<≪100章≫>
【皇・女皇の申し述べられた言葉の重さ】
なぜ―――ヱリヤが、アヱカが書いた書状を見て、使者であったタケルに覚られないように気付かれないように落涙したか・・・
その大きな理由がここにあるのです。
『ブラッドフィストの惨劇』と呼ばれたあの戦端で、ヱリヤは敵方であるカルマはもとより自軍であるはずのシャクラディアの兵士までも惨殺した・・・
そのことを我に返ったヱリヤはすぐに認識し、おかげで半狂乱に陥りそうにはなるのですが、
急いで駆けつけてくれたエルムや、師匠であるジィルガの適切な処置にて何とか取り留めたものの、
やはり彼女の胸の奥には、そのときに起こした自分の成しように深く省みるところがあったと見え、
甘んじて厳罰を受け入れる覚悟はあったようなのですが―――・・・
それが―――明けてみれば自分はお咎めなし、それどころか自分が起こしてしまった不祥事を、
総責任者であるということだけで、皇・女禍が被り、この戦役でなくなった兵士の遺族に謝罪したのである。
そのときに紡がれたのがあのお言葉―――そのお言葉と同じ文句が書き連ねてあるを見たとき・・・
その言葉を再び眼にしたとき、ヱリヤの胸に去来したのはなんだったのであろうか。
(ただし、その答えとしてはヱリヤ自身で出していることに注目を)
【自分たちが学舎にて学んでいたこと】
やもすれば退屈すぎてあくびが出たり、こんなまじめ腐ったことをまじめに聞いているヤツの気が知れない―――
・・・と、そう思っていたのに、いざその場面に遭遇すると、とたんに思い出された学舎の師の言葉・・・
あの言葉の意味の重さが、こんな場面にならないと判らないなんて―――
あの時不真面目に聞き流していた自分を、このときどれほど恨んだことだろう・・・
けれども、このとき現実に差し迫っていることは、身に迫る危機であり、そんなことを思う余裕すらなかったのですが―――
このあと、前にも増して書を読み漁るノブシゲにチカラがいたのは云うまでもなかったことでしょう。
【キリエ氏のうろたえよう】
自分は、今後ある戦を控えての大事な作戦をしている最中なのに―――
なのに、不謹慎にもなってしまうものに、キリエは苦し紛れながらの弁解を終わらせ出てみれば・・・
それは思わずも、自分の上官でもあり母でもあったヱリヤであった―――
しかも?? どうも母の口ぶりでは、もう一人おまけでくっついてきているお人がいると見え、
けれどもキリエがうろたえているのはそこではなく、彼女たちの実力を知らない者達があの二人に挑んだら・・・
それはもう、予測するだけで身震いがとまらなかったことでしょう―――w