ある惑星・・・にて―――
その周辺宙域を治める、政治力にしても、経済力にしても、非常に強い影響力を持つ指導者が、
これからの周辺宙域に措ける展望を語るべくの演説をしていました。
・・・が―――しかし・・・
その最中、突然こめかみから血を噴き出し、壇上に倒れ込む指導者・・・
そして数秒後に、会場周辺に鳴り響く銃声・・・
間もなくして指導者は息絶え、その周辺宙域の星間国家首脳陣は、
この一大事件こそは、「暗殺」による一種のテロ行為だ・・・との、批難の声明を出し、
一刻も早く、犯行に及んだ実行者と、このテロ行為を画策した計画者を捜索するよう、改めてUPに依頼の指示を出したのでした。
ところが・・・この事件から二週間経った現在でも、手掛かりすら掴めず、この事件は、早くも迷宮入りになってしまうか・・・と、思われていたのでした。
処変わって―――・・・
オンドゥでは、いつもながらの喧騒が、繰り広げられていたのでした。
マ:・・・ねえ、クラウドマン―――
ク:(・・・。)なんですか、マリア―――
マ:この前はさぁ・・・ドタキャンしちゃって、本当に悪かったと思っているわ。
だからねぇ―――今日のお昼、一緒にどぉ?
ク:(・・・。)その話しは、この書類の山が片付いてから・・・に、しましょう。
マ:そんな事云ったってぇ〜〜これじゃ、片付く見通しが付かないじゃないのよぉ〜〜
ク:そんな愚痴を云う暇がありましたら、脳と手を動かす事をお勧めいたしますよ・・・
マ:ん・もう〜〜
へ:お〜いっす―――
マ:(余計な時に、余計なのが〜・・・)
ヘ:あ゛? なによ、マリア・・・
私を見るなり、なんなのよ!その目は―――
マ:(「そんな目」にもなるわよ・・・)べぇ〜っつに―――
ヘ:(・・・。)いぃ〜や、絶対その目は、「厭な奴が来た」―――って時の眼だ。
マ:(ウギ・・・痛い処を・・・)止めなさいよっ―――そんな云いがかり!
ヘ:やっぱそうなんだ・・・
まあ?こっちとしても、あんたと伊達に長い付き合いじゃないんだしぃ〜?
けどさぁ〜〜折角美味しい話しを持って来てやったんだけど―――どっしよっかなぁ〜♪
マ:(・・・。)なによ―――「美味しい話し」・・・って。
ヘ:「厭な奴」から教えて貰うのは、厭なんだろww
マ:(〜〜・・・)悪かったわよっ―――
・・・で?なんなのよ―――
ヘ:・・・ま、いいっか―――
実はさ…ちょっと前に、「ノーミ」って処の大統領が暗殺された事件があったでしょ。
マ:・・・ああ、その事件ね―――
なんでも、大統領選の演説の最中に、「狙撃」による暗殺だとか―――・・・
それに、目下の容疑者も、逃走中―――と・・・
ヘ:そこで―――私が「アタリ」を付けてるのが、「ピース・メイカー」なんだ・・・
マ:(!)でも―――
ヘ:忘れたの、「あいつ」は・・・総てがクリーンならば、喩え元々敵対していた奴からでも、依頼を請け負う様な奴なのよ・・・
ク:それで・・・「裏」は取れているのですか。
ヘ:ん〜〜まあ・・・大体は―――・・・
それに、あの事件があった当日、「あいつ」は・・・
いつかの会食を、事前にキャンセルしてしまった事の非礼を詫び、改めて近日中に、約束を取り付けようとしていた・・・までは良かったのですが―――
どうも、山積している仕事を処理している最中に、する話しではなかったようで、
マリア自身、自分の目の前に、すぐにでも雪崩を起こしてしまいそうになっている書類の山に、少々辟易している様子―――
・・・と、そんな処に―――
同じ「ディーヴァ」の一員であり、良き喧嘩仲間とも云える「パールヴァティ」のヘレンが来た事により、少しばかり事情が変わってきたのです。
それにマリアも、辟易している書類整理よりも、魅力的な話しの方に気が向いてしまい、ヘレンの話しに耳を傾けてみた処・・・
彼女が切りだしたのは、ここ最近暗殺された、例の「指導者」―――ノーミと云う惑星の大統領のことで、
彼女なりの調査と勘で、この事件は「ピース・メイカー」の仕業ではないか・・・と、推察したのです。
そこで、この推察の裏付けとなったのが―――・・・
ヘ:来なかったのよ・・・
マ:「来なかった」・・・どこへ?
ヘ:あの事件があった同じ日に、臨時に「集会」があってね―――それに、あいつは来なかったのよ・・・
マ:(呆・・・)あんた・・・それだけで怪しんでちゃ、人権侵害で訴えられるわよ?
