<53章>
【本当は一緒に語り合いたくて仕方がなかった婀陀那】
でも彼女自身はお偉方本人さんであり、どうしても国の兵士たちの前では毅然とせざるを得なかった。
本当の気持ちは・・・この二人と共にあるのに―――
そのもどかしさを拭い去るために、小休止を取ったのでした。
【未だに州司馬の地位を下ろされていなかったキリエ】
とはいえ、彼女の秘密を握っていたのはヒだけであり、
なんと言っても彼女の解任権は州公であるアヱカにあるわけであり。
だから、アヱカが帰ってきたら―――という部分もあるのですが・・・
(それはないよね、だって一番の理解者でもあるもの)
【背中合わせな二人・・・】
不意な事から知ってしまった州司馬の秘密・・・
これを皆や州公に知らせるべきか―――彼としても悩めるところだったに違いない・・・
それはキリエにしても同様で、見られてはならない一面を見られてしまった―――
それゆえのきまづい雰囲気なのですが・・・
【ビーストライダー】
その者―――・・・身の毛もよだつような巨大な魔獣の背を借り、
その者の主に捧げるべくの、人の“血”と“御魂”を求めて戦場を彷徨いにけり・・・
かくして、その者の姿は銀の髪を頭に頂き、主と同じくの牙を口に有する者也―――
而して―――そのビーストライダーなる者の正体とは・・・『吸血鬼』“ヴァンパイア”の子爵と言いにける。
【子爵がその戦場に来ていた理由】
これは一見すると、前述にもあった『主からの命』でそこにきていると思われがちなのですが・・・
ところがそうではなくて、要は昔の馴染みが上手くやってるかどうか―――を、覗きに来てみれば、
それどころの話ではありませんで、ならば・・・と、云う事で『一肌脱いでやりましょか』・・・と。
まあ、早い話気心通じてる二人だからこそのやり取りであった事は言うまでもないだろう。
【“一線”を越える】
ある“一線”がある―――
それは“人間”だから・・・と、言うことと“人間ではない”・・・と、言うこと―――
おそらく、この男女の間にはそれがあったのだろう―――
片方はどこかで遠慮をし、片方はそんな遠慮をする者を、もどかしくも思っていた・・・そうに違いない。
けれど―――ある事件が起きて、離れ離れとなってしまったと思っていた気持ちが、また一つになったとき・・・
いつしかその“一線”―――『種を隔てた壁』はなくなり、お互いの道を信じて突き進んで征くのです。