その「集団」は、「七人」で構成されていました。
その「集団」が成り立った、そもそもの経緯は、宇宙の物理的な法則を定め、秩序を・・・その根幹を守護する役目を担っていたモノでしたが、
いつしかその意義は失われ、現在では、自らが有する、高度で優秀な能力の数々を、「私利私欲」に求める・・・云わば、堕落してしまった集団になり下がってしまったのです。
その内の一人「クレシダ」は、自らが画策していた「ある計画」・・・
さある「アイドル」のライヴ会場ともなっていた惑星、「ニシュード」に措いてのテロ計画が、未然に防がれてしまったお陰で、少しばかり機嫌を損ねてしまっていたのです。
自らが描いた素敵な計画を・・・人々が畏れ慄き、逃げ惑い、恐怖に表情が引きつる様を、録画して永久保存し、時々気を紛らわせる程度に観賞する・・・
そんな、自分の収集の一つにしようと思っていたのに・・・
それがどうした事か、邪魔者が二人―――・・・
まさか「あの時」に、「あの二人」が、ステージの袖から出て来て、自分の素敵な計画を邪魔するとは・・・
そのお陰で、自分が飼っていた「シンパ」が、この計画の為の大切な連絡事項を失くし、「ニシュード」に措いてのテロ計画は、永久にその機会を逸してしまった・・・
しかしここで、連絡を失敗させてしまった「シンパ」を処罰してしまっては、遠きにも近きにも拘らず、何れ怪しまれてしまうのは必至だろう・・・
けれど、逆にここで温情を与えておけば、自分は一層崇拝され、格の方も上がってくるに違いない・・・
彼の者は「魔女」・・・「七人」いると云う「魔女」―――
その内の一人「クレシダ」は、紛れもなく「七人の魔女」の一員でもあるのです。
第百七十六話:七人の魔女
処変わってクーレでは―――
ニシュードで、アイドルプリンの警護に当たっていたマリアが、何かの偶然で手に入れたメモ・・・
当初は、アイドルに向けられて発信された、フアンからの熱烈なメッセージだと思われていたモノが、意外にも、テロ計画を促進させるような内容だったことが判明し、
現在その事について、物議が醸されようとしていたのでした。
ミ:皆、良く集まってくれましたわね。
実は、前のニシュードの件に関してのことなのだけれど、意外な事実が判明したの。
その事については―――ジゼル・・・
ジ:―――はい、以前、マリアが獲得したメモ・・・なのですが、解析してみた処、以下の内容が判明しました。
マ:その内容―――って?
ジ:―――「履行せよ」・・・
ミ:フ・・・フ・フ・フ―――嘗められたモノよね・・・
有名人が開催するイベントのあった場所で、まるで後を追う様に、目立つ騒動を起こし続ける・・・
それによって、警察機構の眼が向けられるのを、知らないはずはないのに・・・
マ:でも・・・いまのUPに、それほどの影響力は・・・
ミ:そうであった・・・と、してもよ、マリア―――
一応は、あの連中も目を向けざるを得ない・・・だからこそ、企てた輩は、一時的に活動を休止する手を打ってきた・・・
そして、ほとぼりが冷めると、また活動を再開させ―――それが今回は、私達にお鉢が回ってきたお陰で、「そいつ」の企みは、思惑のまま終わってしまった・・・
おそらく「そいつ」は、私達「ディーヴァ」も、UPの連中と同じく、取るに足らない存在だろうと思っていたでしょう。
だからこそ、こんなモノを発信できた・・・けれど、今回の一件によって、思うべき処となったのではないでしょうか・・・。
メ:では・・・ミリヤ様は、彼の者が、我々を「敵」とみなした―――と・・・?
ミ:ええ・・・まあ、「敵」には違いないでしょうが―――
マ:「対等」―――ではないと・・・?
ミ:そうね・・・幾らか注意すべき点はあるかもしれないけれど、それでもまだ、「そいつ」自身にしてみれば、「格下」と捉えているのではないでしょうか。
ヘ:ヘッ―――じゃあ、そう思っている間に、そいつの横っ面に、きついのをお見舞いしてやるわ!
マ:ヘレン・・・鼻息を荒くするのは結構だけど―――相手の正体、判って云っているのよねぇ?
ヘ:いいや、判らん!
取り敢えず、怪しいヤツを片っ端から捕まえて・・・
マ:(あたたた・・・)ミリヤ様ぁ―――・・・
ミ:ヘレンの云い分、判らないではないけれど、今は慎重に・・・
あまり目立ち過ぎて、相手の警戒を強めてしまっては、本末転倒と云うモノだわ。
その「メモ」が齎した影響は、少なくはありませんでした。
それと云うのも、ジゼルが「メモ」を解析した結果、実に挑発めいた意味が読み取れた・・・
アイドルを擁する事務所の関係者から、自分達に依頼した事など判ったのだろうに・・・
それなのに、敢えて「履行せよ」とは・・・
しかしこれを、ミリヤは相手からの「挑戦」と受け取り、相手を刺激しないまでも、出方を窺う―――と云う、慎重的な方針を取ったのです。
そうした内・・・今回の危急から護ってくれたお礼に―――と、なんと、アイドル自身がミリヤの下を訪れ・・・
プ:あの・・・こ、この度は、助けて頂いてありがとうございました!
ミ:いえ、いいのですよ・・・それにしても、どうして私に―――?
プ:マネージャさんから聞いたんです! 私のステージを邪魔しようとする悪い奴らから、私を護るために・・・その為の「プロ」に依頼したのだと!
ミ:(・・・。)
それは嬉しいお言葉―――けれど、あなたのステージを邪魔してしまったのは、どちらかと云えば・・・
その幼顔のアイドルは、今現在、自分が会ってお礼を述べている人物が、何者であるのかを、知っているかのようでした。
それも、地方の―――どこにでもいる様な富豪の一人・・・ではなく、
自分の危急を救ってくれた、「その為のプロ」の一員として・・・
その事を、ミリヤは少しばかり妙に思うのでした。
それもそのはず、自分は・・・いや、自分「達」は、そちらの肩書きで世間には知られてはいない―――
だからこそ、毎日が平穏無事に過ごせられていたわけなのですが・・・
それを、何も知らなそうな、「アイドル」「タレント」如きが、その事を口にするなんて・・・
しかし、自分達の事が知られた経緯を、アイドルをマネジメントしている人物から教えられたのだと聞き、
ミリヤの警戒も、気持ち程度低くなるのでしたが・・・
「アイドル」が帰った後ミリヤは、彼女のマネージャの言葉を思い返しているのでした。
「呉々もご内密に―――私が、あなた方に依頼をした事は、秘匿と云う事で・・・」
けれど現実は、自分がマネジメントしているアイドルにはその事を話し、アイドル自身がその事に関してのお礼を述べに来た・・・
そこの処が気になったミリヤは、自分に依頼をしに来たマネージャに、問い合わせてみようとした処―――・・・
事:「ああ―――その人物でしたら、昨日を以て、別の部署に異動となっていますね・・・」
ミ:そうでしたか・・・では、どこの部署に異動されたのか、ご存知でいらっしゃいませんでしょうか。
事:「ああ・・・その件でしたら、人事課に問い合わせてください。」
「営業課では判り兼ねますので・・・」
「なんでしたら、回線―――このままそちらの部署に回しましょうか?」
ミ:いえ、そこまでされなくても・・・。
判りました、ではまた日を改めたいと思いますので・・・失礼致します―――
今や、そのマネージャは、売れっ子アイドルの担当から外され、現在では違う部署に左遷されていると云う・・・
しかもそれも、そうした人事担当の部署でないと判らないとはしながらも、ミリヤには「ある事」が判っていました。
こうした時期に、急激なる人事の刷新―――
その事の意味するモノとは、その対象の人物が、何かしらのミステイクをやらかした―――・・・
しかし、今回の場合は、その事務所の秘蔵っ子を死守し、その事が達成されているわけだから、寧ろ誉め讃えられて然るべきなのに・・・
なのに・・・この仕打ちは、まるで「懲罰」そのもの―――
それに、その事が原因なのだとしたら、互いの顔が見えない通信でのやり取りでは、真実は見えてこない―――
ミリヤは、その事が判っていた為、交信を断つと、ある事の調査の為、「ディーヴァ」を動かせるのでした。
=続く=