☆67章☆
【死を兆す不吉の星】
もうこれは説明の余地はありませんよね。
あの星に関する記述も、総て『世紀末救世主伝説』に倣ったもの。
別に“拳王様”とかは出演(で)ないデス―――
(但し、燃え尽き逝く紅き将星の記述まではそうであるとは限らない。)
【既に作られていた虚像】
ヒョウが、その病弱なる身体に鞭打ってなしていた連日連夜の宴・・・
それこそは、彼の内で既に作られた“暗君”としての虚像である事を、
周囲の者達は誰一人として知る由すらない・・・
この―――孤独なる王の・・・病弱なる者の・・・そのココロのうちを知る者は、誰一人としていない、のである。
【官からの相談事に苦慮するしかなかった婀陀那の心情】
病弱だった者が、一転して中華の国の王位を継承すると云いおいた―――
そのこに関し、初め婀陀那はなにかの間違いではないのか・・・と、したかったのですが、
烈王を弔う言葉を述べた後、ヒョウ自身からそのことを聞くに至り、
そのことは真実であると確信した―――
しかも・・・彼の眸は、何か一つのコトをやり遂げるために燃えていたというのです。
その一つのコトとは、婀陀那でさえもよく判りえていたのですが・・・
余りに急きすぎる彼の変貌に、婀陀那もついて行き難かったのかもしれません。
【様変わりしていたドルメン】
その場所こそは、前王・ショウと二人きりで何度となく馬の遠乗りの目的地として選んだ場所。
古式ゆかしい・・・杜の中に佇むドルメン―――
それであることは、学もある婀陀那も知っていたことでした。
けれども、その場所が、かつて栄えていた帝国の皇都であることまでは知らなかった・・・
それが、再び訪れたとき、その姿を如実にさらしていた―――・・・
整備区画された街並み、建物から伸びる一本の大路・・・
以前来たときには、その一部しか遺ってはいませんでしたが、今回来たときには完全復元されていた城壁など・・・
そう―――こここそは、王都であった“古都”であり、難攻不落でもある城塞都市・・・
だとするならば―――既に次王朝への下準備は、着々と進められているかのようにも見えるのですが・・・
【固辞する理由】
アヱカが婀陀那より打診を受けたことを拒む理由はただ一つ。
自分は今でさえ身に余る栄誉を受けているのに、さらに上のことを望んで何になるのだろう・・・と、
そういうこともさることながら、固辞する傍ら、ある人物を中央に呼び戻そうとしていたのが見受けられる。
その人物こそ、元・ハイネスブルグ尚書令イセリアなのですが、
そんな有能の士をナゼに遠隔の地へと飛ばしたのか・・・
それこそが政(まつりごと)における駆け引きの妙ではなかったか―――
事実、次回のイセリアの弁には、そのことを仄めかせる一言も・・・