本来の目的である、コンビニ強盗犯は、事態が悪化することなく、難なく終了―――全員投降・逮捕で解決に至りました。

 

けれどそれは、「ディーヴァ」の二人が、彼らのアジトに踏み込んできたからなのです。

 

これを見ての様に、悪の組織に「悪名」として浸透してきていた「ディーヴァ」は、悪人達にとって、まさに「天敵」だったのです。

 

その(なか)でも特に、今回出動要請のかかった「ドゥルガー」と「パールヴァティ」は、

主に現場に赴いての、直近接戦闘要員でもあった為、殊の外彼らに畏れられていたようです。

 

 

そんな彼女達も・・・一件落着してしまえば、「人の子」―――

仕事の後の一杯と、悪党達の「賞金首」を換金する目的で降り立った惑星で、一息ついていたのです・・・。

 

 

 

マ:はい、どーもお疲れ・・・

ヘ:は〜・・・に、してもショボ―――

  こんなんじゃ、仕事後の一杯で、すぐになくなっちゃうじゃないのよ〜。

 

マ:ぼやかないの・・・ヘレン―――あるだけまだマシよ。

ヘ:・・・ったく―――あんたは・・・

  ・・・あ、そう云えば、クラウドマンの奴なんだけどさ―――

 

マ:なに・・・彼がどうかしたの―――

 

 

 

彼女達は、親友同士で、お互いが持ちつ持たれつの関係でもあった為、よく相談を交換し合っていました。

今も―――13分署の署員の噂話を持ちかけ、それを酒の(さかな)に、四方山話(よもやまばなし)に花を咲かせていたようです。

 

 

それとは話しは変わり―――

マリア達が住む惑星・オンドゥより、56万km離れた惑星「クーレ」に、ある富豪が住んでいました。

 

しかもその富豪は、少女の(なり)をしており、また―――足が不自由なのか、車椅子が欠かせない身の上だったのです。

だから、そんなにも、いたいけな者の身の回りの世話をするのに、「ハウスメイド」は欠かせない要員―――

 

今も、朝の日課である散歩をする為、雇っているハウスメイド―――メイベル=ヴァイオレット=フォルゴーレに、

自分の車椅子を押させて、朝の新鮮な空気を取り入れていたのです。

 

そして、朝の日課の締め括りに、庭にある大きな池を臨む、小さな小休止場で、その日の朝刊を拡げて、軽めの食事を摂っていたのです。

 

 

すると・・・とある記事が目に飛び込んでくると、その富豪の眉を曇らせ始めたのです・・・。

その様子を見て、心配そうに伺う、メイドのメイベルは―――・・・

 

 

 

メ:あの・・・ミリヤ様、何か変わった事でも―――・・・

 

ミ:・・・いえ、別に―――

  普段とそう変わらないわ・・・そう―――「普段」と・・・ね。

 

 

 

メイベルの主人である、ミリヤ=アゲット=ロックフェラーは、少女の姿をしているにしては、実に冷めた・・・それでいて、大人びたモノの云い方をする人物でした。

今の会話は、そんなミリヤの性格を、よく現しているいい例と云っても、差し支えありませんでしたが・・・

ならば何が、少女をそんな態度にさせたのか―――そのことは、次第に明らかとなってくるのです。

 

それと云うのも、この後ミリヤは、すぐさまメイベルに―――オンドゥにいる、13分署の署長と、なぜか・・・ハタルドーミ教会のシスターを、

その日の昼食会に招待する手配を、行わせたのだから・・・。

 

それにしても、この二人・・・なぜ、「ディーヴァ」の構成員である彼女達が、その宙域一の富豪の昼食会に招かれたのか・・・

 

それはそうと、その宙域一の富豪からの招きに、応じないわけにはいかないとしたマリアとヘレンは、

揃って、クーレのロックフェラー邸の門前にいました。

 

それに彼女たち二人は、「招き」の主旨はどうであれ、ミリヤと云う富豪の事を知り過ぎるまでに知っていたから、変な緊張はしないでいたのです。

 

それと云うのも・・・度々、富豪からの招待があったから―――

ならば、マリアにヘレンも、実はメイベルと同じく、ロックフェラー家の使用人なのか・・・それは間違い―――

ならば、マリアにヘレンも、実はそうした富豪の一人なのではないか・・・それは、大きな間違い―――

 

ならば・・・可能性とすれば、あと一つ―――・・・

 

それに、緊張をしなければならないのは、寧ろ昼食会の最中に―――しかも、ミリヤから切り出されてくる話題に・・・なのです。

 

そう・・・二人とも、ミリヤの事をよく知っていました―――

彼女を、宙域一の富豪・・・と、してではなく、同じ「ディーヴァ」の「ラクシュミ」として・・・

 

 

 

第百六話;緊張の昼食会

 

 

 

ミ:今日はお忙しい中―――良く来て下さいましたね・・・。

 

マ:あの〜〜え〜と・・・また、なんか失態(やらかし)ましたか―――警察(わたしたち)・・・

 

ミ:いえ、実にあなた方は、私達の安全と地域の治安の為、貢献して下さいましてよ―――

  ただ・・・重参(じゅうようさんこうにん)を取り逃がしてしまう事は、よくあることです。

 

へ:(あっちゃあ〜)・・・大当たり―――

 

