〜66章〜

 

 

【下賎な噂話】

確かに、ヒョウとアヱカは年頃で、似合いのカップルだった事でしょう。

けれども、作中においてあんな書き方をせざるをえなかったのは、

アヱカに宿るもう一つの魂の方が、ナニを目的としてこの現世に蘇えったか・・・

つまり、それどころ(色恋沙汰)の話しではなかったのです。

 

しかも、アヱカ本人でも、自分と中華の大国の太子様とでは釣り合わないとも思っており、

中々にしてそんな関係までは、辿り着けなかった事が伺わせられるものである。

 

 

【思わずもヒョウの口から吐いて出たある存在】

死期が近いヒョウの眼には、この世に在らざりき者達の姿が映っていた・・・

それは―――“死神”や“死霊”の類でもあったり・・・

でも、例えそうだったとしても、アヱカと一緒になって―――

しかもダブって見える方の存在は、それらとはどことなく違っていた・・・

 

それは確かに 霊体 ではあっても、“死霊”や“死神”のような禍々しい存在ではなく、

その逆―――神々しさあふれる存在に映っていた・・・

 

もしかするとこの方は・・・その思いを言の葉に乗せたとき、図らずも彼方からは『そうである』との返事が・・・

 

だとすれば、自分のするべき途(みち)は唯一つ―――・・・

その決意は、これから哀しくも語られていくのです。

 

 

【“死”というモノの観念】

その存在自体の“死”とは、『終焉』ではなく『始まり』でもあるということ。

 

これは宗教においての観念とも全く同じであり、『輪廻転生』だとかでも現わせられている通りであり、

現世から亡くなったとされても、また違う来世が約束されているのだと云われている。

 

それが善しきであっても、悪しきであっても、いつしか人はそれに気付き、

世においての罪業を祓うのだともされている。

 

女禍様がここで述べおいたのは、そのことのほんの一部だけであり、

とかく“死”に関しては暗くなりがちな、この種族を元気付けるための励ましの言葉とも取れなくはない・・・。

 

 

【ヒョウの悲愴なる決意】

あたら短いと知る己れの命を・・・まさに無駄遣いとも取れなくもないある行為―――

事実、彼はこの行為によって、短い命の灯し火を、より短くしてしまったわけなのですが・・・

 

では、その行為とは―――

 

万民がそれを聞くとまさに“悪業”の象徴ともされている『酒池肉林』のことである―――

 

けれども、これは男子諸君にしてみれば、まさに夢の心地がしないでもないのですが、

ヒョウにしてみればそれですらも 毒 であった―――と、ここではそう申しておきましょう。

 

 

【その決意の裏側】

これは女禍様よりからも注釈がある通り・・・

ヒョウが『次代の王戴冠の儀』にて、次のフ国王に定まろうとしたわけが、

彼の代にして国を乱せば、父王の目論見どおり有能な方がこの国・・・・

いや、この大陸を一つにまとめてくれんとするのを予知していたかの嫌いもありますようで・・・

 

そのことを気付かない女禍様ではなかったのですが―――・・・

 

 

【“六節”にある一連の謡】

一応ここにも載せる事としたのですが・・・≪本篇≫ではなく、≪新篇≫においては、もう少しこのことが詳しく説明される模様。

 

これを聞いていたコみゅ・乃亜の姉妹がもらい泣きする場面は一読の価値アリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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