違法合成麻薬を、裏のルートで取引する組織を、自ずからその組織へと出向き、今後一切こうした取引をしないよう、牽制(くぎをさして)おいたレヴェッカとリリアの二人は・・・

 

 

 

リ:はあ〜あ、ここ最近じゃ、中々刺激の有った方だけど―――・・・ま、そう贅沢は云ってられねぇしな。

  それに結構愉しめたよ♪

 

  第一さぁ〜あの、「天帝」とか云うダンテのヤローが、私に書類の整理ばっか押し付けてきやがるもんでさぁ・・・

 

 

 

本来リリアは、椅子や机に(かじ)りついて事務をこなすタイプ―――ではなかった為、

久方ぶりに暴れられた今回は、すぐに済んでしまった案件ではあったけれども、鬱憤を晴らす格好の舞台だとも云えたのです。

 

その事に対し、以外にもレヴェッカは・・・

 

 

 

第二百三話;改   

 

 

 

レ:・・・のう、リリアちゃんよぅ。

  あんたぁ、確か「ナグゾスサール」っちゅう、「ラスト・ネーム」じゃったのう。

リ:は? ああ・・・そうだけど―――

  そう云えば、確か〜レイチェルさん、私のこの名前が気になってたみたいだよな。

  なんで??

 

レ:レイチェル―――じゃのうて、レヴェッカじゃ・・・

  それよりものう、「ナグゾスサール」っちゅうんは、わてらにも好かれん名前でのう・・・。

リ:あんたんとこ・・・「にも」?!

 

レ:そう云う事よ―――とどのつまり、わてらは宇宙でも「鼻つまみ(モン)」、そこんところは、よう自覚しちょる。

  ほじゃがのう、そのわてらでも、程度の「仁義」っちゅうもんは(わきま)えちょるんで。

  それをのう、あんの腐れ外道だきゃ、(ないがしろ)にしくさりやがって、おまけにトンずらまでこきやがって―――わての面によう、後ろ足で泥ば掛けやがったんよ!

 

 

 

その剣幕たるや凄まじく、その場その時に何があったかは、そこにいなかったリリアでさえも想像がつくのに易かったようです。

 

そこの処の事情なりは判りましたが―――・・・

 

 

 

リ:ん〜〜・・・まあ、レヴィさんの云ってるところは判るよ―――に、してもさあ〜この名前も、代々継がれてきた名前なんだしぃ〜・・・

レ:ほうよの・・・それに、あんたぁみたいなええ子が、こがいにいんなげなもん持っちょる〜ちゅうんが、尚更なんよ。

 

リ:(う〜ん・・・とは云っても・・・)

  ―――あっ! そう云えば・・・すっかり忘れてたけど、私のご先祖様に当たる「リリア」―――って人が、

  その昔、なんとかナグゾスサールって奴を懲らしめようとした時、呪を受けた〜って云ってたよな―――

レ:ナニ? そりゃほんまか!

  ほなら・・・その「御先祖様」―――っちゅんは、どう云う名前じゃったんなら?!

 

 

 

リリア当人ですら忘れかけていた事実―――それは、リリアの先祖に当たる人物が、その昔(約500年程前)・・・やはり「ナグゾスサール」なる人物と対峙した際、

勝つには勝ったのでしたが、同時に、「ナグゾスサール」が敗れる間際に呪いを受け、片眼を・・・魔族特有の眸に変えられてしまった・・・

しかもその呪いは、「先祖のリリア」一代ではなく、末代まで呪われ続けるモノであったのです。

 

斯く云う「現在のリリア」も、今より少し前までは、興奮し過ぎた時には、片眼に変調を来たしてしまう「ヘテロクロミア」でした。

しかし、その異状は、ここ最近ではほとんど見られなくなり、その原因も未だ解明には至っていないものの、そうした異状が現れなくなったと云う事は、

かの「ナグゾスサール」から掛けられた呪いは、無くなってしまったか・・・或いは薄まったモノと思われ―――

つまりこの事は、「ナグゾスサール」の仲間以外では、誰からも嫌われていた存在と因果を結ぶモノはなくなったのでは・・・と、推測されているのです。

 

そこで―――・・・

 

 

 

レ:ほうか・・・そう云う事じゃったんか・・・。

  フ・・・それにしても、ええ気味よのう―――あがぁな辺境に逃れて、いつかわてらに刃向おうと力を蓄えよう思いよったんを、

  リリアちゃんのご先祖さん―――リリア=クレシェント=メリアドールちゅう人に、しごうされたんじゃけえの。

 

  そう云やあ、リリアちゃんの出身―――どう云うとこじゃったんかいの。

 

リ:へ? ・・・「オデッセイア」だけど―――

 

レ:「オデッセイア」・・・のう―――

  おう、どうじゃろう、コレを機会に、名前を変えてみる気はないかの。

 

リ:は? え??