ミ:さ・さ―――私の話しは長くなりますから、早くお召し上がりになって下さい。

  折角のメイの手料理が冷めてしまいますわ。

 

マ:は・は・・・では、お言葉に甘えて―――それと、お小言の方も、一緒に頂戴します・・・。

 

 

 

同じ組織の一員であるが故に、マリアとヘレンは、ミリヤの手厳しさをよく心得ていました。

それに、こう云った(かたち)で呼び出されるのは、そう少なくなかった―――

つまり、今回もまた、お説教交じりの昼食会が、ミリヤを囲んで催されたのです。

 

・・・が―――今回はどうやら、それだけではなかったようです。

 

それと云うのも、昼食会も半ばを過ぎ、(おもむろ)にミリヤから提示されたデータ・ファイルを眺めながら・・・

 

 

 

ミ:あなた達も、今朝の新聞に目を通していたなら、これから私が話そうとするべき事は、(おの)ずと判ってくるでしょう・・・。

 

ヘ:ああ―――そう云えば・・・「グリフォン」の・・・なんつってたっけ?

マ:確か・・・グワゴゼウス―――?

 

ミ:そう・・・その彼が、一度は「地球」と云う場所で逮捕され、「宇宙警察機構(U      P)」に引き渡されたそうなんだけど・・・

 

マ:まさか・・・脱獄?

 

ミ:そうではないわ―――結論を早めないで。

  それに彼は、出廷する為に拘留されていたんだけれど・・・ある「意志」が、彼の為に多額の保釈金を支払っているわ。

 

ヘ:「多額の」―――? それっていくらよ・・・

 

ミ:その判定基準―――って・・・あなた?それとも私?

 

ヘ:・・・私―――

 

ミ:だったら、その後に桁を3つ加えると良いわ。

 

ヘ:―――って・・・数十億ぅ?!!

マ:でもつまり・・・それだけの額を払っても、惜しくはないと思ったから支払われたんですよね。

  それで、相手は・・・?

 

 

 

なんとも驚いた事に、今の三人の間で、話題に上っていた事とは―――

先頃リリアの活躍により、投降・逮捕されたばかりの、グワゴゼウスの事であり、

その彼を、途方もない額で保釈されたという記事が、既にこの宙域にまで(もたら)されていたのです。

 

ですが、ミリヤが批難する処とは、そんなことにではなく、危険人物の首に、鈴をつけないまま野に放っていることに、

警察機構の弱体化―――そして、犯罪組織を裏で支持している企業や、警察内部でもそう云う動きがあった事に言及されていたのです。

 

それに・・・「ラクシュミ」は、ある者から既に、グワゴゼウスを保釈させた張本人と、そんな羊の皮を被った悪党が、彼を使って何を企もうとしているのか・・・

詳細な情報を得た上で、的確な解析(アナリスト)を、既にはじき出していたのです。

 

 

 

ミ:そのことは、既に「サラスヴァティ」からの一報で、グワゴゼウスを保釈した者の名は割れているわ・・・。

  その名は―――イルツスカヤ=ダビー=ツヴエルクリン・・・こじんまりとした商売を売りにしているようだけど、

  噂では、隠している財産は100兆を超えていると聞くわ。

  それに、税金も公開分しか払っていないと云うし―――でもそれは、税務署のお役目だから、それまでとして・・・

 

  では、この彼―――イルツスカヤが、グワゴゼウスを使って、何かをしでかしそうな事とは・・・?

 

ヘ:ん〜〜・・・手っ取り早くだと、「金品強奪」―――かしらねぇ・・・

マ:それより・・・グワゴゼウスは確か、「誘拐」の前科もあったはず・・・と、くれば?

 

ミ:流石は「猟犬」―――勘は鈍っていない様ね。

  そう・・・「人質ビジネス」―――と、くれば、治安・警察の問題となってくるのも、そう遠くない事でしょう。

  ですから、これからグワゴゼウスを、無期限の監視下に置こうと思います。

  何か異論は・・・?

 

ヘ:い゛〜〜ンな事云われても―――そりゃ無理ですわ。

  第一、いくら私たち二人でも・・・ねえ?マリア・・・

マ:そうですよ〜〜それに私達は、「普段」と云うモノが・・・

 

ミ:フ・フ・・・誰も、そんな貧乏臭い事は云いませんよ。

  それに、「監視」だけならば、「サラスヴァティ」―――ジゼルにもできる事ですし、

  即応性を求めるのならば・・・こちらにいる「カーリー」―――メイベルがお手伝いをする事になるでしょうから・・・

 

 

 

「ディーヴァ」の実働部隊であるマリアとヘレンも、自分達の「日常」がある為、時間を費やす「監視」には、余り好い顔に返事は出しませんでした。

 

・・・が―――ミリヤもそこの処は一定の理解を示し、ならば、「情報収集力」に特化した、「サラスヴァティ」こと、ジゼル=ペルラ=オーチャードや、

「即応性」に定評のある、「カーリー」こと、メイベル=ヴァイオレット=フォルゴーレの投入も、有り得なくはないとしていたのです。

 

しかし、その名前が出た途端、マリアにヘレンは緊張をしたモノでした。

それもそのはず・・・メイベル=ヴァイオレット=フォルゴーレこそは、ある「分野」では知らない者がいない程、「超」が付く程の有名人だったのですから・・・。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと