〔補章T〕
【固有領域の、次元隔壁の崩壊】
この事象の意味するところは――――
とある者が、永の沈黙を破って、真の姿を現した・・・と、いう事。
その“ある者”が、今回の語りの、二人のうちの一人、である事は想像に固くはない。
【キリエ】
本名;キリエ=クゥオシム=アグリシャス
今回では、その年齢は伏せてはあるが、古えの『女禍の治世』が出ている以上、7万歳以上である事は確か。
種族は人間ではなく、彼の者の言(ごん)の通り、『ハイランダー』《竜眷属》である。
彼女はそのうちの一種、『デス・バハムート』と云われる種。
(ちなみに・・・余談ではあるが、彼女が最上位種ではない、またそのことは、自分の主上がいることで確認済み)
本編で、出ていたあの(老婆の)姿は、他人から怪しまれないよう、自分なりに施しておいた『苦肉の策』。
【ハイランダー】
外見上は、人間とはそう変わりはないが、その実態は、各々が竜の力を内包した種族、別名 竜眷属 と云われる。
個々の形態は、それぞれで違うが、今回では、二種が確認済み―――。
この種の特徴は―――
物理的な攻撃力に特化しており、言い伝えによると、彼等は固有の長柄を携えており、
馬ではなく、竜―――(その呼称に、従属した竜)にまたがり、戦場を駆け巡ったとされる。
(こちらも、余談ではあるが、竜に“またがる”のではなく、今回のように、竜と同化していた姿(スキュラ形態)が、本来の姿のよう。
それを、昔の人達は、『竜にまたがった騎士』として、畏敬の念を顕(あらわ)にしたという。)
【デス・バハムート】
ご存知の、バハムートの亜種。
その姿は、青緑色をした鱗に覆われており、絶えず凍気を纏っている・・・・とか。
バハムート本来は、神性の高い竜『ディバイン・ドラゴン』の末裔だが、こちらは少しばかり魔界の血が入っているらしい。
尚、頭に『デス』と冠してはあるが、『アンデッド』ではないので、間違えのなきよう。
【フローズン・ハープーン】
またの名を、『凍てつきの画戟』と呼ばれる、キリエが所有している長柄。
彼女自身の身体から創り出されているので、綻びる事は、まずない。
(ちなみに、この武器の銘は『ヴェンティシュカ』)
【ゾハル山】
その概要は、ほぼ本編と同じ。
ただ一つ、補足としては、この山を覆っていた、炎がなくなったのは、キリエの主が喰ってしまった為。
【レ・テとアーケロン】
この大陸に流れる、二つの大河。
その名の由来が、冥界に流れているモノと同じ・・・であるのは、大変興味深い事である。
【ゾハルの主】
この巨大な竜が、キリエの主であり、別称=焔の凶山=と畏れられていた、ゾハルの焔を食べた張本人―――
で、あることには、まづ間違いはない―――。
その全身を、“熾緋なる鱗”で覆われており―――、(キリエもそうだが・・・)人間の言語をも解するという。
【メギドの焔】
通称―――『滅びの黒焔』・『終末の炎』・『浄化の焔』。
注釈にも書かれてある通り、この黒焔は、総ての生きとし生ける者の、生命を悉くに奪い去る事が出来る。
【ヱリヤ】
本名;ヱリヤ=プレイズ=アトーカシャ
この者の、見かけ上の年齢は8歳。
だが・・・しかし、上記してある『メギドの焔』の喚起や、キリエが全くといっていいほど、萎縮してしまったのを見ると、
その能力などは、常軌を逸しているのは明白。
ちなみに・・・彼女の種は、『ファイア・ドレイク』(焔喰い)と呼ばれている。
【サヤ】
本名;サヤ=ヴェダ=ゲオルグ
上記の二人とは、また別の種族、もちろん彼女も『人間』ではない。
今までの物語の注釈上では、“20歳前後”と言う、ふれこみだったが、
今回でめでたくも(??)キリエと、同期である事が判明。
(・・・・と、いうことは、彼女も、実年齢は7万歳を超えているという事。)
以前には、女頭領・婀陀那の依頼で、カ・ルマの騎士団と闘(や)りあい、
アエカ姫脱出の手助けをしたこともある。
(けれども、具体的にはどのように、彼等の警備を無効化したのかは、書かれてはいない。)
彼女の友、キリエも言っているように、彼女自身の『眼力』には、定評があるらしい。
と、いうことは、あの時に頼まれた『警備の無効化』にしろ、『姫君の瞳を覗き込んだ件』にしろ・・・
関係がなくはないようである。
【サヤの眼力】
通称『まなざし』
彼女のこの技(術??)にかかると、体を意のままに操られたり、急に眠くなったり、心の中を読まれたり・・・
とは、サヤの可愛い子分共の証言ではあるが、
彼女の これ は、魔術に多少なりとも心得のある者から見れば、『魅了』≪チャーム≫に、似通っているという。
でも、一介の盗賊ギルドの一構成員である、彼女がどうして魔術などを・・・・?
その詳しいわけは、下記にて↓
【ヴァンパイア】
皆さんよくご存知の『吸血鬼』。
一応、上記のサヤと、もうお一人――― サヤの主上がこの種族。
物理攻撃にしろ、魔法による攻撃にしろ、滅多な事ではダメージを受ける事がない。
それはなぜか―――
それは、この種族が『アンデッド』だからである。
万が一、魔力のかかった(つまりは付与魔術〔エンチャント〕のかかった・・・)武器などで、多大なダメージを受け、
肉体が滅んでしまっても、五日ほどあれば、地霊を吸い上げ、元の姿に復活できうるという。
ファンタジーの それ と同じく、生ある者・・・・殊の外、人間の生き血・生命を好むとされる。
魔力がかなり高いらしく、古今のあらゆる魔術などに精通しており、専らの得意な攻撃方法は、魔術での攻撃である。
(それゆえに、通常の武器では届かない範囲からの、攻撃が可能になっている。)
【真祖】
ヴァンパイアの上位種が、この『真祖』と呼ばれるもの。
通常のヴァンパイアが、ヴァンパイアに噛まれてなるのに対し、この真祖という種は、
自己の持つ強大な魔力に加え、『不死創生』《ビカム・アンデッド》の呪法で、恒久なる生を受けたものを言う。
普通のヴァンパイアよりも、数段上の魔力を持ち合わせており、人に限らず魔物でも、直接に対峙する場合は、注意を要する。
なぜなら・・・この魔物を完全に滅する法など、未だ確立していないから・・・である。
しかし、唯一の救いは、今の世には、個体が確認されていない――― と、言うことであろう。
(でも?この魔物を滅ぼせる法など、確立していないのでは―――? という疑念が残るのだが、その理由はいたって簡単、
なぜなら、今回の注釈にもあったように、この怖るるべき魔物――― それ自身の意思で、滅んでしまった・・・言い方を変えるのなら、臥せってしまったから。)
【ヴァルドノフスク渓谷】
通称『血溜(ちだま)りの谷』と呼ばれる。
『クー・ナ』『ハイネス・ブルグ』の間を挟むようにして存在する、怪異の森の奥にひっそりと存在するという。
よく先を急ぐ旅人が、この地で行方不明になるのは、この付近に、とある者がよく出現する―― との噂と・・・
そのある者の居城がある―― からだとか。
その噂が元で、ここ数万年来、この地を往来する者は、まばら・・・・だとか。
【ヴァルドノフスク城】
かの渓谷の、さらに奥地に存在するという、通称『お城』。
持ち主は、以前と全く変わらず、あるお方の所有物である。
かの“渓谷”と“森”の、ドス黒い伝承のお蔭で、近寄るものは得てしていないが、
外観上は、中々どうして、中世欧州様式の立派な城郭である。
また、外観上もさることながら、内側の装飾のほうも、それに倣っており、
所有者の趣味の良さが伺える。
【エルム】
本名;エルム=シュターデン=カーミラ
今までの説明にあった『真祖』がこの方。
ヴァルドノフスク城の城主であり、恐ろしくも美しい吸血鬼の真祖。
その美しさは、『月も光を消し、華も恥らう』と讃えられた。
(ただ、今回の語りで明らかになった事に、どうもこの方は、吸血鬼のクセに、人の生き血などは苦手のようで??
でも・・・だとすると、彼女はどうして吸血鬼なんかに??)
【生血(しょうけつ)を嫌う真祖】
ご存知のエルム嬢の事。
今回の語りの中にもあったように、生きとし生ける者の、血と魂を糧とする者が、どうしてそういうモノが苦手なのか・・・
それは今回では明らかにはなっていないが、何か特別な理由がありそう・・・ではある。
(ここで余談としては・・・このエルムという真祖、元は普通のヴァンパイアのように、“生き血を好む者”だったらしい・・・
やはり・・・なにか理由が存在しているようである。)