(がい)宇宙での、自分達の見聞を広める為に、オンドゥにいるヘレンとマリアの日常を覗こうと云う企画は、

()ず初めに、ハタルドゥーミ教会の修道女(シ ス タ ー)の一人である、ヘレンを訪ねた処、

任務(ミッション)の一つを完遂させ、その為の祝杯を()げた後に・・・だったからなのか、とても、その様子を窺い知る事までは出来なかったようです。

 

ならば―――と、云う事で、次に、13分署の署長である、マリアを訪ねてみた処・・・

なんとそこでは、自分達を引率しているジョカリーヌの姿が。

 

しかもジョカリーヌは、管理職である署長(マ リ ア)と同じ様に、各署員に的確な指示を与えていたのです。

 

けれど・・・そこには、本来ジョカリーヌがしている事を、やらなければならない―――「署長」の姿は、なかったのです。

 

これはどう云う事なのか・・・と、近くにいる署員に訊いてみると―――・・・

 

 

 

署A:―――あ? 署長? いるよ・・・署長室に。

署B:でも、ありゃあ〜〜今日一日使いモンにならねぇなw

 

蓮:どうして―――で、ござる・・・

 

署B:いやな―――ここだけの話しだけなんだけどな・・・

   なんでも、ヘレンに捕まっちまって、無理矢理付き合わされたんだとw

署C:でも・・・署長、酒が弱い方でもないのにな―――・・・

署D:ま・・・ヘレンさんは、酒が入ると絡みますからね、自分も過去に・・・

署A:そうそう―――お前は、一週間役に立たなくなったからなぁ〜ww

署D:放っといて下さい・・・

 

 

 

なんとも、ヘレン再起不能の原因とは、マリアとの、夜を徹しての祝杯にあった―――

しかもまだ聞けば、誘ったのはヘレンの方であり、ヘレン自身は、見ての通りの(てい)たらく・・・

 

しかしマリアは、宿酔(ふつかよ)いにも拘らず出勤し―――たまでは良かったのですが、署員の一人が云っていたように、今日丸一日、使える(ざま)ではなく、

それを、偶然署を訪れたジョカリーヌが視認してしまい、理解をした上で、署長(マ リ ア)の代理を務めている・・・と云うのが、事の顛末のようです。

 

―――と、云うわけで・・・署長の陣中見舞いに訪れたリリア達は・・・

 

 

 

リ:おっ邪魔するぜ〜〜

 

マ:あ〜〜あなたた・・・あぃててて・・・昔はこうじゃなかったのになぁ〜・・・

  年齢(と し)を重ねると辛いわ・・・

 

イ:中々大変そうですね。

市:心中、お察し申し上げます。

 

マ:ああ・・・あの人(ヘ レ ン)の事なら、悪く云わないで・・・。

  昨晩も、気の良い仲間が見つかって・・・それで・・・

蓮:(たが)が外れた―――と・・・しかし、そなたは自分を律せねば。

 

マ:判ってます・・・それ、先程フロンティアの理事の方にも云われ・・・いちちち・・・

 

 

 

アルコールの、摂取多過によって、弱り果てた姿を晒しながらも、なんとか務めを果たそうとするマリアでしたが、

「昔」ほど耐性は衰えてきていると見え、中々自分の意思通りにはならない、歯痒い思いに、

人の上に立って管理をする側も、意外に大変なのだ・・・と、リリアは理解しました。

が・・・如何(い か ん)せん、署長本人ではないと、認める・・・或いは、決める事の出来ないモノも少なくない為、

今、その事を求めてなのか、この署で、署長の次に偉い・・・

 

 

 

副:失礼―――致します・・・。

  いかがですか、お加減の方は。

マ:ああ・・・クラウドマン―――

  この人は、私の次に・・・いちちち・・・決定権を持っている「副署長」です。

 

ク:(ふる)い馴染みに―――付き合うのは悪い・・・とまでは云いませんが、少しは自分の立場を考えて頂かないと・・・。

マ:それ〜〜今回何回云われたか・・・反省してます。

  見ての通り、私はこの(ざま)ですので・・・代わりに―――

 

ク:それは、承知いたしました。

  ですが―――・・・

マ:―――判ってます、到着までのリミットとは・・・

 

ク:13時間きっかりです。

マ:そう・・・判ったわ。

  それまで何とかするから・・・

 

 

 

13分署の副署長、ヨヴ=ベクター=マクドガル・・・別の呼び名を「クラウドマン」―――

見ての通り、署長の行き過ぎを諌める役ではあったのですが、どうも、彼とマリアとの会話の一部が、彼らのみに通用する内容だったので、

その事を疑問に感じたリリアが、訊いてみた処・・・

 

 

 

ク:なんですか―――この惑星の事を、何も知らずに・・・

  全く、あの人ときたら・・・それに、あなた方の引率者も、怠慢ですねぇ。

リ:なんだってぇ??

