≪77章≫
【王の病状を知っていた二人】
それが誰と誰のことか―――は、本文中に明確にされているので割愛させていただくが、
では誰がなにを・・・は、朧げなので明らかにさせると。
アヱカはヒョウの病室に留まって・・・でも、病状が重いのにあんなことを云ってのけるヒョウを痛ましく思い、
例え聞こえていても、聞かぬフリをしていた―――と、云うこと。
逆にリジュは、その痛ましさに身の置き所がなくなって、溜まらず部屋を飛び出してしまった―――と、云うこと。
【医師の不適切な発言】
これは、ヘライトスも何かと気を使いすぎて―――の一言・・・
次から次へと来る見舞い客のご機嫌伺いもかねつつ、
本当は悪いのに、あたら“遊び”を病気にたとえたものだから、
それを聞いていたアヱカも内心 どきり としたのでしょう、
何とか体裁を取り繕って客を帰したものの、その後のヘライトスに対しての口調に厳しいものの表れが・・・
【ヒョウの思い】
内に秘める、国を治めるべき能力は、父をも凌駕していたというのに・・・
惜しむらくは、彼は身体が弱かった―――と、云うこと。
そんな彼も、ある策略を内に秘めていました。
自分は―――世継ぎとしては失敗作だ・・・
けれども、自分が今生かされている最大の理由は、
父の代で最盛期を迎えた、この国を衰えさせるということ。
それでなくとも、この世には“古(いにし)えの皇”が光臨をしており、
この国を・・・いや、この大陸を安寧へと導いてくれるだろう―――
だったら、すでに死に体であったこの身体に鞭打ち、王の座についてこの方に禅譲を迫ろう・・・
けれども―――もし、志半ばで力尽きたときは・・・
実は、ヒョウのこの思いは、結局志半ばで終わってしまうわけなのですが・・・
そのことを悟ったヒョウは、病床であるにもかかわらず女禍様の名前を呼んだのです。
これから・・・かのお方にあることを託すために―――
【女禍様の思い】
自分が―――この世に再臨した理由は、以前から遣り残したあることをするために・・・
しかし、それは一人の民でも十分に出来たこと―――
それを、“機会が二度”・・・再び頂点に立つような、高い位に身を置こうなどとは夢にも思っていなかった・・・
それに、“皇”という地位が、出来るようでできないことが儘にあった・・・
そういった“便利の不便”を一番感じていたからではなかっただろうか。
【暗転する病状】
現在の自分の思いのたけを、心残りなく聞き届けてもらいたい者に話した・・・
そういう気の緩みから―――というのもあったのでしょう。
突如として鳴りを潜めていた不発弾は、このときとばかりに爆発を起こし、
文字通りヒョウを、死の淵に一気に追い込んでしまったのです。
しかも・・・更なる抵抗も許されない、腎臓とすい臓を同時に悪くしてしまったのです。
それであるがゆえに、さすがの名医と呼ばれたヘライトスも、匙を投げ出したのですが―――・・・
【女禍様の最後の一手】
こと、アヱカ・・・女禍様にいたっては、未だ諦めをせずあることを思いつくのですが、
女禍様がなにをしようとしていたかは、ヘライトスの諫言振りにも表れていたように、
あまり思わしくなかった模様。
その諫めの言葉を聞いた女禍様が、珍しくも怒る場面があるのですが。
女禍様にしてみれば、命の尊さを判っていただろう者から、よもや軽んじるような言葉が出たことに発憤をしただけ。
その直後にヘライトスは思い直し、自分たちの持っているコード<認識票>を貸して協力したところに、
この主従の元の関係が見て取れるのではないだろうか。