〔九章〕

 

【竹林の庵の主】

これは、紛れもなくあの男―――だということ。

この章見てもらうと分かるのだが―――・・・この庵主は、二年前に密かにここを抜け出して、

『夜ノ街』というところに行っていた――――のだという。

 

 

【大鴻臚がなしておきたかった事】

早い話―――― カ・ルマ軍の軍師に、この庵主を抜擢しよう・・・と、こういうこと。

 

ここで―――― “大鴻臚”とは・・・ガルバディアに介在する国家で、

カ・ルマや、ヴェルノア、フ・・・・と、いった大国には執拗不可欠の役職。

 

主に、外交面を担当していたとされる。

 

 

【典厩】

(てんきゅう)という。

この名称は、タケルの“字”(あざ)<ミドルネームのようなもの>であり・・・・

“典”とは、身分の高い人の〜・・・とか、宮中・幕僚・・・などの意

“厩”とは、うまや――― 馬を飼っている場所。

 

総じて、軍をつかさどる役職でもあるという。

(当時、馬は軍事目的に多用されていたから)

 

 

【タケルが、“どこにも仕官するつもりはない――――ましてや元の鞘などに・・・”と言った経緯(いきさつ)

実はこれは、このときから14年前に、自国―――ラー・ジャにいた、『女禍の魂を所有する者』を守り抜けなかった――――ことに起因するもの。

 

 

【“禽”の実態】

この集団には、面白い事に、実名の鳥の名が冠していること。

 

詳しくは次の通り――――

 

『鵺』(ぬえ)

虎鶫(トラツグミ)の異名、スズメ目の小鳥、夜中に“ヒョーヒョー”と、細い声で鳴く。

禽のナンバー2的存在の、副長を務める、丁度この時は、庵に在駐していて、主のタケルの身の回りの世話をこなしている。

 

『カケス』

スズメ目の小鳥、他の鳥の声をよくまねる。

その容姿から、声を自在に変えられる事ができるため、よく要人警護に廻される。

 

『鵙』(モズ)

スズメ目モズ科の小鳥、昆虫や小動物をよく捕食する。

禽の中で、一番に血の気が多いとされる、とにかくケンカっぱやく、副長の鵺とは、口論が絶えない―――とか。

 

『白雉』(ハクチ)

キジ目の鳥、普通ならば深緑色を主色としているが、この個体は全身が 白 で、あるために滅多に見られない、伝説上の鳥

おおよそ、この集団には似つかわしくない麗人、上記の説明のように、髪や肌の色が透けるような白であるために、

一見して、嫋(たおや)かな印象を受けがち。

 

『鳳』(オオトリ)

こちらも、伝説上の鳥―――鳳凰―――に由来する。

白雉と同じく、穏やかなる人物。(ちなみに、この二人は仲が良い)

 

『鴉』(カラス)

スズメ目カラス科の鳥、全身黒色で、羽に光沢がある、田園や人家近くに棲み、雑食性。

この集団の中で――― 唯一身元の割れていない存在・・・

上記の説明よろしく、その全身を黒色の布で包み、また素顔も、顔半分を黒い布で覆っているために、その表情をうかがい知れる事は・・・・皆無。

 

『梟』(キョウ)

フクロウ目フクロウ科の鳥、夜行性で肉食、獲物を捕獲する際に、その羽音を一切立てずになするという。

そしてこの者が、以上の六名を束ねる、この集団の長。

 

 

【ユミエとラクシュミ】

この庵で働いているという姉弟・・・・なのだが。

実はこの二人、この――ガルバディア大陸――の者ではない・・・と、言う事。

(これは、上記の六名のうち、鴉を除く全員もそう、早い話が余所者)

 

 

【沈痛な面持ちの婀陀那】

とどのつまり、上記の梟に、本当は自分達が何者であるか―――・・・を、知られているため、気が気でないご様子。

たとえそれが、“ばらさない―――・・・”と、本人が言ってあるにしろ、婀陀那が梟を信用していないのは定か。

 

 

【“北”廻り】

ラー・ジャの北方に位置するのは・・・・なんと、くしくもカ・ルマ。

そして、この国に常駐している禽は、『鴉』。

 

これだけで、これからナオミがなそうというのが、いかに無謀であるか、分かるはずであろう。

 

 

 

 

 

 

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