 

ク:だってそうでしょう―――この惑星の真実も知らずに、あなた方はのんびりと出来ていると云うのですから・・・。

 

 

 

第百二十一話;この惑星の真実

 

 

 

マリアや、ジョカリーヌを批判する言葉に、ついリリアは感情的になってくるのですが・・・

直後に、この副署長から、(なか)ば観光気分で滞在しているリリア達が、「平和的」だと揶揄したのです。

 

それにしても・・・この惑星の真実とは―――・・・

 

その謎を解明する鍵の一つが、これから13時間後に迫っている、この惑星に到着する「何か」だと云うのです。

 

すると、副署長からは、意外な答えが・・・

 

 

 

イ:あの・・・それより、先程のマリアさんとの会話の(なか)に、「13時間」・・・と―――

  あと「13時間」経ったら、何があると云うのですか

 

ク:ほう―――良い質問ですね、そこに気が付きましたか・・・。

  ふむ・・・まあいいでしょう、その質問に関しては、お答えして差し上げます。

  その時間になると・・・宙外(そ と)から、艦が来るのです。

 

リ:何かの「荷物」・・・と、云うことか?

 

ク:内容については、お答えする義務はありません―――それにまた、あなた方が知った処で、どうにでもなるわけでもありません。

 

リ:―――んだとお? ナニ格好つけてやがんだ、バカヤロウ!

蓮:つまり・・・「ワケあり」―――と、こう申されるわけでござるな。

 

ク:(・・・。)まあ、ごゆっくり―――私は、「13時間後」に備えなければなりませんので・・・。

 

 

 

リリア達を代表して、イリスが「13時間後」に、何があるのかを訊いてみました。

するとクラウドマンからは、その時間になると、「何か」を積んだ、「艦」が来る―――と、だけ・・・

その事をリリアは、この惑星で流通させる物資を―――と、思ったのですが、なぜかクラウドマンは、「内容(な か み)」については、言及しませんでした。

 

その態度を見た蓮也は、「曰くつき」の荷物ではないか・・・と、感じ―――するとクラウドマンは、厳しくも鋭い眼差しを蓮也に投げましたが、すぐに鼻で笑う様にあしらい、

自分は「13時間後」に向けての準備に取り掛かる為、そこからリリア達とは別行動をとったのです。

 

それにしても・・・気にすれば、するだけ気になってくる―――「13時間後」に来る、艦の「荷」・・・

 

そこでリリアは思い切って、何がこの惑星に運ばれてくるのかを知ろうと思い、一路、宇宙港に足を運んでみたのです。

 

 

するとそこでは・・・

これから、ジョカリーヌ並みの「VIP」が来るのか、「厳戒態勢」が敷かれていたのです。

 

これはどうした事なのか・・・と、近くにいた警備の人間に(たず)ねようとした処・・・

 

 

 

リ:なあなあ、ちょっと、あんた―――

S:なんだお前は・・・あっちへ行ってろ!

 

リ:そう、つれない事云わずにさぁ〜〜

  なあ―――これから誰が来るんだ?

S:(うるさい奴が・・・)護送船だ―――

 

イ:「護送」・・・と、云う事は、つまり―――「囚人」が、こちらに向かっていると云う事なんですか?!

S:(ち・・・)ああ、その通りだよ、何しろここは元々―――・・・

 

 

 

ふとしたことから、この惑星の真実を告げられたリリア達。

そう・・・今の、警備の人間の一人が、云っていた事に嘘偽りがなければ、この惑星は・・・

 

惑星全体が、「監獄」の惑星―――

 

ならば、先程の、副署長・クラウドマンの、思わせぶりな発言は・・・

それに、この宇宙港の、厳戒態勢は・・・

 

総ての「謎」の符号が一致した時、護送船到着のアナウンスが、流れてきたのです。

 

 

ですが・・・今、リリア達が知り得たのは、この惑星の真実の―――ほんの、「氷山の一角」のみ・・・

オンドゥが、「監獄惑星」であると云う事は、周辺宙域にしてみれば、(ごく)常識的な事なのです。

 

けれど、その「真実」すらも、更に凌駕する「真実」を目の当たりにした時・・・

この惑星を、真に統べる者の素顔が、明らかにされてくるのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと