未曽有に起こってしまった災害・・・

しかし、それこそが、この地球が活きている証しだ―――と、その人は語ってくれました。

 

そして、その証しとして、空中庭園最上階に昇った時、あの時とはまた別の・・・

やはりどこか、活力に満ち溢れた地球を見る事により、過去の歴史(できごと)を知らなかった自分が、その人をひどく責めた事に、恥入ってしまうのでした。

 

 

 

リ:あ・・・あの―――す、すまなかったな・・・ぶっちまったりして・・・。

 

ジ:え?

  ・・・ああ―――いいんだよ、別に、君が謝る様な事じゃない。

 

リ:そう云って貰えると助かるよ・・・。

  それと云っちゃなんだけど―――・・・

 

ジ:そうだね・・・助けてあげたい気持ちもあるけれど、君一人で出来るかい。

 

リ:そうか・・・そう云う事になってしまうよな・・・。

  「この地球が活きている」ってことは、これからも「こう云う事」が各地で起こる可能性がある・・・ってことなんだろ。

  そいつを考えたら、私の国で起こってくれて「良かった」と思うよ。

  だから、なるべく早く、その対処の為の法を通して、他の奴らにも伝えてやってくれ。

  それまでなんとか・・・頑張ってみるから!

 

 

 

第百九十三話;再集結

 

 

 

友人に張られた頬も、確かに痛い―――

けれど、本当に痛くて辛い目に遭い、可哀相なのは、今回の「震災」に遭ってしまった多くの被災者である事を、ジョカリーヌは知っていました。

 

しかし、それにも増して、地球が甦ってくれた事は、万障を繰り上げても喜ぶべき事でもあったのです。

 

そして、先程まで、まさにその一点についてジョカリーヌの事を批難していたリリアも、過去にあった歴史(できごと)を知る事により、

また一歩―――彼女達の方に近付いて云ったのです。

 

こうして、結局の処は、その場でのジョカリーヌからの援助は得られない事になってしまったのですが・・・

それも一時的な事で、明文化まではされていませんでしたが、(いず)れは復興支援の援助があるモノだ・・・と、ジョカリーヌとリリアの間で確約されたのでした。

 

 

そんなことよりも・・・自分の国へと帰った時、リリアは、自分でも予測していなかった事態に、感激をしてしまうのでした。

 

 

 

リ:お・・・お前達―――

 

市:()の事態を聞き、急ぎ(まか)り越しました。

蓮:拙者達も何ができるわけではござらぬが・・・いないよりはましでござろう。

 

リ:市子・・・蓮也・・・

  (!)まさか―――たま、お前が・・・

た:わしは何もしてはおらん・・・。

  恐らくは、長丸(おさまる)のしでかしたことじゃろう・・・それに相違はないな、お二方。

 

市:はい・・・。

  水戸様には、ご配慮いただき、感謝の極みに存じ上げます。

蓮:「仲間が窮地に立たされておる時に、駈けつけてやれずして何の「義」ぞ・・・」

  それが中納言様のお言葉にございます。

 

リ:そか―――嬉しいよ・・・

  けどな、お前ら・・・自分の役割については―――・・・

 

 

 

この時までに、彼女達自身の故郷「常磐」にて、ある役目についていた二人―――・・・

「細川市子」と「千極蓮也」が再び、リリアの下に(つど)って来たのです。

 

それも、同じ大陸にある大国「テラ」が、何かしらの大きな障害によって、国としての機能を果たさなくなっている―――との報せを、

「水戸中納言」なる人物から聞かされ、取るモノも取り敢えず駈けつけてくれくれたと云うのです。

 

しかし―――そう・・・

この二人はある役目を・・・

 

リリアの策により、「細川家」と「千極家」の新しき当主となり、今となっては過去の大乱―――「応仁の乱」の終息に務めていたはず・・・

なのに・・・?

 

 

 

市:その事についてなのですが、実は―――・・・

蓮:我ら二人、他家より「養子」を(もう)ける事になったのでござる。

 

た:なるほどのぅ・・・あ奴の考えそうなことじゃな。

  して―――どこからなのじゃ。

 

市:私の家は、「九条家」より・・・

  そして―――

蓮:拙者の家は、「鷹山分家」からにございまする。

 

た:(!)ぬぅわんじゃとぉう?!

  鷹山の・・・「あの」??

 

蓮:拙者も、「噂」だけは聞き及んでいたのでござるが・・・

  (まこと)なのでござろうか?

 

た:うぬぅ・・・あの阿呆め・・・一体何を考えておるのか・・・よりによって―――

  (むん? 待てよ・・・もしやすると、あ奴―――)

 

リ:な〜にそこで盛り上がってんだよ、私だけ蚊帳の外か??

 

 

 

つまりは、そう・・・新しい当主を継いだはずの二人が、何故テラに来ているかと云う事―――

その説明を、二人はやはり、「水戸中納言」なる人物の考えにより、そうしたのだと云ったのです。

 

それが、「他家よりの養子縁組」・・・

 

それによると、市子の「細川家」は、常磐の洛中にある貴族家の一つ・・・「九条家」より、九歳になる男児を迎え入れることとなったのですが―――

もう一つ、蓮也の「千極家」が迎え入れた「鷹山分家」の、さある人物―――・・・

 

そう・・・つまりは、あの「秋定(ときさだ)」と同じ家の人間が、「千極家」へと来ると云うのですが・・・

どうやらたまもは、その人物の人となりと云うモノを知っていた様子だったのです。

 

だからなのか、驚きもし―――また人選の妙に、思う処となったのです。

 

しかもその人物・・・常磐では知らない人間がいないらしく―――・・・

 

 

 

市:―――()の人物の噂は、私も聞き及んでいます・・・。

  確かその人物、数年前までは「女性」だったとか・・・

 

た:いかにも―――名を、「鷹山左近定家」と云う。

  お家の事情によって、「(おのこ)」にされてしもうた悲運の人間じゃ。

 

リ:(・・・)なんかそいつ、いたたまれねぇよな。

 

た:ところがの―――その辺の男共より「男前」じゃったと云うからの・・・

  まあ、お主と程良い勝負をしておる・・・と、見ゆるべきかの。

 

リ:はあ? 〜んだよ、私とキャラが被ってんのか??

  迷惑な話しだよなぁ・・・

 

た:それは、向こうとて同じじゃろうよ―――

  それよりも・・・じゃ、()ずわしらがせんといかんのは―――・・・

 

 

 

「男勝り」が過ぎたことで、「男性」にされてしまった「女性」・・・元の名を、「鷹山定華」

それに、その人物の風評を聞いてみれば、リリアとも重なるところも多くあったようで、リリアとしては余りいい気分にはなれなかったようです。

 

 

そんな事よりも、今は取り急ぎ、急務としなければならないのは・・・

「中央集権」としての機関―――「首都」としての機能を果たさなくなったユーニス城・・・

この、崩壊してしまった建物に、埋まってしまっている数多くの被災者を、救う事も急務―――なのですが・・・

 

やはり、今すぐになすべきは、生き残った自分達が、これから何をするべきか・・・また、何をやるべきか―――・・・

そうした「決定」をする場所が、現在の処なかったのです。

 

だからここは―――・・・

 

 

 

リ:う〜ん・・・そうだなぁ・・・

  やっぱここは、取り敢えずは「ノーブリック城」に移すしかないだろうな。

 

 

 

今回、不幸中の幸いだったのは、同じ国の(なか)にあっても、リリアの故国である「旧オデッセイア」のノーブリック城は、

奇蹟的にも城壁の一部が崩れたのみ―――と云う、軽微な損害に収まっていたのです。

 

つまりは、「首都」としての機能を移すのに、なんら問題はなかったのです。

 

 

こうして、国の復興に向けて、数々の分担と役割を決め、ソフィアとギルバートの療養不在中に、その代理としての役割を果たして行くリリア―――・・・

そんな時、復興作業を始めて数週間が経とうとした頃・・・

 

 

 

リ:(ふ・・・う・・・どうにかなりそうだな―――それにしても・・・)

  ・・・うん?

 

 

 

瓦礫の下になっている被災者の保護・治療・・・及び、亡くなった者に関しては、手厚く葬る―――などして、徐々に復興の兆しが見え始めた頃、

リリアは、何もせずただ立ちすくしている者を見つけ、注意しようと近付いてみた処・・・

 

 

 

リ:おい、お前―――皆が・・・(って・・・)

  あっ! お前は・・・

 

ポ:・・・うん?

  やあ、お久しぶり。

 

  それにしても、とんだ災難だったみたいだね。

 

 

 

いつしか―――不意に現れ、また不意に去っていた疑惑の人・・・「ポール」

その人物が、また再び、リリアの前に姿を現したのです。

 

その事にリリアは、あの時の事も含めて、色々と文句を云いたい事があったのですが、

今の処、取り敢えずは、そんな事などに構っていられないので・・・

 

 

 

リ:んだ―――お前かよ・・・

  今こっちは忙しいんだ、お前なんかに構ってやれる暇なんかねぇんだから、手伝う気がないんなら、どっか余所へ行ってな!!

 

ポ:あっははは―――いつになく、厳しいねぇ。

  それに、見た処大変そうだし〜・・・

 

 

 

飄々として、発言も軽く、責任も感じられない・・・

こんな人物が、どうしてこんな時ばかりは、そうしようとしているのか―――・・・

 

リリアには、判りませんでした。

 

どうして、「他人」にも等しいこの人物が、自分達を「助けよう」としていたのか―――

 

それよりも取り敢えずは・・・と、云う事で、その辺の作業を手伝わせたのですが、

リリアが―――別の現場で指示をする為、その場から離れ、再びその現場に戻ってきた時・・・

一種異様な光景を目の当たりにするのでした。

 

では・・・その場にて、「異様」に感じた原因とは―――

 

 

一つは、遅ればせながら、被災地の現地入りを果たした、大皇(おおきみ)・ジョカリーヌ・・・

実は、ジョカリーヌは、エクステナー大陸は勿論のこと、テラへと来たのも「初めて」だったのですが、

奇しくも、この時に会った人物には、今回が「初めて」ではなかったのです。

 

そして二つ目は、あのジョカリーヌが、自分達の前では滅多と見せない、動揺・・・狼狽した表情を―――

それでいて、どこか蒼褪めたようにも見えていた・・・

 

これこそが、リリアが、ジョカリーヌとポールが対面をしている時、「異様」に感じた原因だったのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと