今回、全く持って予期していなかった災いが降りかかり、リリアは動揺・・・狼狽するしかありませんでした。

それもこれも、リリアのこれまでの生涯で、このような事態になった事など、ありはしなかったのですから・・・。

 

それこそは、まさしく「驚天動地」―――戦争でも起きない限り、建物が崩壊したり・・・

()してや、地面が割れたりする事などは、これまでにも一度たりともなかった事なのですから。

 

それ故に・・・初めての事なのだからか、対処の仕様がなく―――

これからどうしたらいいのかを、「大皇(おおきみ)」であるジョカリーヌに(たず)ねる為、パライソ国のシャクラディア城を訪れた処・・・

そこでリリアは、驚愕の事実を知ってしまう事になったのです。

 

 

第百八十五話;地球(ほ  し)の真実

 

 

今回、自分の国で起こった事態を報告する為、シャクラディア城を、サヤと共に訪れたリリアは、

そこで思いも寄らない反応をするジョカリーヌに対し、疑義(ぎ ぎ)の眼差しを向けてしまうのでした・・・。

 

 

 

リ:あの・・・ジョカリーヌさん、実は―――・・・

ジ:えっ?? それは本当に? 大変だったね・・・

 

 

 

自分の国の都と城が、戦争でもないのに突如崩壊し、リリア自身の知りあいも多く負傷してしまった事を、ジョカリーヌに話してみたのですが・・・

その言葉だけでは、確かに、被災してしまった者達への同情の念が、見て取れるのでしたが、

そう云ったモノとは、また裏腹な表情を、ジョカリーヌに感じてしまったリリアは・・・

 

 

 

リ:(・・・?)

  ちょっと・・・? ジョカリーヌさん―――・・・なんで・・・そんなに嬉しそうなんだ?

ジ:えっ? そう見えてしまう? 困ったなぁ・・・

  でも、嬉しい事なんだもの、仕方がないよね―――

 

 

 

信じれない言葉・・・

自分の国が―――住民達が―――被害に遭ったと云うのに・・・

なぜ―――実際にも、慈悲深いこの人物が、こんな不幸な出来事を聞いて、こんなにも嬉しそうになれるのか・・・

だからこそリリアは―――

 

 

 

リ:ふざけんなよ!

  なんで・・・多くの人が、死んだり―――大怪我負ったりしてるって云うのに、そんな表情して「仕方がない」って云えるんだ!!

ジ:ああ・・・ゴメン・・・

  そうだよね・・・これは不謹慎だった、反省するよ―――

  でもね・・・

 

 

 

リリアから激しく注意を受けたジョカリーヌは、反省の色こそは見せはしましたが―――

次の・・・ジョカリーヌからの言葉を聞いたリリアは、思わず・・・反射的に手を出していました。

 

それと云うのも―――・・・

 

 

 

ジ:でもね・・・君の地域で起きてくれて、本当に良かったよ―――

  お陰で、ある事が確認できたわけだしね。

 

 

 

なぜ・・・そんな事が云えるのか―――

リリアには、不思議でなりませんでした。

 

それに、ジョカリーヌほどの人物でも、他人の不幸を悦べたものかと思うと、急に腹立たしくなり―――

次の瞬間には―――・・・

 

 

 

ジ:痛っ―――

 

リ:・・・ん、だとぉ〜〜―――

  もう一度云ってみろ! 「良かった」だったなんて、あんたも所詮、そんな人間だったのか!!

 

 

 

本当は・・・災害に遭った人達に、慰問の言葉を掛けて貰いたかった・・・

そして、復興のための手立てを教えて貰いたい―――

その為に、シャクラディア城を訪れた筈・・・なのに―――・・・

 

自分の国が、不幸な目に遭ったのを、こんなにも喜ばれては・・・

それに、今までは、尊敬・敬愛に値する人物だとも思ってもいたのに・・・

だからか、一発だけでは腹の虫が収まり切れず、もう一発―――と、した処・・・

振り上げた手は、誰かによって掴まれていたのでした。

 

 

 

ミ:その辺にしておけ―――

 

リ:ミトラ!

  ・・・あんたも、こいつの肩を持とうって云うのか。

 

ミ:それで気が済んだか―――

 

リ:な・・・っ!

