広大なる宇宙―――・・・
そこには、星の数だけ悪意を秘めた組織が存在していました・・・。
そしてここ、惑星・チオタに本拠を置く「マンティコア」も、その内の一つ・・・
―――だった・・・の、ですが・・・
そう、「過去形」を使わなければならない事態が、既に起こってしまった後だったのです。
しかも―――たった「二人」の手によって・・・
誰:「噂」―――とは、恐ろしいモノだ・・・
私達は、お前達の噂を聞きつけ、態々足を運んでやったと云うのに・・・
誰:そ~いつは、ちょいと酷ってなもんじゃないのかねぇ―――
けど、ま・・・そいつは云えてるかもねw
その二人は、この犯罪組織「マンティコア」の風評を聞き及び、自らの退屈を紛らわせてくれるものだ・・・と、そう思い、
喜び逸ってチオタまで来たモノでした―――が・・・状況を開始して、モノの3分もかからない内に制圧―――
その事に、「二人」の内の一人は、苛立ちを募らせていたのです。
そこを、「もう一人」・・・青白く醒めた肌を持ち、特徴のある髪型をした美女は、真紅の鎧を纏った戦士・騎士の格好をした美女に、
苦笑をしながらも宥め透かせていたのです。
しかし、そう―――この「二」の存在とは、ご存じのように・・・
エ:そ~れで、これからどうしようかねぇ―――お前サマ♪
ヱ:気の向くまま―――と、云った処かしらね。
また好い物件が見つかるわよ。
エ:だと好いんだけどね~~。
あ、そう云えば―――・・・
ヱ:なによ、どうしたの・・・
「ヴァンパイア」のエルムに、「ハイランダー」のヱリヤ・・・
その二人が、宙外での活動を、再開し始めたのです。
それに・・「再開」とは―――つまり、彼女達は、現在より1400~1300年程前に、やはり同じように宙外で活動していた時期があり、
そして今回、地球の「対宙外折衝」を皮切りに、再び開始させたのです。
(このお話しで、リリア達のお手伝いをしていた件は、また自分達が、再び宙外での活動を再開させる為の「準備期間」・・・或いは、「待機期間」と考えた方が妥当のようではある。)
それにしても・・・どうして、今回のお話しを、こうした展開でしなければならなかったのかと云うと―――・・・
第百二十五話;噂の存在
場面は一転して、オンドゥの状況は―――
ジョカリーヌを人質・・・「生きた盾」にされ、自分達も、まさに人質の一人に加えられようかとしていた時・・・
不敵な笑いが―――・・・
グ:クックックッ―――このオレを、生かしたまま・・・と、云うのは、案外リスクが高かったようだな・・・
ジ:フッ・・・フフフ―――・・・
こんな言葉で返すのは、些か心苦しいモノがあるけれど・・・
まさかこの程度で、この私の自由を奪ったつもりでいるのかな。
グ:な―――なんだと?!!
ジ:自分の浅慮さ・・・篤と思い知るがいい―――!
『限定区域の属性変動』―――『確定領域の空間遮断』―――『位相空間の歪曲包護』―――『高位示現の顕現発動』・・・
――=肆寶圏=――
グ:う・・・ぐぅお?! し―――しまっ・・・!!
背後ろで羽交い絞めにされた程度で、自分の自由を奪えないとしたジョカリーヌは、
以前発現したよりかは規模は小さいながらも、確実に相手を無力化させる「能力限定」を発動させたのです。
そして、これによって、またもやグワゴゼウスは捕えられ・・・
しかも、ジョカリーヌに狼藉を働いた事実は拭いされるモノではなく、
彼はまた、自らの手によって、自らの罪業を増やしてしまったに過ぎなくなってしまったのです。
それに・・・こうなってしまっては、現在ジョカリーヌとその仲間達に銃口を向けている象となっている、「宇宙港の警備員」達は・・・
(無論ではあるが、彼らもまた「オンドゥの住人」であることには、変わりはない・・・)
ク:ふぅむ・・・ヤレヤレ―――折角の機会だったと云うのに、自ら潰してしまいましたなぁ・・・仕方のない。
S:副署長、それより―――
ク:ふむ・・・マリアからは、なんと云ってきている。
S:「例の条件ならば呑む、その代わり、お客人を解放せよ」・・・と。
ク:遅かったか―――それにしても、案外実力不足でしたな、グワゴゼウス・・・
うちのマリアも、君の事は一定の評価をしていたと云うのに・・・今の体たらくを見たら、さぞかしガッカリするでしょうなぁ。
リ:なぁにをお前・・・さっきからワケの判らん事を云ってんだぁ?
