その惑星の未明に―――(ソラ)からの落下物がありました・・・

 

その直後に、匿名にて・・・「ハイ・ジャック犯が交渉に失敗して、難を逃れる為に、この惑星に落下して来た」との噂が流れ、

(あわ)せるように、UPから、この逃亡者に高額の賞金が()けられた事を、この惑星の住人達が知ると、

(こぞ)って、逃亡者を捕える為、血眼になってその足取りを追ったのです。

 

その(なか)に・・・その業界(み ち)では、「レリック」と呼ばれている暗殺者(プロフェッショナル)の姿もありました・・・。

 

それに、この人物は・・・ここ最近大きな仕事がなく、自分が住んでいるこの惑星に、飛び込んできた思わぬ獲物の噂を聞きつけると、

飛び上がるように喜んだモノでした・・・。

 

 

 

レ:(この惑星に逃亡者・・・?)

  (それにしても皮肉なモノね、つい最近請け負った依頼よりも、高額なんて・・・

  一体何をやらかしたら、こんな懸賞金額になるのやら・・・

  けれど―――まあいい・・・この獲物は、私が貰う・・・!)

 

 

 

実は、この暗殺者(プロフェッショナル)・・・「ここ最近大きな仕事がない」―――と、云うのは、見解の相違であり、

この騒動が起こる少し前に、「ある大事件」に関わっていたのでした。

 

しかしこの暗殺者(プロフェッショナル)は、この「ある大事件」にしても、自身の「大きな仕事」とは思ってはいなかったのです。

 

では、なぜそう思っていたのか・・・

 

それは、金額の大きさ―――

 

自身が(ちょっ)(きん)に請け負った、「大統領暗殺の依頼」料額が、その宙域で流通している金額に換算し、「数千万」と云う値に対し、

この「逃亡者」に()けられた賞金は・・・「兆」―――

 

一体・・・どんなヘマをやらかしたら、こんな天文学的な数値になるのか―――・・・

 

その暗殺者(プロフェッショナル)―――「レリック」は、自身が加わっている、「ある組織」の序列を上げる算段と共に、

(くだん)の「逃亡者(え も の)」を我がモノにすべく、行動を開始するのでした・・・

 

 

それはそうと―――この惑星「ソウミ」に、あらゆる武器を手配できると云う、「闇の商店」に・・・珍客が来店し―――・・・

 

 

 

フ:・・・久しぶりね。

老:(!)・・・なんじゃい、お前さんかい―――

 

 

 

実は、この闇の武器屋―――表向きには「クリーニング屋」を経営しており、()業界(す じ)ではないと、知る者など多くはなかったのですが・・・

そんな老舗に、顔を覗かせてきたのは・・・なんと、あのフランソワなのでした―――

 

 

 

老:どこかのバカが―――ヘマをやらかしやがって、この惑星に逃げ込んだんだとさ。

  それに、そいつを捕まえた暁には―――・・・

フ:「3兆5千億」―――フフ・・・中々奮発したでしょう。

 

老:やっぱりお前さんだったかい―――で、何が目的だね。

 

 

 

すると女は・・・「敢えて云うなら「(むじな)狩り」」―――とだけ云うのでした。

 

そう・・・とどのつまりフランソワは、自分で自分を「賞金首」に仕立て上げ、

自分の「首」に(むらがり)くる者の(なか)から、今回自分が標的としている「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の一人・・・『ジルドア』を、(いぶ)り出す計画でいたのです。

 

その為に、馴染みの老店主が経営している「老舗」に顔を出し、必要としている「モノ」を仕入れていたのです。

 

では・・・今回フランソワが必要としていた「モノ」とは―――・・・

 

一つは、云うまでもなく・・・自分が手にする「武器」―――

そしてもう一つは・・・「()業界(す じ)」の者達でしか知らないこの「老舗」に、自分以外の他の誰かが利用しなかったか―――と、云う「情報」・・・

 

すると、老店主は―――・・・

 

 

 

老:ああ―――お前さんが来る以前に、一人来たよ・・・

  まあワシも、こんな処に「店」を構えるのは、「需要」と「供給」が成り立っていたわけだからなぁ・・・

 

  だが・・・お前さんが、奴さんを「どうにかする」―――ってんなら、ワシもどこかへと移住しなけりゃならんかなぁ・・・

  ヤレヤレ、こちとら、奴さんのお陰で、どうにか喰えてた〜っちゅうのに・・・

 

フ:(・・・。)歳を取り過ぎた様ね、グレヴィール―――

 

老:はぁん?

 

フ:喋り過ぎよ―――

 

 

 

このご老人も、裏の業界にとっぷりと漬かっていたからか、「ピース・メイカー」であるフランソワの事を良く知っており、

事実、フランソワと何度か取引を交わした事もありました。

 

 

それに・・・なぜ、このご老人が「ソウミ」にいるのかと云うと―――・・・

この惑星を拠点に構えている暗殺者(プロフェッショナル)や、この宙域で活動をしているテロリストや賊連中に、重宝されていたから・・・と、云うのですが―――

今現在の、最大の取引相手(上  お  得  意  様)でもあると云う「レリック」が、この老店主が、過去に措いても・・・また現在に措いても、

「最高」の評価をしている「ピース・メイカー」によって、()されるであろうことを予感し、愚痴を(こぼ)していたモノだったのです。

(しかし、フランソワは、そんな愚痴を聞く為に、ここに寄ったのではない―――と、一蹴すると、次の策略を実行に移す為、行動を開始したそうです・・・)

 

 

同じくして―――この様子は、この宙域周辺で、務めに励んでいた二人の知る処となり・・・

(「この様子」とは、フランソワが企てた、「偽のハイジャック事件」に関わる逃亡の事。)

 

 

 

イ:・・・なんだか物騒ですね。

ユ:・・・そうね―――

 

イ:(・・・。)・・・あの、ユリアさん―――

ユ:どうかしましたか。

 

イ:いえ・・・

  (・・・。)なんだか、悪い事をした人が、逃げた―――と聞いた時に、少しばかり嬉しそうな表情になっていたモノで・・・

ユ:そう・・・いけないことね―――

 

 

 

イリスは、心配でした・・・

この(たび)、「ハイ・ジャック」と云う恐怖に晒されたと云う人達も(さなが)らに、そんな凶行に及んだ人物が、逃げ延びた先の住人達の事が・・・

しかしユリアを見れば、その報せを聞いた時、ほんの少し―――僅かながらに、どこか嬉しそうな表情を浮かべている・・・?

そんな事に、イリスは不安を覚えたのです。

 

 

第百八十九話;どうしてこの人は・・・こんなにも嬉しそうな表情になれるのだろう

 

 

イリスには、判りませんでした―――

いえ、判らなくて、当然だったのです。

 

この事は、イリスの(あずか)り知らない処で、進行している「謀略」―――

世界の(わざわい)となっている「毒」を、また別の「毒」を(もっ)て制する・・・

 

そうした理屈は、()だ潔癖であるイリスにとっては、「(いま)だ判らない事」であり、

急にそんな事を知らしたとしても、混乱を招くだけだとして、ユリアはイリスに対し、曖昧な答えしか示さなかったのです。

 

 

そんな彼女達とは対照的に・・・

クーレに住む、足の不自由な美少女は、ここ数日・・・ある人物が出演している放映番組を、食い入る様に見ていたのでした。

而して、その「ある人物」とは―――・・・

 

 

 

メ:(・・・。)あんな事がありましたのに―――随分と太い神経をしていますね。

ミ:いえ・・・メイ―――これは評価に値すべき処よ。

  私達の前で、素敵に過ぎる挑戦状を叩き付けた人が―――これからどんな(かお)をして、表舞台に立つモノか・・・

  そう思っていましたら―――フフフ・・・まさに、「魔女」の面目躍如―――と、云った処の様ね。

 

 

 

今日もまた、可愛らしい衣装に身を包み、画面を所狭しと躍動する、「アイドル」―――

彼女もまた、ミリヤが知る上で、「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の一人・・・だと云う事が判っていたのですが、

そんなことはお構いなしに―――と、今日もまた無邪気に振る舞い続ける・・・

その事を、ミリヤは「評価に値する」としていたのです。

(因みに・・・余談ではあるが、この時着ていた衣装は、以前ミリヤから頂戴した事のあるモノだったりする)

 

 

それにしても、問題はこれから―――・・・

彼女(プ リ ン)が、「魔女」達の一員である事は判った―――とはしても、後の六人が不明なままでは、

これから先の自分達の任務に、大きな支障となるだろう・・・そう判断した『ラクシュミ』は、

緊急に他の「ディーヴァ」達を招集し、その事に対しての対策を練ろうとしたのです。

 

すると・・・そんな(なか)で―――・・・

 

 

 

マ:えっ? あの「アイドル・プリン」が??

ヘ:はあ〜〜可愛い(かお)して、ヤルことえげつな!!

 

ミ:そ・・・。

  それもね、あなた達がプリンのライヴでやらかしたことが、そもそもの発端なの。

マ:そ―――それは〜〜スミマセンでした・・・

ヘ:ニヒヒヒw 悪い奴もいたもんだw

 

マ:あんたもよっ―――!

  それで・・・これからどうするんですか。

 

ミ:当面は、『サラスヴァティ』に、その組織―――「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の全容を洗わせているわ。

  けれど・・・あの()だけじゃ心許(こころもと)ないから、あなた達にも協力をして貰おうと思うの。

  そこで―――ほんの少しでもいいから、ここ最近自分の身の回りで、変わった事がなかったか・・・教えて頂戴。

 

 

 

「ここ最近、自分の身の回りで、変わった事がなかったか」―――その事を聞いた時、マリアは真っ先に、「あの事」を思い出さずにはいられませんでした。

 

しかし・・・それは・・・同時に、口にする事が憚られたこと―――

 

けれど「その事」は、「(つく)(よみ)」を持つ能力者の前で、するべきではなかった―――と、省みるのです。

 

ですが・・・もう手遅れ―――・・・

 

けれどそのお陰で、謎の組織―――「七人の魔女(セヴン・シスターズ)」の片鱗が、見えてきたのでした。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと