<四十九章>
【冷酷な一面も見せる婀陀那】
ある一面では、“死に逝く”ことに活路を見出す『武人(もののふ)』にどこか虚しさを感じてはいるものの、
一度自らと切り結んだ敵には憐憫をかけない冷徹な一面も見せる・・・
一方では“愛”を感じさせる部分もあるが、そのまた一方では“死”を望む風もある、
『生』と『死』その両極端な面を持ち合わせる存在を、古キには『ナタラージャ』と、そう呼んだそうである。
【意外にいいコンビネーション紫苑とルリ】
あの冷酷な一言を敵の使者に投げかけたのは、婀陀那の影武者であるルリだとして戒めようとした紫苑・・・
でも、ルリはそんなことは云ってはいなくて、『あの・・・私こっちにいるんですけど・・・』と、自分を指差して云った時、
紫苑の大焦り様ッたら・・・(苦笑)
【高度な情報戦を心得ていたルリ】
≪一節≫での、ルリの的確なるアドバイス・・・『使者の命の有無の情報』―――
これこそはまさに情報戦、その存在がこちらの手の内にあるときには、
その存在が今現在どうであるのかは、こちら側でいくらでも操作できる・・・
一番肝心なのは、その使者がヴェルノア陣中に来てしまっていること自体のそれなのであり、
それ以降は彼の者が生きていようが死んでいようが関係はない・・・
ただ・・・『この陣中に来て、死んでしまった・・・・・・・かもしれない』と、云う事が重要なのである。
では―――? この高度な心理戦とも云うべき『情報戦』を心得ていた彼女とは一体何者??
(注;確かに彼女は『禽』の一員―――なのではある・・・が??)
【“疾風”の軍団】
衛将軍・諫議大夫、紫苑の二ツ名は、その用兵の迅速さにも見られることから『旋風の紫苑』『疾風の騎士』として畏れられているという・・・
今回の≪二節≫では、そんな用兵ぶりが描かれている一場面といえよう。
【思いがけない援軍】
その『疾風の軍団』の手荒い洗礼を受けた三州公軍の援軍に駆けつけたのは、
最も戦には縁遠いと思っていたアヱカ―――だったのです・・・が、
≪三節≫にも見られるように、この援軍の総括責任者は、そのアヱカだという事。
とどのつまり、アヱカ如きの“戦素人”でさえも、今回のヴェルノア軍との戦は避けられなくもあり、
かつ、重要な転機でもある・・・と、感じてはいたようではある。
【今回の戦の有り様】
もはや分かる人だけ笑っていて下さい。w
第一に、今回のお話しの題目『ヒョードルの逆落とし』・・・って、『一之●の合戦』の“鵯越の逆落とし”のことでしょ?
それに・・・婀陀那が夜半になって行軍する様―――あれにしたって、
『鞭声粛々として~・・・』の件で知られる<第四次川●島の合戦>の上●謙信のあれだし・・・(苦笑)
いや、歴史小説好きな人には申し訳ない・・・と、反省しております。