ク:ならば、一つだけ・・・お教えしておきましょう―――
私達が望んだ条件、半分までは受理されていたのですよ。
そう・・・「獄長」と「刑期百万年の囚人」―――その「公開」を、ね・・・。
やはり、副署長は知っていた―――あの「二の存在」が、「誰」と「誰」なのかを・・・
それだけの云い含みが、彼の弁の内にはありました。
そして、署長のマリアは、彼らからの要求を呑み、「獄長」と「刑期百万年の囚人」と云う、宇宙史上稀に見る超重犯罪者二人を伴って、この場所に現れると云うのです。
しかし、それでもまだ「奇妙」―――・・・
ならばなぜ、こんなにも回りくどいのか・・・
その理由を、市子はクラウドマンに訊ねました。
すると―――・・・
ク:おや、以前云いませんでしたか。
私は、「見た事がない」・・・故に、「知り様がない」のです。
ですが、最初に私がマリアに捕えられた時、私よりも前に、この「二の存在」は、オンドゥにて収監されている事実が明らかとされているのです。
そう・・・マリア自身からの、「口伝」によって―――ね。
そこで私は、実際にこの目で見てみたいモノだ・・・と、云ってみたのですが―――
その時のマリアからは、「その必要はない」・・・と、だけ。
イ:では・・・それでは―――
ク:さあ? 憶測でモノを云うのは、愚者のする事ですよ。
だからこそ私は、マリアに関わる経歴と、この「二の存在」に纏わる、あらゆる情報をかき集め・・・そこで一つの推論に辿り着く事が出来たのです。
その事は恐らく―――そちらにいる、フロンティア理事の方も、同様の情報は得ているはず・・・違いますか。
ジ:―――・・・。
リ:ジョカリーヌ・・・さん―――
ク:フ・・・なにより、その「沈黙」こそが、明確なる事実を物語っているようだ―――
おっ・・・と、その前に―――どうやら、ご本人のお出ましの様だ・・・。
その詳細まで明らかにされていないまでも、囚人兼この惑星の住人第一号になったクラウドマンより以前に、この惑星に収監されていると云う、二人の重犯罪人・・・
それに、クラウドマンからも、マリアに・・・その二人に会わせて欲しいとの要望は出されていたのですが、
その要望は、叶う事のないまま―――1300年以上もの歳月が流れたのです。
そしてクラウドマンも、ただマリアからの許可が下りるまで、何もしなかった―――と、云うのではなく、
マリアがなぜ、「署長」として、この惑星に「左遷」されてきたのかの経緯と・・・
それと同時期に流出しているようになっている、あの「二の存在」の「噂」・・・
それについての「検証」と「分析」「推理」をしてみたのです。
そこで大事なのが、奇しくも―――同じ時期に流れるようになった、「二つの情報」・・・
しかしながら、物的証拠としては、なにもなかったので、ある「乱暴」とも云える「仮説」を、そこで立ててみる事にしたのです。
それに、丁度好い機会とばかりに、フロンティアの理事も来た事もあるし、ここは一つ芝居などを打ってみて、自らの疑問を晴らそうとした処・・・
当初、マリアは・・・渋っていたモノでしたが、人質の命には代えられないモノと思い、今まで反故にしてきたあること・・・
「獄長」と「刑期百万年の囚人」と云う、前代未聞の重犯罪者二人を伴って、こちらの現場まで向かう事にしたのです。
そして―――・・・
リ:あっ―――マリア・・・って、あれ??
あの人、一人しかいないじゃない―――・・・
まさしく、奇妙そのモノと云ったのは、その時の状況だと云えた事でしょう・・・
確かにマリアは、部下との交信に措いて、「獄長」と「刑期百万年の囚人」と云う、前代未聞の重犯罪者二人を伴って、宇宙港まで来る・・・と、云っていたのに―――
なぜかその場には、あろうことか、マリア一人だけ・・・だったのです。
=続く=