=補章9−2=
【“魔将”という者の存在感】
まさにこれ―――相手を圧迫するといったところ。
これは≪一節≫にもあるように、初対面であったはずのリリアが、キュクノスを一目見てそう感じたことにある。
【再生者<リジェネレーター>】
例え・・・聖剣で傷つけたとしても、脅威的なスピードで治癒していくのを見て、彼女たちは戦慄したことだろう・・・
なぜ―――わが剣の斬撃を受けても、平然として立っていられるのか・・・と、云ったように。
しかし、これこそがキュクノスの持ちし最大のスキルであることには違いはなかったろう。
しかも―――これは・・・太古の失われし技術が行使されているとも言われているのである。
【イセリアが勘違いをした一つの事実】
―――故に・・・件の杜も近いことから、イセリアはある仮説、
ひょっとするとこの者は『ヴァンパイア』かもしれない・・・
―――と、思うのですが、するとそれを聞きつけたキュクノスは猛反発をし、剰(あまつさ)え怒り出してしまった・・・
ナゼ・・・? 理由は簡単―――それは、彼らは互いが憎しみあう存在だったから。
もう少し突っ込んだ話しをすると、キュクノスの属する『魔皇』の勢力と、
ヴァンパイアとハイランダーが属する『皇』の勢力とは、長年に及び対立をしていたから。
だから―――ナゼ自分が、敵方の勢力の一つと間違われなければならなかったのか・・・
と、云ったのを激しく怒っていたというわけ。
【敵将に一矢報いた『ダメ男』の心境】
自分の許婚の、周囲りの取り巻きが自分を揶揄していることなど承知の上・・・
けれども―――自分の所為で、イセリアが悪く言われるのは心外だ・・・
だから、彼女たちを見返す上でも、こいつに一太刀浴びせなければ―――・・・
つまりは、その思いは報われなかったけれど、キュクノスに一太刀浴びせれたのは、その男の本懐ではなかっただろうか??
それと―――また一つ付け加えますに、つまりこのことが、前回のエンサイクロペディアで云っていた 名残り のようなもの。
【魔将の得物】
今回のキュクノスが携えていたのは、見かけも効能もまさに痛々しいばかりの『百足鎖鞭』。
それと―――前回のを引きづる象(かたち)となるのですが・・・やはりここは、明かさざるをえますまい!
―――と、云う事で・・・前回の『十聖剣』に続き、今回は冥界の八人のその得物を・・・
@ 覇蝕の剣<オートクレール;剣>
A サイネジア<イビル・ヴァンブレイス;手甲>
B ベルクラント<デモン・スピアー(魔槍);槍>
C スプラッシャー<フランベルク;剣>
D アクターネファリウス<トライデント;鉾>
E 百足鎖鞭<鉄鞭>
F デストロイヤー<ターフー;斧>
G スクリーマー<エストック:細剣>
【三将事実上の敗退】
許婚を弑された事で、冷静勝つ正常な判断が出来なくなったイセリアを、
強引な手段で退かせたことはある意味正しい判断だったのだが、
そのおかげもあいまって、早、意気も消沈してしまった軍を立て直す事は難しく、
ここに来てリリアは、苦渋の決断を強いられる事になるのです。
しかし―――自分たちがそこからいなくなれば・・・結果は一番最後に書いていた通りとなり、
これ以後、彼女たちは自分が忠誠を誓っていた処よりからも、そっぽを向かれてしまう羽目になるのです。
【奇妙な出来事】
さても―――この戦役は、結果的にはハイネス側の敗北に終わってしまったのですが、
ここで一つ奇妙なことが―――・・・
それというのも、許婚を弑されてさぞかし寂しかろうと思い、ならばせめて亡骸を母国に持って帰り、
そこで埋葬しよう―――と、したのに、なぜか戦場には、ジュヌーンの亡骸はすでになかったと云う。
そこで一体どうしたものか―――と、近隣に住む者に訊ねてみたら、
一つの、無惨な死体に近付いていく人影を見たという・・・
しかし、その者もちらと見ただけでしかなかったので、それがジュヌーンのものであったかどうかは不明である。
(注;しかも・・・宜しく、表情の判別が出来ないくらい、顔が破損していたらしい。)