〔二十五章〕
【ギルドが陥ちても、アルルハイムに残ったルリ】
『夜ノ街』が陥落したのは、この国の誰よりもいち早く知っていた・・・のにもかかわらず、彼女がここに居残ったのは、
未だ婀陀那の亡骸などが見つかっておらず、かといって、虜囚になった・・・との報も入らず、不安定なままだったので、
そのまま『ヴェルノアの公主様』を続けていたという事。
(事実このことは彼女のその口からも語られていること)
そして、その後も仲間の『禽』からの定期連絡を受け、婀陀那の消息はもとより、
世界各国の情勢までも、逐一もらすことなくルリの耳に入っている。
(そのことの如実な表れとしては、<六節>で“北”の動向が気になっていたり―――・・・とか)
【ハイネス・ブルグを素通りした、“北西”よりの騎乗者】
これはいうまでもなく、紫苑の事。
でも、この時には一刻を争うため、『公主の印綬』だけを掲げ、ハイネス・ブルグの関を素通りした・・・ということ。
【“ある言葉”に著しく反応をしたリリア】
このことからも分かるように、このリリアという人物の、
人物紹介の注釈にあった『とある国の武将に傾倒している』とは、実は婀陀那の事であることが分かる。
しかも、婀陀那の事を他国であるにもかかわらず、ちゃんと『―――様』という敬称をつけて呼んでいるのにも注目を。
【紫苑の佩剣についていた“双頭の鷲”】
この『双頭の鷲』とは、ヴェルノアの国章であり、またそれを佩剣に誂えているというのは、
紫苑が余程に高い位についていることの証でもある。
【諫議大夫の標(しるし)“違え重なりのイチョウ”と、“アメジスト”】
イチョウの葉が、互いに重なるようにして誂えているのは、『諫議大夫』の標、
それでは『アメジスト』は・・・というと、『紫水晶』ですからね?
―――で、『紫苑』・・・と、いうわけ。(苦しいね ^^;;)
【紅麗亜】
「クレア」と読みます。(一応ね ^^;;)
紫苑とは幼馴染であり、ヴェルノアのアルル・ハイムにある、王立の士官学校の同窓であり同級生。
しかし、紫苑は公主=婀陀那が視察した折に、彼女の目に留まり、その時より公主の近辺を任されるようになる。
―――・・・の、ですが、一方の紅麗亜のほうは、苦節を重ねて今の地位にいる・・・と、いう、
少しばかり泣けてくるお話。
【気になる噂話・・・】
どうやら、現在のヴェルノアの公主様の事を、“影武者”ではないか・・・というのが、
ここ最近で国の内外で広まりつつある“噂”であるということ。
しかも、その真偽を確かめるために、“雪”の宿将であるイセリアは、同僚の“月”の宿将リリアを至急に某国へと派遣し、
自らも、戦線になるであろう、国境付近に兵を出撃させているというわけ。
【二人で指す将棋(チェス)の意味】
つまり、他の官僚から見てみれば、何の他愛もないものに見えてくるのですが・・・。
紫苑はその意味合いを、もっと深いものに・・・そう、二・三年前のあの日あの時、母国を脱(で)るまえに、
そういう形をとりながら、密に綿に謀議を重ね、やがて実行に至った―――という経緯があるために、
今一度、ルリのこの計画に乗りつつも〜〜―――・・・と、いうのが紫苑の心情。
なのですが、実はルリにはまだ含むところがあり、それは今後の・・・次回にその展望が明らかとされるでしょう。
【諫議大夫】
光禄勲の属官で、王や君主を諫める任務を持つ顧問官。
七品。
【騎都尉】
近衛騎兵隊長、光禄勲の属官で、王城禁衛軍の羽林の騎兵を統率する。
六品。