/91章/
【驃騎・車騎将軍】
どちらも軍務の最高位の将軍職である。
軍務に就き、武官として生きるからには誰しもが目指す、羨望の的ともなっている。
両者ともに二品官ではあるが、実際には三公に匹敵するくらいの権力を持ち合わせているという。
つまり、現時点では、婀陀那・イセリア・タケルがその最有力候補に挙げられてはいたが、
カ・ルマに対抗していく上での、武官の再編成時においてもそれはなされなかった・・・
ならば―――? なぜなされなかったか・・・
【『帝國の双璧』】
古(いにし)えからの口伝に斯くありき―――
曰くに、皇国に忠誠を誓い、また護ってきた者達のなかに、最高の強さと武功を誇れる者達あり・・・
その一つを≪鑓≫と云い、もう一つを≪楯≫と呼んだ・・・
しかも、この二つの存在が、上記の『驃騎』であり『車騎』なのだ―――と、女皇は説いたのです。
【“ゾハルの主”】
古来より、西の地域では、この大陸一高いと云う 霊峰・ゾハル には守り主が居ついており、
その姿も巨大な龍だという説が一般化されてはいたのだが、
女皇より『帝國の双璧』の≪鑓≫、驃騎将軍を呼ぶ手がかりは“ゾハルの主”こそが知っている・・・と、知らされ、
タケルが接触を試みたのです。
ところが・・・渉(わた)りをつけようとしたユミエたちは失敗に終わり、
しばらくして主ヘの案内役を努める・・・と、云う少女と出くわすこととなるのです。
【その正体】
“ゾハルの主”の正体とは、一般化されている巨大な龍という通説ではなく、
むしろ人間に近い形(なり)だったのです。
では、どうして人の目を欺く必要があったのか―――
その大きな一つの理由としては、ならばなぜキリエやサヤは、未だもって自分の正体を明かせていない・・・?
この一語に尽きるのです。
けれども、巨大な龍―――というのも強(あなが)ち間違った説ではなく、でもそれはまた別のお話にて。
【古代文字】
<ナグハマディ>と呼ばれたその書体は、その昔ある人たちが頻繁にそのやり取りを交わせるときに記された書体・・・
しかも、“その昔”―――とは、有史が語られている以前のものであり、
ここで云う“有史”とは、もはや云うまでもなく“7万年前”の皇国・シャクラディアのことである。
それでは・・・そんな太古の昔よりまだ以前に、その書体は使われていたのか―――?
そう云った謎が、また謎を孕んでいくのです。