれている・・・

それに、寸胴(ずんどう)短足で、総じて醜いと判る者が、ユリアに近付いてきた理由は、只一つ。

 

この女性に、何か懐かしいモノを感じた―――・・・

 

つまりは、これがユリアが取った手段。

こちら側から「探す」と云うのではなく、向こう側から接触を図り易いように、わざと目立った(かたち)で、この国に参入をした―――

その事を、そうとも知らず、この小男は、ユリアに接触を図ったのです。

 

 

こうしてユリアは、「ゲブ」と自称した小男の導かれるままに、彼らの「部役会」に、顔を覗かせることとなり・・・〕

 

 

ゲ:あ゛〜〜諸君、こちらに注目したまえ―――

 

小:ナンダァ〜?

小:ン〜〜?

小:ほぉ―――ゲブ、お前さんにしちゃ、えらく不釣り合いな別嬪を、隣に侍らしてるじゃねぇカ。

 

ゲ:口の利き方に気をつけんか!このバカモノ―――

  よいか、このお方こそはな、かつてワシのひいひい爺さんが、「リヴァイアサン」と云う処で働いていた時、見かけたと云う「ヱニグマ」様と同じような輝きを持っていらっしゃるのだ。

 

小:おお〜あんたのひいひい爺さん・・・

小:そう云や、あの爺さん、昔から法螺ばかり吹いてて、酒を煽った時には、大きな口を叩くので有名だったと云うよなぁ〜w

小:ギャーッハハ!w そうそうww

  そのお陰で、モレ達のボスの地位から、引き摺り下ろされたんだっけかなぁ〜w

 

ゲ:黙らんかぁぁ〜〜!! いいか、貴様ら・・・ワシら「ヴェロー・シファカ」を率いるボス猿は、「ニド」ではなく、このワシ・・・

  今をして、元々のワシらの主を頂く、このゲブ様だと云う事を、あ奴に思い知らせてくれるわ!

 

 

(のぞ)むと(のぞ)まないとに係わらず、この出会いこそが「引き金」となりました。

 

現在のユリアの存在を知らない彼らにとっては、過去においても羨望の的でもあった、元ブラック・ウィドウ首領の面影を残すこの女性を、

自分達の欲望を満たすための礎とする為、自分達の派閥に入れようとしていたのですが・・・

それこそが、ユリアの描いていた思惑通りだったことと、図らずも、現在の「ヴェロー・シファカ」を束ねる者の肖像が、見え始めてきたのでした。〕

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

あと