とある場所にて―――・・・

自身の「主」らしき人物と面会し、情報の交換をしていた人物、クラウドマンがいました。

 

そこで、彼らが話し合っていたのは、これから・・・「何かしらの意志」が、「何かしらの意思」を持って、蠢き始めようとしている・・・と、云う事でした。

 

しかし、これには明確な証拠はなく、ただそうした「漠然性」によるモノでしかなかったわけなのですが、

どうやら、心当たりがない・・・と、云うわけでもないらしく、当面はその動静を見守る(かたち)で、この件は見送られる事になったのです。

 

そんな中で―――話題の一つに取り上げられたのが、クラウドマンとマリアの関係・・・

クラウドマンの「主」も、素見(ひ や)かしているわけではありませんでしたが、

彼が戻るのを待っている女性の事を云うと、クラウドマン自身は実に素っ気ない態度をするものだから、つい揶揄(か ら か)ってみたくなったのです。

 

しかし、クラウドマンも然る者・・・先手を打たれっぱなし―――と、云うワケではなく・・・

 

 

 

ク:それより・・・あなた様自身の方は、どうなのです―――?

謎:「うん? なんのことだい・・・」

 

ク:あなた様の方こそ、お惚けになっているのではありませんか―――

  地球にいる、「あの娘」のことですよ。

  もう・・・会われないので?

謎:「―――あっははは! 参ったなぁ・・・こいつは一本取られたみたいだ。」

  「いや・・・本当の事を云うとね、今すぐにでも会いに行きたいんだけど・・・そうそう、ここを離れるわけにはいかないだろう?」

 

ク:ご尤も―――少しは責任を感じて頂いているようで、なによりです。

 

 

 

クラウドマンが示唆した内容に、早くも白旗を揚げてしまう、彼の「主」・・・

しかし―――その人物が、よもや地球に来ていた事があったとは・・・

それに、彼自身が、常時いなければならない場所を、離れていたとは・・・

 

 

処変わって―――ある時期に、意外なる人物の「地球来訪」を知った、地球の「東の評議員」は・・・

 

 

 

ユ:(まさか・・・あの人物が、地球に来ようとは―――)

  盟主様に、お目通りを願います・・・。

 

 

 

「東の評議員」であるユリアの現在の居場所は―――彼女自身の盟主である、ガラティアの旗艦・・・「ゼニス」なのでした。

 

それにユリアは、盟主であるガラティアに相談をする為に、一時的にこの艦を訪れていたのです。

 

 

 

ガ:よく来てくれた―――なんて、気の利いた事は云わないでおこう・・・

  どうやら、厄介事を持ち込んできたみたいだからね。

ユ:こんな表情をしていれば・・・盟主でなくとも判ってしまいますね―――

  実は・・・「天帝」がお(くだ)りになられました。

 

ガ:あの「小僧」か―――・・・

  全く、「いない」事が周囲(ま わ)りにバレなかったからいい様なモノの・・・それに、それだけじゃないんだろ―――

 

 

 

やはり―――ユリアが地球にて、「そう」だと認識していた存在こそは、「天帝」自身でした。

しかし、ガラティアは、その人物の性格をよく把握していたようで、少しばかりの悪態を()いたのです。

 

つまりは、お互いが―――・・・

ガラティアも、天帝も、お互いの事を、良くも悪くも知り尽くしていたのです。

 

しかし問題はそこではなく、なんの目的をして、天帝は地球を(おと)なったのだろうか・・・

その一つの理由を、ユリア自身が感じていたある事柄―――

「もしかすると、天帝は・・・地球にいる、ある特定の女性に、目を掛けたのではないか・・・」

ところが、ガラティアは、意外な言葉を発するのでした。

 

 

 

ガ:いや・・・そうとばかりは限らないだろう―――

  では、なぜそんな事が云えるのか・・・あの「小僧」自身、迷っているのさ―――

  なぜなら、あの「小僧」が所有する「ユビキタス」には、「強制執行」の権限もついている・・・

  だけど、そうしなかったと云う事は、強制的に自分のモノにしてしまった処で、対象に興味が持てなくなってしまうかもしれない・・・と、云う事なのさ。

 

ユ:では・・・彼は、リリアさんの心変わりを―――

 

ガ:色んな手を使ってくるだろうねぇ〜w

  だけど、あの娘の想いは、一途なんだけどね♪

 

 

 

そう・・・対象者の好意を自分に向けることなど、天帝が有する顕現にしてみれば、実に容易い事でした。

けれど、そうした事によって、自分の興味が、対象者から離れてしまうかもしれない―――

ならば、自分から詰め寄るのではなく、対象者の内側から変えて行くべき・・・

また、そうした方が、自分の退屈凌ぎになるのではないだろうか―――

 

・・・と、ガラティアは、現在の天帝の心境を語ったのでした。

 

 

そして―――これで、ユリアの報告は、終わるモノかと思いきや・・・

 

 

 

ユ:そう・・・ですね―――・・・

ガ:(・・・。)

  ―――まだ、なんかあんのかい。

 

 

 

第百七十九話;懐古

 

 

 

ユリアにしてみれば、実に勿体ぶったような態度に、ガラティアは、不機嫌そうな音質(ト ー ン)に変わりました。

 

確かに―――ユリアが、天帝の事を報告する「だけ」なら、なにも「ゼニスまで来る」と云う行動からして、実にユリアらしからぬ処があったのですが・・・

もし・・・「その事」以上に、秘匿すべき事柄があった場合には・・・?

 

それも、いつもならば、秘密の回線を通じて、報告をすればいい―――けれど・・・

そうした事でも、いくら秘密にしようとも、覗き見たい(やから)は見てしまう・・・

ならば―――直接対面にて、報告をすればいい・・・

 

それに、これからユリアが報告するモノは、ユリア自身すら口にする事を(はばか)られた、「ある事実」―――

そうした事実を前に、ユリアの口調も重たくなってしまったのも、自然な成り行きだったのです。

 

それでは・・・ここ最近で、ユリアが知り得た「ある事実」―――とは・・・

 

 

 

ユ:・・・はい―――どうやら、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の一人、「クレシダ」が、活動の方を・・・

ガ:(・・・。)

  ―――フッ・・・「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」か・・・随分と又、懐かしい響きだ。

  でも、()()私にゃ、関わりはない・・・そうだろう。

 

 

 

「わたくしは・・・無力だ・・・」

「わたくしは、「こう」なる事が判っていながらも、そうするしかなかった・・・」

「この方は、必ずや、「そう」云うに違いない―――」

「現在の自分には、関係ない―――と、仰るに違いない・・・」

「けれどわたくしは、その事実を報告せずにはおれなかった。」

「そしてまた、この方は・・・「関係ない」と云ったその言葉の裏で、宇宙の秩序を護るため、尽力するに違いない・・・」

 

ユリアは、今回ほど、自分の無力さを痛感した事はありませんでした。

 

以前の存在―――ヱニグマだった頃の、リヴァイアサンに匹敵する、現在の自分のアーティファクト「ツアラツストラ」・・・

それを(もっ)てしても、今回の事に関しては、無力と云わざるを得なかったのです。

 

それが、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」―――・・・

 

それに、彼女達の会話には、ある「既成事実」が隠されていたのです。

そう・・・ガラティアは、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の事を知っており、けれども、「現在の自分」には、関わりないとしていた―――・・・

とどのつまり、ガラティア自身・・・過去に何らかの(かたち)で、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」と関わりは「あった」らしいのです。

 

それに、ユリアの口調が重たくなった背景には、ユリアも、「その事実」を知っていた―――・・・

と、云う事は、現在の自分の盟主に関わる事柄であるならば、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」を構成する存在は、全員・・・

盟主と同等の実力を、持っているとみなさなければならない・・・。

 

だから、「自分の無力さを痛感」したわけであり、現在の「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」に、たった一人で立ち向かおうとする、ガラティアの背を見守っていたのです。

 

 

処変わって―――クーレのミリヤ邸では・・・

 

 

 

プ:わっはぁ〜♪ すご〜い―――凄いですぅ〜!

  こんな可愛い衣装を、幾つもお持ちなのですね〜!♪

ミ:ウフフ―――ありがとう・・・。

  気に入りましたら、あなたに差し上げても、宜しくてよ。

 

プ:わああ〜・・・本当ですか?! ヤタ〜!次のステージの衣装、どんなのにしようかと迷っていたところなんですよ〜

  あ・・・なんでしたら、ミリヤさんも、次の私のステージ―――見に来てくれませんか?

 

 

 

自分の危うい処を、ある組織の者達に救われた―――その後日、その組織を指揮している人物を知り得た、アイドル・プリンは、

感謝のお礼をする為、ある人物の(もと)を再び訪れていました。

 

その事を、自分のスポンサーになって貰いたいモノだと、そう理解していたミリヤは、気前良く応じていたモノでしたが―――・・・

(そうした背景には、プリンの思考が「そう云う事」だと判っていたから。)

 

そうした、彼女達の行動は、絶えず何者かに見張られていた・・・

そう思わざるを得ない災厄が、これからミリヤの身に振りかかろうとしていたのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと