=44章=

 

 

【カインの巡らす遠大なる策】

もはや―――何のために自らがクー・ナ攻略を率先してやったかは、この時点をして明らかになることだろう。

 

そう―――とどのつまり、味方からの要請があったとしても、今回のように“わざと”敵に取られたように見せかける・・・

と、いうことをやってのけようという事。

 

しかも、このことはよろしくシホ達の勢力と通ずることとなり、僅かながらでも、『敵国』<カ・ルマ>において協力ラインが出来たということ。

 

 

【この“時期”】

≪三節≫を一読してわかると思うが、この時期は『年末/年の暮れ』だということ。

 

早い話―――ここでは、『雪月花の三将』は、本国の王都であるハイレリヒカイトで年越しをするのではなく、

遠く離れた戦地でそれを強要づけられた事になる。

 

もう少し簡単にいうと、体(てい)のいい厄介払い。

 

 

【彼女達の“言い分”―――彼らの“言い分”―――】

自分たちが受けているこの仕打ちは、誰がどうみても不当そのものであることは、

何もギルダスたちから言われなくても彼女達本人が身に沁みていた事だろう。

 

―――であるにもかかわらず、服従せねばならない・・・との憂き目にあったことは、

それは自分たちがクー・ナに忠誠を誓った事であり・・・

しかもそれはまた、ミルディン・ギルダスの二人も、過去においてはそうであったように―――・・・

 

 

けれど・・・この時点より、薄々ながら気付く事となっていくのです・・・

真の“忠誠”とは―――・・・と、いうことを。

 

 

【≪五節≫でミルディンが会っていた者】

――――実は、これが=鵺=のユミエなのでありまして。

これがどうやらミルディンとギルダスが打ち出した、『苦肉の策』ともいうべきモノ。

 

つまり―――ミルディンは、国が違うといえども、その能力を高く評価している人物、

『ジン州公』(カ=カク=ハミルトン)と、友誼があり、また治領同士が近いともあって、交流も少なからずあった様子。

そこで―――今回の事に、見るに見かねたミルディンが、ハミルトンに向けて一通の密書を送り、

“近々匿ってくれないか”―――という旨を打診したところ、数日を置いてハミルトンからよい返事を得たそうです。

 

そこで―――ナゼ“数日を置いて”なのか・・・

つまり、友誼があったとしても、大きい括りでは“敵国”同士なわけであり、そう信用してもよいものか―――と、悩んでいたところ、

どこでどう知りえたのか(おそらくは『禽』経由)タケルからアドバイスを受けることとなり、

ある計画をして、彼らを懐に抱き込もう――――と、したのが、今回のお話の大筋。

 

 

【=鵺=とリリア】

かたや―――本国では誰もがうらやむ“月”の宿将・・・。

かたや―――人知れぬところで朱に塗(まみ)れる“恐ろしげなる鳥”・・・。

 

かたや―――幾度も戦場へ出て、勲功を重ねた将校・・・。

かたや―――所詮は『人』も“モノ”程度にしか考えていない暗殺者・・・。

 

しかも・・・その女の瞳には光は宿っていないと云う―――

自分も・・・幾人もの命を奪ってきたけれど―――・・・この者は違う・・・

 

この者は―――おそらく“戯れ”で生ける者を害する・・・・

 

だから―――リリアは息を呑んだのです。

 

 

【気になる=鵺=の言う“主”】

本来ならば―――ここはタケルというのが、その本筋なのでしょうが・・・

では、ナゼここにのせる必要が―――??

 

つまるところ―――『二股』という言い方は余り妥当ではないけれど、

=鵺=はある経緯から、とある方を自分の主と仰いでいる事が判る。(タケルも当然“主”と仰いでいるのだが・・・)

 

具体的な名前までは挙げてはいないのだが、≪六節≫の彼女の言葉の中に、その方の紹介と見られるのがある。

(もう少し判りやすくいうと、『ガク州公・大傅』の事。(参:『29章』)

 

 

【≪九節≫で=梟=と代わっていた=鵺=】

実は―――このことは直前のお話『43章』からの引継ぎなのでありまして・・・

 

本当はユミエは、あることの準備でこんな事はしていられないほど忙しくあるのですが、

元は面倒見のいいこの人は、現在の陣容では=鵙=が近くにいるので、そいつに任せてもよかったのですが、

一抹の不安が過ぎり、『だったら仕方がない、少々“巻き”にはなるけれど・・・』と、思いこの任を引き受けた様子。

 

だからあんなに焦っていたのですよ。

 

 

【“雪”の宿将の心情】

本当は―――何もかも投げ捨てて、ここからいなくなりたいと思っていた。

でもそれを本当に実行に移すと、自分は『卑怯者』になってしまう・・・

そのことを、許婚であったあの人は許してはくれないだろう・・・

 

でも―――? 他人の手を介してならば・・・?

ふとしたそういう考えが、イセリアの頭を過ぎり、このままこの男たちの背に、自分たちの運命を委ねても悪くはない・・・

とは思っていたようです。

 

 

【それと同時に抱いた感情】

ちょっと―――浮気性?? とも取れなくはないのですが・・・

 

まあ・・・自分の許婚だった人は、もういないわけだしぃ〜〜

それにこの人(たち)も私(たち)の事を心配してくれているようだから―――

この際構わないわよね???

 

――――などといったようなことがあったのかは、読み手次第☆

 

 

【≪九節≫の気になる最後の件・・・】

とどのつまり―――このことが、タケルとユミエがなそうとした『あること』であり、

そこで“ある人物”を“助けた”ことによって、このお話が大きく展開する事は、さすがに否めないだろう。

 

(もう少し云ってしまうと―――次回の書き出しは、まさにこの“あること”が行われた直後の『東方の雄』の光景から・・・なのです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻る