≪74章≫
【大胆な計略】
『十面埋伏』とは、十箇所に及んで兵を伏せておき、
相手の軍を袋叩きにする、そういう戦法なのではあるが、
この計略を発動させるには、それなりの大軍を擁する必要性があり、
だからこそ、今回タケルは、ラージャとヴェルノアの軍協賛で、ことをなしえようとしたのが判る。
ではなぜ、彼はこの戦法を用いようとしたのか―――・・・
【すべての起因】
それこそが『十四年前』のことであり、タケルの物語はあのころより発動していたと考えても良い。
すべてにおいて相思相愛であった姉弟が、強制的に引き離された一大事件の首謀者が、
今回の戦の相手だとくれば、タケルの胸中や穏やかならぬものがあったようでして、
そのことを婀陀那に話した―――というのも、
彼女ならば、この自分の心のうちを酌んでくれるものだと、思ったからではなかろうか。
【キリエとヒ】
男は―――女の正体をすでに知りえていた・・・
これまでに、幾度となく自分たち人間の窮地を救ってくれた『蒼龍の騎士』・・・
この人が、今までにどんな思いで自分たちを助けてくれていたのか―――
そんな想いなど知らずに、彼女が人間ではないと知ったときに、なんと自分はひどい態度をしてしまったのか・・・
そのことを反省し、ヒは、これからキリエが蒼龍にならないように、自分が頼られなければならないとした・・・
それが、不器用な彼なりの判断なのでした―――。
【因縁の対決】
ザルエラとタケル―――この二人の血戦は、もうすでに十四年も前にお膳立てられていた・・・
当時は、まだ清廉の騎士としての能力も浅く、自分の目の前で、むざむざと義姉を殺されてしまったのですが、
あの事件がきっかけで、タケルは猛特訓を組み、清廉の騎士の技のすべてを習得し、
十四年後の今日のこの日に望んだのであります―――が・・・
実は、タケルの猛特訓のお手伝いをしたのが、ガラティアというお人だというのは、ここだけのお話・・・