  すると・・・リリア=ディジィ―――・・・

 

レ:「オデッセイア」―――おお、こっちの方が耳触りはええで。

 

リ:ふぅん・・・そうだなあ―――・・・

 

レ:カッカッカw そうしょうやあ―――そうしょうやあ!w

  今日からあんたの名前は、「リリア=ディジィ=オデッセイア」―――そうすりゃ、(ハク)もつくちゅうモンで!ww

 

 

 

すっかりと意気投合をしていただけに、また一人・・・自分の「友」になってくれた人から褒めちぎられることに、

リリアも次第に気を好くし、「それならそれでも構わない」と思うようになり、ここで―――「リリア=ディジィ=ナグゾスサール」は、「リリア=ディジィ=オデッセイア」に改名をしたのです。

 

 

その後・・・レヴェッカからの紹介もあって、「ある人物」と会うこととなるのですが―――・・・

 

 

 

リ:誰・・・なわけ?

レ:カッカッカw わての「妹」よw

  こう云った善き日にゃ、あんないつにも知らせちゃらにゃあのう♪

 

 

 

「は・・・「妹」―――なんだか、「あの人達」の事を思い出して、ちょっぴり不安になってきちゃったよ・・・。」

 

云わずもがな、リリアの不安を煽りたてていた「あの人達」とは、『フロンティア』の「あの三姉妹」のこと・・・

だからリリアが、不安に駆られるのは判らないでもなかったのですが―――・・・

思わずも、レヴェッカの嬉しそうな表情に、(つい)ぞその事実は、リリアの口より()いて出る事はなく、

彼女達二人は、一路・・・「レヴェッカの妹」が住んでいると云う、「ある場所」まで跳躍したのです。

 

 

それはそうと・・・自身の政治資金源である、麻薬密売ルートを潰された「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の一人は―――・・・

 

 

 

記:「キャンベル」さん―――ここ最近話題となっている、麻薬密売の拠点となっていた処が、何者かによって壊滅させられたそうですが・・・

  それに、聞く処によると、その「麻薬密売拠点」、あなたの所有物だったと云う噂もありますが・・・?

記:そうです―――それにあなたは、「宇宙会議」の「議員」でもある為、今のこの「黒い噂」について、どう釈明するお考えなのですか―――お答え下さい!「キャンベル」さん!!

 

 

 

「宇宙」―――と云う、甚だ広域の秩序を護るため、組織化された「機構」・・・「宇宙会議」―――

その「議席」の一つを保有している、大手企業「グノー・カンパニー」の代表取締役兼会長である、「キャンベル=トラロク=グノー」は、

自身に纏わる、この「黒い噂」に関して、否定もせず―――また肯定もせず・・・ただ、報道関係者からのインタビューのマイクを差し向けられても黙秘を貫きとおし、

足早に―――まるでそこから逃げるかのように、その場から立ち去ったモノでした。

 

とは云え、憶測が憶測を呼び、翌日の報道紙の紙面には、その時の彼女の写真と併せて、まさに「そう」であるかのように・・・

つまり、事実も虚構も織り混ざわさったかのような記事が掲載され、次第に彼女を追い込んだモノだったのです。

 

而して・・・その紙面を、別の場所に居ながらにして、同じく目を通していた者達は・・・

 

 

 

ユ:(フフフフ・・・これでようやく、「魔女」達の四名が露わとなって来たと云うモノ・・・

  コレを機に、残りの三名が燻り出されてくれれば、僥倖この上ない事なのですが・・・。

 

  ならば・・・ここはやはり―――)

 

 

 

「フロンティア」の「首席上級幹部」を盟主と仰ぐユリアは、予々(かねがね)、盟主より申し渡されていた案件―――「「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の壊滅」を、今こそ実行に移す時機だと感じていました。

 

だからこそユリアは、この(とき)の為に手を尽くしてきた・・・

「モルドバ」の暗殺を視野に入れた、ピース・メイカーへの依頼も然ることながら、自分達の抹殺を図った「カサンドラ」を牽制・・・

そして、この計画を為す為の、次段階への手筈を整え始めたのです。

 

そしてまた・・・惑星クーレに措いては―――

 

 

 

ミ:(以前から、私達の間で「黒い噂」の絶えることがなかった人物・・・やはり見立ての通り―――と、云う事でしたか。

  それに、この辺が潮時・・・今まで泳がせておいた「プリン」を―――「クレシダ」を破滅へと導く時機に来たようね。

 

  そして・・・恐らくは―――・・・)

 

 

 

キャンベルが「魔女」の一人ではないにしても、それまでに彼女の周囲には、何かしらの好くない噂が立ち昇っており、

今回の件がなくても、キャンベルにとっては厳しい状況になっていたと云えたのです。

 

そこへ―――・・・こんな時期に来ての、表立ってしまった報道に、最早キャンベルには(のが)れる路すら与えられてはいなかったのです。

 

それに・・・ミリヤには、ある打算がありました。

 

今までに泳がせておいた「アイドル・プリン」―――こと「クレシダ」・・・

この彼女への、「破滅へのシナリオ」も然ることながら、やがて訪れるであろう、かの計算き人物―――ユリアの来訪も、計画の範疇に置いているのでした。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと