その日の未明―――元・広域指定犯罪組織「グリフォン」幹部のグワゴゼウスが、組織した「スペクター」は制圧されました。
そして、これより後は、「フロンティア」所有の収監施設へと送る為、一時的に「オンドゥ」にある「13分署」が所有する、拘留施設に入れられる事になったのです。
けれど、その結果に、一人満足していなかった存在が・・・
それは―――
ジョ:これからお前は、私達の下で裁く為に、その身柄の管理を、私自身が受け持つ。
だから、今度ばかりは逃げられないと、そう思え・・・。
マリアさん・・・彼を連行して下さい。
リ:ちょ〜いと待ったぁ―――!
その前に・・・おい、このヤロウ!よくも市子と蓮也を、酷い目に遭わせてくれたな!
こいつは、そのお礼だっ―――!!
ジョ:ああっ―――ちょっと待ちな・・・
マ:あらら・・・やっちゃい―――ましたね・・・。
ジョ:ヤレヤレ、仲間を思う気持ちも大事だけれど・・・もう少し考えて行動をしようよね・・・。
リ:なんで〜〜―――
ジョ:いや、「なんで〜」・・・って―――
マ:悪い事をしているその現場―――つまり、「現行犯」であっても、被疑者には、一定の「人格」及び「人権」は保障されていますからね・・・
気持ちは判りますが・・・
リ:けどさあ〜〜―――
ヘ:いやぁ〜っはっはw いいぢゃない、いいぢゃない―――私は気に入ったよ♪
気に入らない奴はさぁ・・・ひと思いに―――
マ:ヘレン―――ちょっと待ちなさい。
ヘ:へぇ〜いへい・・・ま、組織に属してる―――って、実際大変なもんよ。
色々な柵とかあってさ・・・だから、私は「フリー・ランス」でやってる時が、一番楽さ。
なにしろ「稼ぎ」は、一人占めに出来るしねぇ・・・。
人の命を、銭勘定でしか考えていない―――だからこそヘレンは、「賞金稼ぎ」足り得たのです。
が・・・そう云った考え方は、人命を尊重するジョカリーヌとは相容れられるものではなく、彼女に一抹の不安を与えたりもしたのです。
それはそうと、グワゴゼウスが再び捕えられた事により、脅威が去り・・・
ウジアーキにも、静寂と平安が戻ってきたのでした。
するとその途端―――市子の内で、張り詰めていたモノが急に緩くなってしまい、
なんと・・・身体の震えが止まらなくなってしまったのです。
そんな、友の異状を目にしたリリアは―――
リ:おい、どうしたんだ―――市子!
市:あ・・・安心したら・・・き、急に震えが止まらなくなって…
リ:なんだって?! 大丈夫なのか―――・・・
ジョ:・・・極度の緊張から解放された事による、一時的な「ショック症状」だろう・・・
大丈夫―――私に、その身を委ねなさい・・・
思えば・・・ストゥク=カイエン=グワゴゼウスとは、正体が判明した現在ならば判るのですが、
元々は、市子や蓮也が住んでいた地域の、有名な「魔障」であり、本当の事を云ってしまえば、市子個人で、どうにかできるレベルではなかったのです。
けれど市子は、この惑星の住人達の事を思い、また救うため・・・勇敢にもグワゴゼウスに、立ち向かったのですが・・・
それは同時に、「無謀」の何モノでもなかったわけなのです。
だから、この時襲っていた「身震い」とは、まさに緊張から解放され―――けれど、その事によって抑えられていた「恐怖」の感情が、市子の身体を支配し始めた・・・
初期の段階での症状だとも、云えなくもなかったのです。
そこで、そんな市子の、内面的・精神的な「癒し」をする為、ジョカリーヌが市子を包み込むように、少しずつ「恐怖」を取り除いて行ったのです。
そして、元に戻った市子を見て、安心したリリア―――・・・
リ:はあ〜ヤレヤレ、良かっ・・・ぁん?
蓮:いかがなされたのですかな。
リ:え? ああ・・・いや・・・なんかこの前から、後頭部が妙になぁ〜・・・
ヘ:ハゲてんじゃないの?w
リ:へあ? ちょ―――ちょっ・・・蓮也、私の後頭部見てくれない??
蓮:別に・・・何もなっておらぬではござるが・・・。
・・・だったのではありましたが、その直後に―――またしても、背後で「何か」を感じた・・・
それは、実に奇妙な感覚で、なぜかよく、地球を発ってから・・・まだ少し詳しく述べると、オンドゥで、マリアとヘレンの二人と会い始めてから・・・なのですが、
未だ、その「奇妙な感覚」の原因の究明までには、至っていなかったのです。
それはそうと、オンドゥに戻ってきたジョカリーヌ達は、グワゴゼウスの再度捕縛の報告を、ジィルガに・・・
そしてマリアは、与えられた指令の完遂の報告を、「副指令・ラクシュミ」のミリヤに、それぞれがし終え―――
それによって、この案件も結了―――マリアとヘレンは、通常の、自分達の営業なり業務に戻ったのです。
ところが・・・ジョカリーヌ達は―――
リ:は? まだ帰らない??
ジョ:うん・・・予定より早く終わっちゃったからね、私はすぐにでも戻りたいんだけど・・・
姉さんが・・・
リ:は・・・なるほどねえ〜・・・。
ん・じゃ―――普段のあの人達、どうしてるか見て来ていい?
第百二十話;知られざる実態
「ディーヴァ」の協力もあり、予定していたよりも、速く目的を達する事が出来た―――と、云うのは、云うまでもなく喜ばしい事だったわけなのですが・・・
例の報告を終えたジョカリーヌに、「太陽系」の全宙域を管轄しているジィルガは、
「あんたちょっと働き過ぎだから、余った期日で休養してらっしゃい。」
・・・と、命令を下したのです。
けれど、自分にはやらなければならない事が、まだ沢山ある・・・と、云い掛けたところ―――
ジィ:「あ・の・ね〜〜そう云って、ジョカリーヌちゃんが「シャカリキ」になっちゃうから、私がお姉さまから、「お前はサボり魔だ!」〜って、云われちゃうのよぅ・・・。
だから―――ねっ?! お・ね・が・い・・・今回は私の顔を立てて?」
嗚呼・・・なんと、宜なるかな―――
愛情表現目一杯で迫ってくる実の姉に、根負けしてしまうジョカリーヌ・・・
そこの事情を判っていた為、リリアは苦笑するしか他はなかったのですが、
ならば、この機会に―――と、今回手助けをしてくれた二人の、普段を見て見聞を広めようと思い立ったのです。
さしあたって、その最初に―――と、択んだのが、自分達の「宿」代わりでもあった、「あの教会」・・・
児:ねえ〜〜ヘレン―――おきゃくさんだを? ねえったらあ〜〜――――
リ:あ・・・ああ〜いいから、いいから、そっとしてやっとして・・・
イ:この人の「普段」―――って、こうだったんですね・・・
市:幻滅です―――・・・
蓮:しかし・・・また見事なまでの、飲みっぷりですなぁ・・・。
市:蓮也さん・・・感心する処が違います。
机の上を見たところ―――中味の空いた酒瓶が、所狭しと並べられ、剩、大鼾を掻いて御就寝中の、「修道女」の姿が・・・
自分達が、この教会を「宿」代わりに利用していた時は、他にいる修道女達と同じ様に、愛想も良く、人当たりも良く振る舞っていたモノだったのに・・・
これが「現実」―――
それに、こう云った人物が、酔って気持ちよく寝ている処を、無理矢理起こされると、どう云った反応を示してくるか―――リリアには、身に沁みて判っていました。
だからこそ、そっと寝かしてやるよう、孤児院の子供の一人に言い聞かせていたのです。
・・・と、云うわけで、残りの「13分署」にも顔を覗かせてみたところ―――
リ:は〜・・・忙しそ―――あら?あれは・・・?
イ:ジョカリーヌ様? どうしてこんなところで・・
市:そう云えば、マリアとか云う人は―――・・・
先程の、「ハタルドゥーミ教会」とは、打って変わって、目まぐるしいまでの忙しさ―――慌ただしさがある、「13分署」・・・
するとそこで、意外な人物の姿を目撃してしまったのです。
それが、ジョカリーヌ・・・
なぜ―――彼女が・・・「フロンティア」と云う、大企業の一理事ともあろう人物が、「13分署」の署員達に交って、「13分署」の業務の手伝いをしていたのか・・・
それに、「13分署」の「署長」でもある、マリアの姿は・・・?
その意外な真実は、これから明らかとなって行くのでありました。
=続く=