<28章>
【カインが、実の妹に最後に交わした“笑み”の意味】
ただ・・・黙ってこの国を去るのは忍びない、ならばせめてセシルにだけは・・・と思っただけ。
しかし、何も彼ほどの者が、無策であの国に行ったわけではない―――と、言う事を、ここで申しておきましょう。
【三竦み】
蛇と蛙と蛞蝓・・・これはお互いが牽制しあっているから、そうなってしまっているわけで、
それを今回は雪と月と花に置き換えたという事。
それというのも、イセリアさんには、良家のお坊ちゃんという、将来を約束した人がおりまして・・・
でも、それが余り頭の出来がよくないので、その国にある、騎士になるためには通っておかなければならないモノ・・・
それが通称『騎士検定試験』というのでありまして、それに何度も落っこちてるという・・・
しかもその『騎士検』、かな〜り難しいのならあきらめが付くんですが・・・・
実はこれ、世に残された(ダメな)男連中を救出する最後の手立てとして、王家が算出した『苦肉の策』のようなものでして・・・
とどのつまり、その『試験』の内容は、リリア嬢の言っていたように、『サルでも分かる内容』・・・
それを何度も落ちてたイセリアの許婚・・・って、一体―――
【かな〜りディープな三将たち・・・】
この世の男連中は、皆、頼り甲斐など持ち合わせていない、だから―――・・・と、言うわけで、
“同姓”のヴェルノアの公主様に“ホ♡”の字なのが、リリア。
家と家の間で取り決められた“結婚”、でもそれを断れば自分の家は凋落あるのみ・・・
でも―――・・・皮肉な事に、イセリアのちょ〜タイプなこの許婚・・・
後は『騎士検』に受かりさえすれば・・・
リリアと同じく、世の男連中には興味はなし―――でも、自分の兄と、数少ないながらも会っていたタケルだけは違った・・・
だからそこで彼女の妄想は膨らみ・・・『結婚前までは兄さんと・・・で、結婚するんだったら典厩先生と―――♡♡』
そう思っていた節もなくはないようで・・・
【ヒヅメたちの、これからの運命を決定付けた、一筋の矢】
もし・・・あの矢が伝令などに当たらずに、無事クー・ナ本国にたどり着き、クー・ナ正規軍の要請が出来ていたなら・・・
彼女達の未来も少しは変わろう・・・と、言ったところ。
でも―――実は・・・あの矢は、これからのこの大陸の動静も握っていた事を、ここで述べておきましょう・・・。
【若かりし“ヴェネフィック”】
『仁君』の信奉者もいれば、『暴君』の信奉者もいる・・・早い話が、この者は現在でいう『悪魔信者』のようなもの。
しかも若いのに“妖術”の粋を極め、だからああいう性格になるのも無理はないと言うことか・・・
とにもかくにも、自分より上は『暴君』『七人の魔将』だけでしかなく、自分より以下は塵芥(ちりあくた)のようにしか思ってはいない、
それが、人間であるにしろ・・・魔物であるにしろ・・・
【お互いを牽制しあうカインとヨミ】
どうやらお互いを“味方”とは思ってもいないらしい―――と、いうのは、セリフ外の小見出しをみても分かる事。
カインにしても、これから自分がこの国で成そう事の障害となるかもしれない・・・と、見ているし、
ヨミのほうでも、名は世には聞こえてはいるが、果たして自分より優れるかどうか―――が疑わしかったらしい。
(まあ・・・たとえそうであっても、彼は彼で邪魔者ぐらいにしか思ってはいないようではある。)
【趣味の悪い女】
早いはなしが、ヨミの妹のヨキである事―――しかも彼女は、露出ばかりで派手目の衣装を好み、
その性格も、他人をいたぶって、その苦悶の表情を見る事こそが至上の悦び―――と、しているという・・・
しかも、その捻じ曲がった性格もさることながら、彼女は童顔であると言う―――・・・
(つまり、嗜好を追い求めるには困ってはいない―――と、いうこと)
でも・・・さすがに婀陀那に対する感情は尋常ではなかったらしい・・・
(なぜならば・・・婀陀那は見てのように成熟した躰の持ち主ではあるし、自分にはそれがない・・・
しかも、性格の良さそうな喋り方に、整った顔立ち・・・どれもが羨ましかった―――と、言う事。)
【婀陀那のとった行動】
これも、不思議な縁の結びつきといおうか・・・。
つまり―――二年前にルリと出会った事がそのきっかけであり、興味本位で習っていた事が、こんな形で身を結ぶ事になろうとは・・・
しかも、ギルド襲撃のときに出てきていたフォルネウスも、記憶を失せてしまった者を相手にする煩わしさを覚えてか、
部下にその事を押し付け、自分はさっさとコキュートスへと帰還してしまうし、
主からその事を押し付けられた部下も、そのまた部下・・・つまり、たらいまわしにされた挙句、
今はどうやらカデンツァに留置されていると言う事。
でも・・・このあと、この事が彼女自身の禍いとなってしまうのです。