≪十二節;ブービー・トラップ(ばか者のワナ)≫

 

 

〔それから―――九つの刻が去り・・・とある泉のほとりに、何と―――あの娘の姿が??〕

 

 

娘:(ぐぅぅ〜・・・)あ゛〜〜―――腹へったぁ〜〜〜・・。

  そういえば、目覚めてここ数ヶ月、なぁ〜んも口にしてないねぇ〜〜。

 

  こんな事なら、キッチンの戸棚にあった、『うまい棒』かっぱらっとくんだったよ〜〜―――

 

 

〔どうやら、激しく空腹状態の様子・・・と、そんな時に―――

なんと偶然にも(??)娘の視界に入ってきたのは・・・・それはそれは彼女が大好物の――――〕

 

 

娘:ああっ―――!!いちごのショートケーキ!!

  だ・・・誰なんだろね―――こんな勿体のないことをするヤツ・・・

 

  (キョロ・・・キョロキョロ)だ―――誰も見てない・・・・・・・・・よね?

  ンじゃ、いっただっき---―――――――――――――(はぐっ!)――――――――――――まぁふ!!

 

  (もぎゅもぎゅ・・・ごっくん!)あ゛〜〜・・・美味しかった――――

  ん゛〜〜・・・このスチョロベルリを、最後に食すのが“通”なんだよねぇ〜〜

  あ〜〜おいち♡♡

 

 

〔なんと、大好物のものを一口でほお張り、想いの様至福を満喫する娘・・・

でぇも?!!

なんとも不届きなことに――――〕

 

 

娘:ん゛ん゛っ??! あっ―――あれは・・・・

  (ぱたぱたぱた・・・)や、やはり!!“幻”の珍味とされた『●ッちゃんの酢漬けイカ』!!(するめじゃないよ?酢漬けだよ??)

  そ・・・それに!あすこには『ア○゜ロマーブルチョコベビー』!!

 

  あ・・・あぁ〜〜―――なぁんて勿体のない・・・ぜ、全部私が食べてあげるからね??

 

 

〔なんとも・・・・甘ぁ〜いお菓子や、珍味の類が、こうもこ気味よく『落ちて』いたのです。

しかし―――そんな都合の良さなどを疑う余地すらなく、次々と口にしていく娘・・・・

 

そして―――最後に『お○つスナック』を完食したとき・・・・〕

 

 

娘:(げぷ〜)あ゛〜〜〜大満足・・・・もう食べきれない――――

  いくら私でも、げんか―――――――い゛っ??!

 

  あ・・・・あれは!!ちょ〜有名なパティシエ三人が、大絶賛したって言う・・・『コア○のマーチ』ぢゃないか!!

  あ゛あ゛・・・・倖せ―――私ったら、なんて倖せ者なんだろねぇ・・・(しんみり)

  もう、世間には出回っていないとされる、それこそ『幻の一品』が今ここにっ!!(力説)

 

 

〔そこにあったのは、名だたる菓子職人が、自他共に認めたという、一つのお菓子だったのです。

 

しかも、それを・・・今の、この現在に目にすることが出来ようとは―――!!

 

その感激・・・嬉しさの余り、娘は、つい無我夢中になり、それに飛びついてしまったのです。

 

そう―――それが、ケージ(檻)の中にあるとも分からずに・・・・〕

 

 

娘:(パクパク・モグモグ・・・)あ゛〜〜美味しいねぇ――――

 

                   シャンッ〜〜―――☆

 

娘:(ん??)(クル・・・)え゛っ・・・・こ、ここ―――って・・・ケージの中??!

  ど・・・・どぉ〜して・・・いつの間にィ??

 

ソ:―――――と、言うより、まぁたこの手に引っかかりましたねぇ・・・・お館様!

娘:あ・・・・あれ??ソ・・・ソシアルちゃん。

 

へ:しかし―――まぁ・・・なんと申しましょうか・・・。

  こちらも幻の限定品を押さえるのに、苦労させられましたよ――――

 

娘:へ―――ヘラィトスちゃんまで??

  は・・・・謀ったね?お前達!!

 

へ:えぇ〜謀らせてもらいました・・・。

  しかし、こうでもしない限り、あなた様を捕まえることなど出来ない―――と、そう感じましたので・・・。(ジロリ)

 

娘:ぁぃぃ・・・・

 

ソ:しかし・・・なんですよねぇ?他の手には引っかからないのに、この手にだけは毎回引っかかるなんて―――

へ:何度目でしたっけ――――?

 

ソ:18,126回目ですっ!(今回で・・・)

  他の手から逃れられる知能はお持ちなのに、どぉ〜〜してこれだけ、毎回記録更新中なのですかねぇ?!!

エルム様っ―――!!

 

エ:(エルム=シュターデン=カーミラ;以前にも出てきた、ヴァンパイアの真祖・・・・の、はず。

  しかも、ヘラィトスやソシアルの“ご主人様”である・・・・・・・・はず。)

  (う゛ぃぃ・・・)だってぇ〜〜―――・・・

 

ソ:“だって・・・”なんです??

 

エ:だってぇ!落ちてるあの子達ほっぽといたら、勿体ないし、第一可哀そうじゃあないか!!

 

ソ:(なんなんだよ・・・その屁理屈わ―――)

 

へ:(はぁぁ〜・・・)エルム様、確かにあなた様のお優しいその心・・・我等にしても、とても胸を打つものなのですが―――

  もし、万が一、拾い食いしたモノに中(あて)られたら、どうするおつもりなのですか?!!

 

エ:わ―――分かったわよッ!もうッ!! 今度から拾い食いしなきゃいいんだろッ!!

 

ソ:(逆ギレされて・・・これまで何度同じようなセリフを聞いたことか・・・)

へ:(難儀なものだな・・・お互いに―――)

 

 

〔その娘が、夢中になってお菓子をほお張っていたとき・・・

また、それが当然であるが如く、ケージの入り口が閉まったわけで―――

 

そこでようやく、自分が嵌められたことに気付いてしまう娘・・・・・こと、渦中の人エルム。

 

このワナを仕掛けた張本人の、下僕のヘラィトス・ソシアルを交えての大舌戦となるのですが・・・

結局のところ、また同じところに落ち着いたようです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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