｛２７章｝

【女禍の社交界デビューで出会った、望むべくもない者】

云うなれば―――今までの自分たちの努力はなんだったのか・・・と、思えるくらい、あっけなく当人同士は出会ってしまったのです。

しかも誰それという仲介人を立てずして―――とは、よほどの偶然性がそこでは絡まりあっていたとしか云い様がなかった。

けれども、未だここでは語られてはいないのですが、これこそが女禍とヱニグマがもつ、ある“宿”―――

無理にでも引き離そうとすれば、そうするだけ当人同士は強く引き合う―――引き寄せられる・・・

そしてそれはこの機をおいて激しく作用することとなり、結果―――周囲の者達があきれてしまうほどあっけなく、

女禍とヱニグマはお互いの顔を認識しあってしまったのです。