《94章》
【よくある話】
得てして―――偉大な人物の“生まれ変わり”というのは引きも切らずで、中には自分の・・・と、云う、噴飯者ですらいると聞いたことがある。
自分の噴飯者―――は、まあそれはそれでよしとして、自分が慕うお方の それ は、許せない・・・やるせない気持ちで一杯になった。
けれどもそのことは、前もってある方の策略なのだ―――と、自分に言い聞かせるようにし、噴き上がる怒りを堪えてきたものだったのです。
【エルムの能力】
実はこのことは、以前にエルム女史のサーヴァントでもあるあの人でも確認済み。
いわゆる“眼差し”―――と、云うものである。
それに、この能力には他者の真贋を見極める特性も同時に持ち合わせており、
それが転じてエルム女史は『御史大夫』という、内務監査の長に納まっているのです。
―――と、云うことは・・・このときアヱカの眸を覗き込んで、サヤと同じく、アヱカが『女禍の魂を受け継ぎし者』だと判った・・・と、云うこと。
【婀陀那懸命の弁解】
≪三節≫で、なぜ彼女本人が『自分のほうが“影”』である―――・・・と、嘘を吐かなければならなかったのか。
その単純な理由としては、今現在流血沙汰になりそうにまでなっているところに、わざわざ油を注がなくてもいい―――
・・・と、婀陀那なりに判断をして云ったことなのですが―――・・・
上記に書いてあること宛(さなが)らに、実はエルム女史にはこのことはバレバレ・・・
―――ではなぜ、エルムさんは怒るようなことはせずに、むしろ素直に従ったのか・・・
そのことの一つとして、『現代を生きる者も、結構かわいいとこあるじゃないか。 気に入ったからもう少し付き合ってあげるよ。』
・・・だったのではなかろうか―――
【頑な・・・な、龍】
それでも―――ヱリヤは気に入らなかったのか、頑として首を縦に振らず、むしろ席を蹴る勢いでシャクラディア城から去ってしまうのですが・・・
これだけではヱリヤ様が頑固者にしか捉われないだろうから、補足の一つとして―――・・・
実はこのとき、ヱリヤは・・・シャクラディア城にいながらにして、遙か遠くの―――異変をキャッチしていたのです。
そう・・・“遙か遠くの”“異変”―――とは、カルマの動きでもあり、
そのことをシャクラディアの“レーダー”なるものとリンクしたヱリヤは知ることが出来た・・・
しかも都合のいいことに、自分たちは現在喧騒の真っ只中にいる―――
幸いなことに、この異変を知るのは、現在をおいては自分しかいない―――・・・
後のことはどうにでも弁解が出来るとしたヱリヤは、あたかも自分が憤慨に余ってこの場から去っていくのをいいことに、
手土産として カルマの先遣隊 を殲滅する動きに出たのです。
【続いてヴァンパイアも・・・】
―――と、思われたのですが・・・いわゆる二人は、“ツーと云えばカー”の間柄・・・・
片方に含むことがあっても、須らく意思の疎通が出来合える仲・・・
それに―――久方ぶりに再会しあえたのに、すぐさま姿を見れなくなるというのは、なんとも寂しい話し・・・
だったら―――と、いうことで、連れて戻ってくるという口実を設けて、ヱリヤの後を追っていったのです。
【予め知る女皇】
―――だけれども・・・女皇・・・いや、女禍様にしてみれば、昔から可愛がっていたこともあり、
いくら二人が巧妙に芝居を仕掛けたとしても、落ち着くべくところに落ち着くことを知っていたのです。
それがあの言葉―――『あの二人の調子を見ていると、思い出すこともままにある・・・』
“古(いにし)えの皇”であった方は知っている―――あの二人が、他のどんな者よりも仲睦まじかったことを・・・
【疑問を感じるタケル】
そのことを―――いち早く不思議だと感じたのは、パライソ一の知者でもあるこの男なのですが・・・
女皇である方のあの物言いに、不思議と流血沙汰にならなかった現場・・・
それに―――あの二人の云い合いにしたところで、どこか不自然を感じるところがあった・・・
もしかすると――――・・・・?
タケルの“もしかすると”―――は、この後もしかしなくなるのですが・・・そのことはその時点ということで。