ヘ:じゃあ・・・どうしろって云うのよ!
聞けばあの時、腕利きのSPが1ダースで張り付いていたって云うのに、簡単に仕事を済ませた・・・
あいつ意外に考えられないじゃないのよ!!
ク:それは暴論と云うモノでしょう。
それに、これまでのあなたの弁論に耳を傾けていれば、なんですか・・・「ピース・メイカー」と云う人物に、憎悪の念を抱いているかのようだ・・・。
それに万が一、その人物が、今件の容疑者ならば、それでよし・・・ですが―――そうでなかったならば・・・?
余りに、渡るにしては、危険すぎる橋だとは思いませんか。
ヘ:るっさいわね! なによ―――やっぱこの話し、持ってくるんじゃなかったわ!!
修道会の「臨時集会」があった日―――なぜかフランソワは、出席しなかった・・・
とは云え、元々「臨時集会」は、任意性が高く、余り強制力は持っていなかったのです。
そのことを理由に、ヘレンは「そう」ではないかと疑いを掛けた為、マリアとクラウドマンの二人から、云わば「暴論」だと捻じ伏せられてしまったのです。
それに、確かに・・・ヘレンは、フランソワに対して、余りいい印象を抱いていなかったからか、
その時のヘレンの弁を聞けば、ヘレンはフランソワを、貶めようとしているかのようにも聞こえたのです。
それにしても・・・それは・・・本当だったのでしょうか―――・・・
第百八十七話;疑惑への依頼
ある惑星・・・深夜の公園のベンチにて―――
一人淋しく座っているのは、なんと・・・また・・・あの疑惑の美女、ユリアなのでした。
ユ:(・・・来たようですね。)
早速、今回の依頼についてなのですが―――・・・
(―――ん?)フフ・・・ご安心を、今回はわたくしだけです。
フ:(・・・。)話しを続けて頂きましょうか。
そのユリアの背後を取るかのように、近くの木陰で息を顰めていたのは・・・
なんとやはり、こちらも疑惑の美女―――「ピース・メイカー」こと、フランソワ=エヴァ=ベアトリーチェなのでした・・・。
而して、この疑惑の美女同士が、深夜の・・・誰もいない公園で密会―――と、云うのは、
やはりこれまでの、お話しの展開上、最早「あの一点」でしかなかったのです。
ではやはり・・・フランソワは、ヘレンが疑っていたように―――・・・
ユ:今回は、ノーミの大統領です・・・。
ですが実際に、あなたに撃って貰う様な事はありません・・・。
フ:(・・・。)―――続けて・・・
ユ:今回は、「敢えて」汚名を着て頂く事になろうかと思います。
その上で、わたくしは、意図的に、世間に「「ピース・メイカー」の仕事だ」・・・と、云う事を触れ回ります。
確かに・・・そこでユリアは、「ピース・メイカー」であるフランソワに、今回の疑惑となっている、「ノーミの大統領暗殺」の依頼を、打診していました。
しかし―――そこで同時に、ユリアは、今回に限っては、フランソワに直接手を下して貰う事はない事を示唆したのです。
その上で・・・そこではっきりと、ユリアは、「今回の事件は「ピース・メイカー」によるモノだ」・・・と、云う事を、
「意図的に、世間に流す」―――と、打ち明けたのです。
とは云え・・・一見して、背信行為であるかのように見て取れるユリアの行動に、フランソワは―――・・・
フ:(・・・。)今までにないケースだけど、その真意は・・・
ユ:・・・「七人の魔女」―――
フ:・・・なるほど。
つまり、「それ」が狙い―――と、云う事ね。
ユ:はい・・・。
当面は、害を被る事になろうかと思いますが―――・・・
フ:前金が、口座に振り込まれたのを確認次第、依頼に取りかかりましょう・・・
ユリアの不可解な依頼の真相には、やはり「七人の魔女」を燻り出す事にありました。
そこで、手近にあるイベント―――「ノーミの大統領選の演説」を逆手に取り、
これを利用することによって、「七人の魔女」の一人を誘き出す事を計画したのです。
その為にユリアは、以前依頼した事のある、確かな腕の持ち主―――「ピース・メイカー」に協力して貰う事を思い付き、打診をしてみた処・・・
非常に理解が良過ぎた―――・・・
(その事に、ユリアは一種の違和感を覚えたりもするのですが・・・)
しかし、その違和感の正体は、ある出来事を境に、表面化してきたのです。
あれから時間が経ち―――ノーミの大統領が、暗殺された・・・
その直後に、ユリアが例の「噂」を流そうとした処・・・
既にその「噂」は、何者かによって流されていた後だったのです。
=続く=