  済むわけねぇだろ! こいつは―――・・・

 

ミ:先程から伺わせて頂きましたが、あれでは怒るのも無理はありません。

  それは、もし―――私がリリアと同じ立場だったとしても、同じ事です。

  だから、一発目までは容認致しました。

 

ジ:(・・・。)

  ああ―――判ってる・・・

 

ミ:それに―――またあなたのご不興を買ってしまうかもしれないが・・・

  我々は、こんな日が来るのを、どんなにか待ち望んでいたのだ。

  それが・・・今回は、人口の密集した「都市」で・・・と云うのは、ある種の不幸でもあるかもしれないが・・・

  同時に、「ある事」を知る、いい機会でもあったのだ。

 

リ:あんたまで・・・

  それに―――何の事を云っているんだ・・・

 

ジ:(・・・。)

  その事については、私から直接話そう―――

  それについては、ブリジット・・・判っているね。

 

ミ:ええ・・・心ゆくまで―――

  それと、当面の公務は、キャンセル―――と、云う事でしたな・・・。

 

 

 

得てして、意味不明にして不可解な会話を交わす、ジョカリーヌとミトラ・・・

けれど、これからジョカリーヌが説明をしようとしている事が、何より重要であり、長くなりそうな予感は、リリアでも判ってきました。

 

とは云え・・・今更、一体何の説明を・・・?

しかし、先程とは一変した、ジョカリーヌの表情に・・・

 

 

 

ジ:これから、君に見せたいモノがある。

  ついて来て貰えないか・・・

 

 

 

あの時以来―――・・・

そう・・・自分に、宙外(そ と)から地球の外観を見せた時以来の、真剣な表情・・・

 

それが、先程の不謹慎とも云える表情に、どう繋がって行くのか・・・

 

そこの興味もあったからか、リリアも一応は、大人しく従ってみる事にしたのです。

 

 

ところが・・・その行き先は、「あの時」の様に、「上へ」―――ではなく・・・「地下」へ・・・

 

そこで、更なる驚愕の真実が・・・

それはまた、知りもしなかった「地球の歴史」と云った様な驚きの連続を、目の当たりにしてしまったのです。

 

そう・・・そもそも地球は―――・・・

 

 

 

ジ:着いたよ・・・ついておいで―――

 

 

 

確かにその場所は、「あの時」と同じ様に、暗闇に覆われていました。

しかし、「あの時」と違っていた事は・・・

「あの時」は、目が慣れて行くに従い、宇宙の星々の光―――と、云うモノを目にはしていましたが、

その場所は、「あの時」とは対照的に、暗闇そのもの・・・

なぜならばその場所は、陽の光が届かない、「地下」に存在していたのですから。

 

すると、人工的な光―――「照明」の装置を、ジョカリーヌが操作をしたからか、次第に辺りが見えるまでになり・・・

リリアが、ジョカリーヌがいる方向を向いたときに、目にしたモノとは―――

 

 

 

リ:(・・・!)

  あっ・・・危ない! ジョカリーヌさん!!

 

 

 

ジョカリーヌの背後に迫る、巨大な竜―――

 

けれど・・・しかし・・・

 

しばらくすると、違和を感じ取ったリリアは―――

 

 

 

リ:(・・・って―――)

  ・・・え?? 動かない・・・ってことは―――

 

ジ:そう・・・ここにあるのは、総て「剥製」―――

  それも、「現存している、地球上の、あらゆる生物」の・・・ね。

 

 

 

そう・・・云ってみれば、ここは「博物館」の、様なモノ―――

 

「現存」している、地球上のあらゆる生物―――

「動物」や「植物」「菌類」に至るまでの、あらゆる「生命」を持った、生きとし生ける者達の「標本」・・・

 

しかし、これだけでは、今回の事態と、不謹慎な表情をしたジョカリーヌの説明には、なっていないのです。

 

それよりも・・・寧ろ、これからのジョカリーヌの言葉が、重要なのです。

 

 

 

ジ:さて―――・・・ここで一つ、君に質問をしてみよう。

  君は、この地球(ほ し)の、(ふる)い歴史の事を、聞いた事があるよね・・・。

 

リ:ああ・・・確か―――ジョカリーヌさんや、ユリアさんも云っていた・・・「100万年前」??

 

ジ:そう―――・・・

  では聞くけれど、当然その時代にも、生物は存在していたけれど、その生物は、現在の「それ」と、同じなのだろうか。

 

リ:(??)ん〜〜??? 要領を得ないな―――・・・

  でも・・・同じ一つの天体なんだから、「同じ」・・・じゃないのか?

 

ジ:正解は、「違う」・・・。

  だとしたら、元々地球にいた生物たちは、どこへと行ってしまったんだろう・・・

 

 

 

またしても、要領を得ないジョカリーヌからの問いに、リリアは返答(こ た)えることができませんでした。

 

けれどそれは、「知らなかった」からこそ、返答(こ た)える事が出来なかった・・・

 

だからそこで、ジョカリーヌの方から、こんな質問をした意図を聞かされたのです。

 

それに・・・ジョカリーヌから語られた「真実」も、実はそれまでに、幾度も語られていたことだったのです。

 

「この地球(ほ し)は、現在の様になるまでに、大きな戦争をしてきた」―――

 

その事によって、この地球がどう変わり、今現在の地球の在り方が、どうであるのか・・・

その説明を受けた時、それまでの事情を受け止める事が出来た、リリアの姿があったのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと